クチコミサイトで悪質なデマ、企業が削除依頼する方法とテンプレPDFを提供

総合クチコミサイトで悪質なデマ、企業が削除依頼する方法とテンプレPDFを提供

近年、インターネットのクチコミサイトや匿名掲示板への書き込みが増え、企業にさまざまな影響をおよぼす状況になっている。クチコミサイトには、企業にとっては都合の良い情報だけではなく、ネガティブな情報も投稿される。もちろん、商品を愛するがゆえの厳しいコメントであったり、的確な評価によるものであれば、企業は謙虚に受け止める必要があるが、中には悪質ないたずらや根拠のないデマもみられるようになってきた。

これらの風評被害は、商品やサービスの売上、あるいは人材の確保などに大きなダメージを与えることも少なくない。事実無根の書き込みがなされた時、匿名掲示板やクチコミサイトに対して書き込みの削除は可能なのか?その対応方法を解説する。

執筆:akinice design 平野逸平

ネットのクチコミは生活者にとって貴重な情報源

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たとえば、あなたがテレビの購入を考え、いつものようにインターネットで情報の検索を行ったとする。すると、あっという間にクチコミサイトにたどり着き、各メーカーの商品を容易に比較できた。

A社のテレビは、購入者を名乗る複数のユーザーから購入後すぐに故障したとのレビューが書き込まれている。さらにサポートセンターの対応についても適切な対応どころか不満のコメントばかりで総合評価を表す☆印は平均で1点台だ。

一方、B社のテレビは、A社のテレビと同等の機能を持ち合わせているが、故障も報告されておらず、ユーザーの評価はA社のテレビと比べても断然高い。
このような場合、価格が少しばかり高くても、予算の許容範囲であれば、B社のテレビを購入するのではないだろうか。クチコミサイトからユーザーの声を得ることができる今、そのクチコミの内容によって消費者の決断を左右する時代になっている。

商品の購入だけではない。働きやすさも口コミ化されており、その内容は従業員の人材採用にも大きな影響を及ぼす。新卒採用、中途採用ともにそれぞれを支援するクチコミサイトは数多く存在し、現社員を含め、元社員、就活中の人、関係者などから多くの書き込みがなされている。これらの生々しい声は、就職活動中の人にとっても単なる求人情報からはわからない貴重な情報だ。

これらクチコミサイトや匿名掲示板の声が自社にとって良い評価であれば、売上や人材の採用にもプラスになる。しかし、商品やサービスに対する厳しいクレームや辛辣な意見、事実無根の書き込み、役員や社員など個人に対する誹謗中傷が発生する場合もある。

企業はこれらのネガティブな書き込みにも、何らかの対策を打たなければ、長期的に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあるのだ。商品やサービスに対するクレームは、もちろん謙虚に受け止め、品質改善やサービス向上につとめる必要があるだろう。しかし、厄介なのは事実無根の書き込みが風評被害を及ぼすケースだ。

たとえば、「○○社の食品を食べるとガンになる」や「○○社は残業代を支払っていない」といったように、事実無根の書き込みが発生することがある。

悪質なデマには削除依頼を行うことができる

このような書き込みへの対策として、企業でも取り組める方法の1つがクチコミサイトや匿名掲示板のサイト運営者(以下、プロバイダ)への削除依頼である。

主にプロバイダが削除依頼に応じるのは、下記のケースが考えられる。

  1. 法律、法令に違反している場合
  2. プロバイダが定めた利用規約に違反している場合
  3. その他、プロバイダが削除依頼を認めた場合

プロバイダは、すべての投稿を検閲していないため、法律、法令に違反している書き込みでも、そのまま放置されているケースがあるが、プロバイダに削除依頼をおこなうことで削除を求めることができる。

■削除依頼の方法

まずは、書き込みがなされている証拠を残しておくため、スクーンショットやプリントアウトをして内容を保存する。そして、削除依頼を提出するときには、各プロバイダの書式があればそれに従って削除依頼を行う。特に書式が用意されていない場合は、下記のような「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」を利用する。

photo侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書のテンプレート

いずれにしても必要な情報は下記の通りである。

  1. 特定電気通信役務提供者の名称(プロバイダの名称)
  2. 権利を侵害されてたと主張する者(住所、氏名(社名)、連絡先、捺印)
  3. 掲載されている場所(URLや掲示板の名称など)
  4. 掲載されている情報(どのような書き込みがなされているか)
  5. 侵害されたとする権利(名誉毀損やプライバシーの侵害など)
  6. 権利が侵害されたとする理由(被害の状況など)
  7. 発信者(書き込んだ本人)へ氏名を開示して差し支えない場合は○を記入

これらの情報を記入して、プロバイダに送信することになるが、理解しておく必要があるのは、自社にとって都合の悪い情報をすべて消せる訳ではないという点だ。上記からもわかる通り、“自身の権利が侵害されている”ということが、プロバイダ側に認められなければ削除されない。違法であることや利用規約の違反が明確でない場合は、根拠を示すための資料が重要になるので、それも合わせて送信する。

以上の手続きを行えば数日中にプロバイダ側から何らかの返答がなされるはずだが、不備等を指摘された場合は資料をそろえて再度送信する。

削除の判断基準とは?

プロバイダの判断基準について知りたい場合は、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が定める『プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン』(以下、ガイドライン)が参考になる。

ガイドラインによると、個人に対しては、プライバシーの観点から「一般私人の場合、氏名、勤務先、自宅住所、電話番号、メールアドレス、センシティブ情報」など、名誉毀損の観点からは、「特定個人に関する論評について、その域を越えて人身攻撃に及ぶような侮辱的な表現が用いられている場合にも、当該情報を削除することができる。」とされている。

また、企業や法人に関しては、プライバシー侵害は成立せず、名誉毀損においてもプロバイダでの判断ができない場合が多いことから、そのような場合は、プロバイダから発信者に対して、送信防止措置に同意するかを照会する手続きを行う。

そして、照会から7日以内に発信者からの反論がなければ削除に応じることになる。

しかし、プロバイダが請求者の権利侵害を認めず、送信防止措置を講じる必要性がないと判断した場合は削除に応じてくれないケースもある。理由はプロバイダとしてもサービス提供者として、公益性や公平性を保つ必要があるからだ。

削除に応じてもらえない場合、次の手立てとしては裁判所の仮処分を申請を検討しなければならない。仮処分の申請を行う場合は、弁護士に依頼することになるだろう。

削除依頼には注意も必要

ここまで企業でできる削除依頼の手続きについて解説してきたが、最後に注意すべき点があるので述べておきたい。

プロバイダは場合によっては、発信者本人に対して送信防止措置に同意するかどうかの照会を行う。つまり、書き込んだ本人が企業から削除依頼が出ていることを知る可能性があるのだ。

そのような場合、たとえ当初の書き込みが削除されたとしても、新たに別のサイトにネガティブな書き込みが発生する場合がある。また、最悪の場合、情報操作を行っている企業として、さらにネット炎上へとつながっていく恐れもある。削除依頼を行う場合は、その点には十分に注意して対応してもらいたい。