総合島根進出IT企業、採用を拡大 19社が3年で200人
島根県に進出したIT企業がスマートフォン(スマホ)向けアプリを中心とした開発の強化を狙って県内採用を増やす。主要19社は今後3年で約200人を採用する計画で、各社の県内従業員数は4倍となる見通しだ。県のIT企業向け助成や松江発のプログラミング言語「Ruby(ルビー)」の普及が後押しする。都市部の技術者不足も影響したようだ。
スマホ向けアプリ開発のフェンリル(大阪市)は2013年に開設した松江市の開発拠点で今年12人の採用を計画する。アプリの開発が順調に進んでいるためで、業容拡大を見越して昨年9月に市内の広いオフィスに移った。
国内外からアプリ開発を受託するモンスター・ラボ(東京・目黒)は昨年7月、松江市に拠点を新設し、社員1人を常駐させた。今年は新たに6人を雇う計画だ。島根のスタッフには新しいサービスの開発を任せる。
県によると、過去3年間に県内での新増設を決めたIT企業のうちフェンリル、モンスター・ラボなど19社が採用計画を公表している。19社全体では15年以降、70人、75人、53人、13人の採用を計画している。
県内の拠点で働いているのは14年末時点で70人程度。計画通りに採用が進めば18年末の従業員数は280人程度に達する見通しだ。
交通アクセスに恵まれず、製造業の誘致にハンディを抱える島根県は早くからIT産業の集積を目指してきた。
出張での航空運賃は年間200万円を上限に実費の2分の1を助成する。また、昨年4月からは県内で採用した場合の助成額を1人あたり50万円から100万円に増やした。周辺の県に比べ手厚い助成がけん引役の1つだ。
Rubyができる人材が多いのも魅力の1つだ。プログラムを書きやすい言語として県外でも認知度が高まっている。4月に事業所を新設するソフト開発のオプティマ(東京・品川)の森田宏樹社長は「Rubyを積極的に開発に取り入れる」と話す。
都市部を中心に人手不足感が強まっているのも追い風だ。16年に松江市に西日本支社を開設予定のソフト開発の日本システム開発(名古屋市)の伊藤富雄会長は「都市部の技術者不足が進出を決めた一因だ」と話す。
経済産業省の調査によると、13年の島根県のソフトウエア業の従業者数は769人。中国5県全体に占める比率は4%にとどまるが、08年から5年間の増加率は83%で、60%の鳥取、20~30%台の山口、広島、岡山と比べ著しく高い。
ただ県内のIT企業から「最近は技術者が不足してきた」との声もある。島根県外からの人材確保の需要に対応できるように、IT人材の育成に自治体や教育機関などがが一帯で取り組む必要もありそうだ。