外食・小売業 人材奪い合い 時給アップで流動化

アルバイト・パート外食・小売業 人材奪い合い 時給アップで流動化

パートやアルバイトなど非正規労働者が現場を支えてきた外食・小売業で、人手不足が収益を圧迫するなど問題が深刻化している。労働者が少しでも高い時給を求めて流動化する中で、各社はサービスの質を維持するため、人材確保にさまざまな知恵を絞っている。 (白山泉)

 午前八時ごろ、開店前の「MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店」(千葉県山武市)。六十歳以上の七人の従業員が食品売り場などの商品を次々に並べる。ドン・キホーテが七月から募集しているシニアのアルバイト、「ライジングクルー」のメンバーだ。

 彼らの勤務時間の多くは午前七時から十時の三時間。同社は「早朝の数時間、シニアのアルバイトが準備をすることで、早番のスタッフの負担が軽くなり、接客作業に専念できるようになった」と話す。今後、グループ二百八十一店のうち、朝の需要が多い約百四十店に計二千人を配置する計画だ。

 ラーメンチェーンの幸楽苑は、従業員の紹介制度を実施している。「仕事内容や店の雰囲気を生の声で聞いて応募するので定着率が高い」と広報担当者。ホームページやハローワークでの募集も充実させ「採用が難しい五~七月にも例年の二倍の人を採用できた」という。

 外食・小売りなどのサービスは、景気の回復傾向の中で曲がり角を迎えている。昨年十一月に有効求人倍率が約六年ぶりに一倍を超え、労働力は「売り手市場」に転換しつつある。大和総研の鈴木準主席研究員は「これからは賃金が上がるところに雇用が集まる傾向が加速していく」と指摘する。

 しかし、賃上げによる人材募集は各社の「体力」を奪っており、外食業界では「時給はこれ以上は上げられない」という声もある。求人情報サービス「an」の調査では、飲食系の今年六月の平均時給は九百三十五円で、三十カ月ぶりに前年同月比を下回った。

 ゼンショーホールディングスが展開する牛丼チェーン「すき家」は、労働環境の改善策を検討する第三者委員会の提言を受け、深夜に一人で店を切り盛りする「ワンオペ」を十月までに廃止する方針。しかし、二人体制に向けて補充する人員の確保は難しい。

 今後は外国人留学生の取り込みに力を入れる計画。都内五カ所の研修センターのうち三カ所を外国人専用として、研修を行っていく。ゼンショーは「人手が不足する中、人材確保や事業展開のやり方を変えていかなければ」と話している。