保育士確保へ待遇改善 横浜市は無償で住居用意

女性雇用保育士確保へ待遇改善 横浜市は無償で住居用意

認可保育所に入れない待機児童をゼロにするため、自治体が保育士の待遇を改善して人材確保を急いでいる。名古屋市や福岡市などはボーナスや給与を引き上げ、横浜市などは住居を用意するなど福利厚生を高める。政府は働く女性を増やして社会に活力を与えようと動くが、保育所の受け入れ能力は不足する。待機児童数は約2万人と高止まりしており、自治体はまず保育士不足を解消する。

昨年時点で待機児童を多く抱えていた106自治体に対し、日本経済新聞が現在の保育士確保策を調査したところ、95自治体が何らかの対策づくりに乗り出していた。政府は2017年度までに待機児童をゼロにする目標を掲げるが、改善ペースは鈍い。保育士は40万人いるが、待機児童をゼロにするにはさらに約7万4千人が必要とされる。同じように人手不足の産業界と人材の奪い合いとなっており、待遇改善が欠かせない。

待機児童を13年の280人から今年4月にゼロにした名古屋市は、14年度から臨時職員として働く保育士の時給を100円上げた。賃上げ分を保育所を運営する法人に支給する。対象は約1600人になる見込みだ。

福岡市は13年度から年間で1人当たり約10万円のボーナスの支給を始めた。新規採用を増やして離職も防ぐ狙いだ。14年度は5億7000万円を使い、保育所を運営する事業者に原資を補助する。福岡市は695人の待機児童がいたが、今年4月時点でゼロになった。

背景には保育士の給与水準の低さがある。保育士の平均給与は月21万3200円と全業種平均より約10万円低い。仕事を探している1人に対して何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、13年度時点で平均1.21倍と5年間で0.51ポイント上昇した。全業種と比べても0.24ポイント高く、人手の確保の難しさを示している。

福利厚生を充実する自治体もある。都心部に住む保育士だけでは数が足りず、横浜市では地方出身者の採用に向け、1月から保育所を運営する法人に家賃を補助するようにした。保育士は自己負担なしで住居を確保できる。横浜市は待機児童ゼロを13年にいったん実現したが、今年4月は20人となり、保育士を増やして受け皿を広げる。待機児童が157人いる東京都墨田区も新卒者を念頭に、自己負担なしで住宅を用意する計画だ。

短時間勤務などパート保育士を確保する動きもある。323人の待機児童がいる札幌市は、パート保育士を2年前より160人増やし、500人強とした。埼玉県草加市は保育士の資格を持たない補助員を採用し、朝や夜間の延長保育の時間に洗濯など補助的な仕事を委ねる。

待機児童が224人の大阪市は、昨年10月から資格を持ちながら保育士として働かない「潜在保育士」を呼び戻している。結婚や子育てで一度退職した人に就職をあっせんする。保育実習などの研修を充実し、今年7月末までに176人が再就職した。静岡県も4月、潜在保育士らを保育所に紹介する「県保育士・保育所支援センター」を立ち上げ、9月末までで12人が就職したという。仙台市や横浜市など、保育士を目指す人向けに、資格取得費用の半額を補助する自治体もある。