総合「3年後離職率」が低い200社ランキング
例年なら12月は大学3年生の就職活動が本格化する時期。だが、今回の就活から会社説明会などの採用広報活動の解禁時期は、翌年3月(今回は2015年3月)に後ろ倒しされた。就活生にすれば、「まだゆっくりしていても大丈夫」と思っているかもしれないが、企業研究は早めに手をつけても何も損はしない。
志望企業の見極め方はさまざまだが、ぜひ気にしてもらいたいことの一つは「若手社員がどれだけ辞めずに定着しているか」だ。それを見る指標として「3年後離職率」がある。新卒入社者のうち3年以内に離職(退職)した人の割合で、「大卒は入社3年で3割」が目安。実際に厚生労働省の最新調査では32.4%(2011年卒業生の平均)というデータがある。
東洋経済が11月に刊行した『就職四季報2016年版』(総合版、女子版、優良・中堅企業版が発売中)は、個別企業ごとの3年後離職率を掲載している。アンケートベースでの回答で集計しているため、掲載企業すべてのデータがあるワケではないが、そのうち特に3年後離職率が低い、つまり「新入社員の定着率が抜群に高い」トップ200社のランキングを紹介したい。
『就職四季報』総合版に掲載している1247社のうち回答のあった937社の中から 、2011年入社者が10人以上の会社を対象に集計した。離職率が同じなら入社数が多い企業が上位になっている。
3年後離職率が0%、つまり入社3年後に同期が誰も辞めていない会社は114社ある。1位はJT、2位は日産自動車、3位は日本電信電話(NTT)となった。鉄道、電力・ガス、石油などのインフラ系企業や、機械、電機、自動車、化学などのメーカー系や食品会社などの姿が目立つ。
上位は「雇用のミスマッチ」が小さい
若者が離職する主な理由は「思っていたのと違った」「想像以上に激務だった」などのいわゆる「雇用のミスマッチ」。上位企業はそれが小さいのだろう。社会、公共インフラとしての色合いが強く、事業の安定感が抜群な企業が多い。「平均勤続年数」や「有休消化」など働きやすさを計る目安となる他の指標も業界全体的に高い。
メーカーでは自動車部品、化学など、BtoB(企業間取引)系の手堅い企業が多数ランクイン。知名度は決して高くなく地味だが、世界的な企業も多い。食品会社は学生人気企業ランキングの常連で、倍率が数百倍を超える企業も多い。たとえば明治の総合職事務系2015年内々定倍率はダントツの約2750倍だった。志望動機ややりたいことがはっきりしていないと内定はまず勝ち取れないだろう。つまり、入社前後のギャップは少ないと考えられる。
三菱や三井といった財閥系は人気・実力(業界地位を意味)とも兼ね備えており、多数ランクインしている。一方で、メガバンクがデータを回答していないこともあるが、就活生の人気が高い企業の常連である銀行は1社(行)もランクインしていない。
さらに詳しいデータは『就職四季報』に記載しているが、3年後離職率を見るときに注意してほしいのは入社人数が少ない場合、数値が大きくブレてしまう点だ。たとえば、入社3人しかいなければ1人辞めるだけで、3割を超えてしまう。前年度の数値も見ることで、数値のブレをはじくことができるはずだ。ちなみに、2年連続0%は48社だ。
一方で、「NA」(NoAnswerの略で非公開の意味)の会社もある。理由はさまざまだが、数値がよければ積極的に公開するはずではと考えるのが一般的。つまり、離職率が高い可能性がある。
ただ、実のところ3年後離職率については数パーセントの違いに神経質になる必要はなく、他の指標も含めて比較することが重要だ。また、ここではご紹介しなかったが、ランキング下位を見ると小売業や外食がズラリと並ぶ。厚労省調査では「宿泊業、飲食サービス業」が52.3%、小売業で39.3%だ。だからといってこれらの業界を「ブラック」と決めつけるのは筋違いだ。明確な基準があるわけでもないし、3年後離職率が低い会社も存在する。
企業研究で大事なのは、業種ごとの特徴や傾向を見極め、様々な基準で会社を比較することだ。『就職四季報』には3年後離職率だけでなく、試験情報、採用実績など人事には直接聞けない最新情報を集約。あなたにとっての「良い会社」を見つけていただきたい。
(※) 東京急行電鉄は総合職のみの数値、中部電力は高専・専門・短大は除いた数値。2010年入社の3年後離職率「-」は新卒採用なし、NAは非回答



