景気の回復堅調、生産・物価・雇用に好循環 10月統計

総合景気の回復堅調、生産・物価・雇用に好循環 10月統計

29日に発表された経済指標で景気回復の動きが強まっていることが裏づけられた。10月の消費者物価指数(2010年=100)は5カ月続けて前年を上回り、需給の引き締まりを受け物価が上昇している。10月の鉱工業生産指数は前月に比べ0.5%上がり、年内は上昇が見込まれる。雇用面では求職数にほぼ見合う求人があり、個人消費も底堅い。企業収益の改善を背景に、景気の足取りがしっかりしてきた。

 総務省が発表した10月の消費者物価指数は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで100.7となり、前年同月比0.9%上がった。食料・エネルギーを除いた指数は同0.3%上昇し、08年10月以来5年ぶりにプラスとなった。水準としては0.7%上昇した1998年8月以来、約15年ぶりの高水準となる。

 甘利明経済財政・再生相は同日の閣議後の記者会見で「アベノミクスの効果が次第に広がり、デフレから脱出しつつある姿がさらに明確になってきた」と語った。

 10月の物価を品目別に見ると、電気代が前年同月比8.2%上昇と引き続き上がったほか、傷害保険料が同10.1%、外国パック旅行が同3.7%上がり、物価を押し上げた。景況感の改善を背景に、長くデフレの要因となってきた耐久財の価格下落も和らいできた。パソコンやルームエアコンなど一部の品目は値上がりしている。

 物価は11月以降も上昇が続きそうだ。全国の動きに先行する東京都区部の11月中旬の速報値は、生鮮食品を除く指数が前年同月比0.6%上昇し、7カ月連続で前年同月を上回った。食料・エネルギーを除く指数も同0.2%上がり、08年12月以来、5年ぶりのプラスになっている。

 景気の動きとほぼ連動する生産活動も底堅い。経済産業省が発表した10月の鉱工業生産指数(10年=100、季節調整値)は98.8と前月に比べて0.5%上がった。輸出する半導体製造装置や冬季の商戦に向けたエアコンなどの生産が伸びている。出荷は同1.8%増える一方で在庫は同0.5%減っており、企業が在庫を減らしながら順調に生産と出荷をしている姿がうかがえる。

 大企業を中心に予測を聞く生産の先行き調査では、11月が前月比0.9%の上昇、12月が同2.1%の上昇となった。最近は実績が予測を下回ることが多いものの、企業は年内の生産は堅調だと見ている。経産省は9月に「持ち直しの動き」と上方修正していた基調判断を10月も据え置いた。

 厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は0.98倍で、前月に比べ0.03ポイント上昇した。製造業やサービス業など多くの業種で求人が増え、2カ月ぶりに上がった。総務省が発表した完全失業率(同)は前月と横ばいの4.0%だった。

 厚労省は「沖縄や九州など一部地域で厳しさが残るものの、雇用環境の改善は進んでいる」と分析した。新規求人数を産業別に見ると、製造業が前年同月比20.2%増と大幅に伸びた。円安による輸出増で自動車製造の求人が増え、その関連産業にも波及効果が出ているという。年末商戦を控えた卸売・小売業は7.4%増、宿泊・飲食サービス業は6.7%増だった。

 職探しをしていない失業者にあたる「非労働力人口」は女性を中心に、前月から16万人減った。一方で就業者は8万人増え、6327万人となった。10月中に就業まで至らなかった人もいたため失業率は足踏みしたが、「悪い動きではない」(総務省)という。