サービスの技能を競える国に

総合サービスの技能を競える国に

接客など対人サービス分野を中心に、身につけた技能のレベルを判定する制度を充実させるべきだ――。職業能力開発のあり方を議論する厚生労働省の有識者研究会がそんな中間報告をまとめた。

提言を歓迎したい。職業能力を評価する仕組みが整えば技能を磨く励みになる。サービス分野で評価制度が広がれば、製造業に比べて低いこの分野の生産性の上昇につながる。国は民間企業・団体の協力を得て具体化してほしい。

対人サービスは接客、商品販売や苦情対応など範囲が広い。それらの技術は、流通や教育、健康・生活支援ビジネスなどサービス業全体の基盤となる技能だ。

報告では業界団体などが主体になり、業界ごとに、技能をレベルに応じて段階的に認定する制度をつくるべきだとした。業種によって仕事の内容や求められる技能は異なり、それらをよく知っている民間が制度設計の中心になるのは妥当だ。人材の採用や人事に活用しやすい制度が期待できよう。

現在ある職業能力の評価制度は国による技能検定制度が代表的で半世紀を超える歴史がある。金属加工や機械組み立てなど、主にものづくりの分野から成り、日本の製造業の発展を下支えしてきた。

だが産業構造が変化し、サービス産業の国内総生産(GDP)や就業者数に占める割合はそれぞれ約7割にのぼっている。能力評価制度も経済のサービス化に対応した仕組みをつくる必要がある。

サービス産業の労働生産性は長期にわたり低迷している。内閣府によれば非製造業全体の生産性上昇率は1990年代、2000年代とマイナスだ。働く人1人あたりの付加価値を高めていかなくてはならない。能力評価制度を整え技能向上を後押しすれば非正規労働者の処遇改善にもつながる。

職業訓練も充実させるときだ。能力評価制度ができれば必要な技能が段階ごとにはっきりするため、訓練内容を決めやすくなる。経済のサービス化に合わせ公共職業訓練を刷新する好機としたい。