「もっといい企業を紹介しろ」「案件情報だけくれ」 実は不幸な結果を招く転職希望者の要望

紹介「もっといい企業を紹介しろ」「案件情報だけくれ」 実は不幸な結果を招く転職希望者の要望

人材紹介会社に登録しても紹介を受けられないケースがある

転職希望者から人材紹介会社にはさまざまな期待が寄せられます。ただし、当たり前のことですが私たちはすべての希望をかなえられるわけではありません。ときにはすれ違いが起こることもあります。

たとえば転職希望者から「この会社に応募したい」と希望があっても、人材紹介会社は必ず推薦できるわけではありません。率直に申し上げると、私たちが「企業側の希望とは合致しない」と判断すれば、推薦を依頼されてもお断りすることになります。

これは、人材紹介会社は転職希望者に求人をご紹介すると同時に企業から候補者の一次スクリーニングを請け負っているという側面があることによります。

ビジネスパーソンならこういう背景は細かく説明しなくても、すぐにご理解いただけると思います。ところが一定の割合で「なぜ紹介してくれないの?」「早く紹介しろ!」と迫ってくる人が現れます。なかには「紹介しないのは、キャリアコンサルタントの腕が悪いからだ」という方もいます。要は担当者を別の者に代えてほしいというわけですが、ご紹介できないのは担当者の問題ではありません。

「案件情報だけほしい人」ほど危険?信頼できるコンサルタントに相談せよ

こうした転職希望者の勘違いではないのですが、転職希望者が求めているものと人材紹介会社の方針のミスマッチによって、話がかみ合わなくなるケースもあります。

たとえば、とにかく案件情報だけたくさん欲しいがキャリアコンサルティングは求めていない人が、一定以上の採用ポジションを企業からお預かりして、それにふさわしい候補者を厳選してご紹介するというタイプの人材紹介会社に来てしまった場合です。

「面談なんて必要ないから、案件の情報だけ欲しい」
「いや、それはできません。やはり直接お会いした上でないと、自信を持って企業へ推薦することはできませんから」

こんなやり取りが行われることになります。

こうした事態が生じる根本的な問題は、転職希望者へのコンサルティングを重視する人材紹介会社と、オペレーティブに案件情報を提供する人材紹介会社が混在している点にあります。本来、両社は別のサービスとして区分したほうがわかりやすいのですが、現状はそうなっていません。

案件情報をたくさん求めたいか、キャリアパートナーとしてのコンサルタントへの相談を重視するかで利用すべき人材紹介会社は異なります。したがって、転職希望者は自分に合った紹介会社の見極めが必要になります。

ただし、そこには注意が必要です。社会人経験が5年を過ぎ、十分なキャリアを積んできた自信のある人なら、「自分の方向性は決まっているので、案件情報だけもらえればよい」と考えるかもしれません。しかし、そういう人ほど信頼できるキャリアコンサルタントを探し、きちんと相談すべきです。

なぜならポジションが上がれば上がるほど、案件情報だけで判断できるほど単純な話ではなくなるからです。一人だけで考えたり、身の回りにいる狭い世界の人たちだけに相談したり、ましてネットで真偽不明な情報を取ったりして自分の将来を決めるのは、非常に危ういと思います。

エグゼクティブ層でもキャリアコンサルタントに相談すべき理由

信頼のおけるキャリアコンサルタントに相談したほうがよい、というのはエグゼクティブ層においても同様です。とくに経営者経験が長い人は「俺様」な態度が身についてしまい、そのまま面接にいったら確実にアウトになる人がかなりの割合でいます。

最近、ある企業の子会社の社長を長年務めてきた方と面談したときのことです。彼は話の最中に机をバシバシ叩く癖があったので、こうお伝えしました。

「社長、お話しているときに机を叩くのはやめましょう。偉そうに見られますよ」
「えっ、私、机叩いていました?」

自分がどんな態度を取っているのか、まったく気づいていなかったのです。能力面では非常に優秀な方ですが、そのままの態度で面接に臨めば確実にアウトです。

こういう候補者に対してトレーニングを行い、「俺様な態度」の修正をしていくのもキャリアコンサルタントの仕事です。もし我々の会社で面談をしていなかったら、この候補者は俺様な態度を誰にも指摘されないまま、面接しては落とされることの繰り返しになっていたでしょう。

些細なことですが、第三者のプロに見てもらうべき理由がここにあります。どんなに優秀な人でも、自分を客観的に把握することは非常に難しいのです。