総合リクルートが得た高額の給与
日本の人材サービス最大手リクルート・ホールディングスのIPO(新規株式公開)は成功した。しかし、非の打ち所のない優秀な求人応募者と同様に、同社の給与の要求はその資質を上回っている。
16日の上場初日のリクルート株はIPO価格に比べ7.4%高となった。同社株の売出価格は仮条件の上限に決まり、公募・売り出し株の合計で約2200億円となった。これを世界的な株安の中で実現したのは見事だ。同日の日経平均は2.2%下落した。
この力強いデビューは、まだ傷ついていない安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の経済再生ストーリーの一部、つまり活気のある労働市場を反映したものだ。日本は労働力不足に直面しており、8月の有効求人倍率は1.09で、2年前の0.81を大きく上回った。
日本で終身雇用が次第に廃止されつつあることも、転職者の増加につながっている。安倍首相が強く求められている労働市場改革を実現できれば、これはさらに加速するだろう。これらは全てリクルートの利益となる。
しかし、オーバーアロットメント(株式の追加売り出し)も含めて考えると、同社の前期(2013年4月-14年3月)利益で見た株価収益率(PER)は29倍となる。これはほとんどが人材サービス業である同社のバリュエーションが、テクノロジー企業のような水準にあることを示している。スイスのアデコ、オランダのランスタッド、それに米マンパワーなど海外の同業他社のPERは、同じ期間の利益で見て、平均すると18.4倍だ。
リクルートは確かにオンライン事業も行っており、投資家はこれを見て日本版IAC/インタラクティブコープのようなものだと考えているのかもしれない。結婚情報の「ゼクシィ」やオンライン旅行会社、レストラン予約やビューティーサロン予約サービスもある。しかし、リクルートの売り上げの4分の3は企業の採用支援や派遣を含む人材サービス業によるものだ。
同社は障害に直面している。13年3月までの1年間の純利益は、日本経済の転換を反映して92%急増したが、14年3月期はコスト増で9%減少した。皮肉なことに同社はこの減益は給与やボーナスの増加など人件費の高まりが一因だとしている。
日本の高齢化と人口減少への同社の対応は海外事業の拡大であり、既に米国や欧州の人材サービス会社を買収している。同社の狙いは、現在は全体の約4分の1である海外での売り上げを20年までに半分にまで引き上げることだ。これには一連の買収が必要になるだろうし、株主にとっては高いものにつく可能性がある。
日本の投資家は労働市場が非常に活気があることを喜ぶべきだ。ただ、このことは現在の価格でリクルート株に飛びつくべきだということではない。