関西の中小企業、新卒採用を積極化 15年春入社

新卒関西の中小企業、新卒採用を積極化 15年春入社

関西の中小企業が2015年春に入社する新卒社員の採用を積極化している。景況感の改善で仕事が増えるなか、即戦力となる中途採用に加え、中長期的に企業を支えてくれる若手を採る動きが活発になっている。大企業も採用数を増やす傾向にあり企業の採用競争は一段と激化しそうだ。

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先月18日、大阪市内で開かれた就職イベントに関西に拠点を置く中小企業約100社が参加した。会場は黒色のスーツ姿の大学生であふれ、中小の採用担当者は「ぜひ会社へ一度来て下さい」と呼びかけた。イベントを主催した大阪労働局の安川啓子氏は「中小をこんなに集めたイベントは過去に例がない」という。

中小が新卒採用を積極化しているのは、今まで優先してきた即戦力の獲得が競争激化で難しくなり、人材不足が深刻化している面が大きい。日銀大阪支店が公表している企業短期経済観測調査(短観)によると、近畿の中小企業の雇用人員判断は9月に5年3カ月ぶりに「不足超」に転じた。12月はさらに不足が拡大している。非製造業が先行したが、ここに来て「製造業の人員過剰感が急速に解消している」(日銀大阪支店)。

■長期育成へ変化

14年度の採用では大手企業が秋以降にも採用数を増やし、中小の内定を辞退する学生が出た。そのため、15年度についても大卒採用を増やす意向は強い。大阪府中小企業家同友会の堂上勝己代表理事は「中小の新卒採用に対する意欲は高まっているが、実際には採用ができないのではと危機感を持っている」と話す。

「中小の意識が変わり、新卒で採用した若手を長期的に育てたいという企業が数多く出てきた」(大阪労働局の安川氏)ことも、採用意欲の高まりにつながっている。

システム開発のアクテック(大阪市)は来年度の採用活動で、新卒を3人採ることを決めた。今までは中途採用が中心だったが、初めて新卒のみに限定した。自社で教育し、受注が増えている金融機関向け管理システムの開発などを任せる。

洋菓子店「アンリ・シャルパンティエ」などを展開するシュゼット(兵庫県西宮市)は、15年春入社の新卒採用で初めて総合職を募集する。人数は10人程度。今までは販売職のみだったが、業績の安定で販路開拓など将来の幹部候補となる人材を育成する。

首都圏での採用を強化するのが小川珈琲(京都市)。東京の大学に加え、神奈川や埼玉、千葉などの大学でも求人活動を始めた。首都圏での直営喫茶店の出店増に対応するためで、15年春は10人以上の採用を目指す。

■専任担当を配置

新卒採用への対応を強化するため、社内制度などを見直す動きも出てきた。スマートフォン向けゲーム開発のポノス(同)は今秋から専任の採用担当を置き本格的に新卒採用を始めた。ゲーム「にゃんこ大戦争」の人気で開発体制を強化する。

産業用ブラシ製造の野宮産業(大阪市)は入社後の人材育成制度を整備中。文系学部卒業の新入社員が無理なく設計図を引けるよう、図面作製のマニュアルを初めて作ったほか、社員同士の勉強会も開いていく。