総合仕事がスムーズに進む上手な質問のしかた
上司や同僚、あるいは、取引先などと話す時、質問をすることがある。それがうまくいくと、話はリズムよく進んでいく。しかし、「上手く聞く」ことは、意外と難しい。私自身、仕事柄、相手に質問をする機会が多く、多くの人に質問をしてきたが、今でも戸惑う時がある。例えば、ここでこういうことを聞くべきか、それとも、もっと後で聞くべきなのか、といったこともそうだ。今回は、ビジネスシーンで相手に質問をする必要に迫られた時に、心得えておきたいノウハウを紹介したい。その場の状況に応じて、臨機応変に使い分けられるようになると、仕事はよりスムーズに進むだろう。
1.「大きな質問」から始める
「大きな質問」とは、20代の頃、私が上司から教わった言葉だ。「大きい」とは、相手に投げかける問いの範囲が広いことを意味する。例えば、「今回の企画について、どのような印象をお持ちですか?」というような具合に。一方、「小さな質問」とは、相手が答える内容を限定したもの。例えば、「今回、ご提案した企画の●●●について、どのような考えをお持ちですか?」というようなものがそうだ。これは、●●●にポイントを絞った質問だが、●●●の要素が多くなればなるほど、相手が答える範囲は当然、狭くなる。
だが、初対面の相手に質問をする場合、原則、「大きな質問」から始めることが望ましい。いきなり、「小さな質問」をすると、相手が困惑してしまうことが多い。時間が限られている時は、単刀直入に「小さな質問」から始めてもいいかもしれないが、これには前提がある。すでに何度も話をし、情報を共有している場合だ。そうでない場合、「大きな質問」からスタートするのが無難である。なお、「小さな質問」を何度も繰り返すと、相手は追及されている気分になり、決して好い印象は持たない。ここは十分、注意を払いたい。
2.答えやすい質問を散りばめる
「大きな質問」をすることは、相手が答えやすい問いを投げかけることでもある。少なくとも、「小さな質問」よりは、答えやすいだろう。相手に質問をすることの本来の狙いは、相手の考えやその背景にあるものなどを把握することで、互いに誤解を防ぎ、仕事の質を上げることにつながる。このことを踏まえると、答えやすい質問を増やすことで相手が話しやすい雰囲気を作ることが大切だ。
例えば、打ち合わせの時間が1時間ぐらいなら、答えやすい質問はバランスよく、散りばることを念頭に置こう。初めの10分に答えやすい質問が集中し、残りの50分は答えにくい質問ばかりということだと、相手は疲れてしまい、滅入ってしまう。そうなると、話しにくい相手だという印象を持たれ、もしかすると次回のアポイントが取りづらくなるかもしれない。このあたりのバランスは、実に難しいところだが、上司や先輩などでその間の取り方が上手な人をよく観察し、真似してみるのも手だ。
3.相手が話したいことを聞く
相手はビジネスであれ、プライベートであれ、話したくないことがあるものだ。特に、転職(希望)者に会社を辞めた理由を聞く時は、慎重でなければならない。中途採用試験の面接では、例外になることだってある。他にも人事異動の理由を尋ねる時もそうだ。その異動が本人の希望通りだったのかはわからない。誰でも希望通りの部署に移るとは限らないからだ。失意の中、異動した人だって少なくない。こういう場合、質問をすることは避けたほうがいいし、突っ込んだことを聞くことは止めておくべきだ。
一方で、誰もが話をしたいこともある。例えば、営業部員の場合、大きな契約を獲得した時は、誰かにその手柄を話したいはずだ。そのような時こそ、「大きな質問」と「小さな質問」を上手く組み合わせたい。そうすれば、相手はきっとあなたに好印象を持つはずだ。上手く聞くということは、すなわち、相手の心に上手く入っていくことである。相手が「こんな人は信用できない」と心の扉を閉じてしまえば、深い話をすることなど不可能なのだ。
4.同意を示す
相手がこちらの質問に答える時、じっと話を聞くことは当然だが、その時、腕を組むような行為は避けること。タイミングよく、同意を示すことも大切だ。特に、相手が力を込めて話す時、「私もそう思います」「おっしゃるとおりですね」などと言いたい。心の中で多少、疑問を感じることがあっても、最低限のマナーとして、何かしら反応しておくべきだ。人は自分の話に同意されると、話を続けたくなるものだ。つまり、答えやすい問いを投げかけ、相手が返す答えに対し、同意を繰り返す。これを繰り返すうちに、相手はしだいに心を許すものだ。相手が心を許さない限り、深い話をすることはかなり難しい。
5.議論はしない
相手に質問をしておいて、答えが返ってきた時、その答えに対し「いや、そうではないと思います」などと、議論を吹っ掛けるようなことは避けたほうがいいだろう。意外にも、こういう人は少なくない。そのように感じていなくとも、「いや、そうでなくて……」と意見を言い始める人もいる。その場において、意見を述べる必要があるのだろうか?
まずは、相手が話したくなる雰囲気を作り、相手の話を聞くことが最優先だ。議論をしたいのなら、タイミングと場を見計らうべきだ。もちろん、相手がそれを認めることが前提となるが。
質問が上手くなると、相手と良好な関係を作ることが上手になる。そして、精度の高い、有益な情報を得られるようになる。“話し上手”になることも大切だが、“聞き上手”になることも大切だ。