派遣人材派遣業、全て許可制に 悪質業者の排除狙う
厚生労働省は「届け出制」と「許可制」が併存する派遣事業を全て許可制に移行する方針だ。全ての派遣業者に定期的な許可更新や講習の受講も義務付ける。届け出制は行政の目が及びにくく、悪質な業者が増えたため廃止する。一方、規制強化で新規参入が滞らないように許可制の基準緩和も課題になる。
派遣事業は2種類ある。ひとつは「一般労働者派遣事業(一般事業)」で、仕事がある時だけ派遣会社と労働者が雇用契約を結ぶ「登録型派遣」を手掛ける。純資産2000万円以上などの厳しい要件を満たし、厚労相による許可が必要だ。
今回廃止する「特定労働者派遣事業(特定事業)」では、派遣会社は全ての派遣労働者を期間の上限なく雇う「常用雇用」としなくてはならない。派遣先がない時も派遣会社から給料が出るなど雇用は安定しているとされるため、厚労省は簡易な届け出のみで事業開始を認めてきた。
ところが、弊害が目立ってきた。香川県のある派遣会社はもともと一般事業の許可を受けていたが、更新時に資産要件をクリアできず、特定事業の届け出を出した。その後約2年間も一般事業と同じような労働者派遣を続けた。さらに、派遣法が禁じている建設業務への派遣などを行った。違法に派遣した労働者はのべ2560人に上り、今年8月に厚労省は2カ月間の事業停止を命じた。
常用雇用の定義に、有期の契約を何度も更新して雇用期間が1年を超えると見込まれる場合も含んだことで、一般事業と同じように派遣する特定業者も増えていた。
特定事業の事業所数は約6万3000あり、一般の3倍以上にのぼる。
厚労省は来年の通常国会に提出する労働者派遣法の改正案に派遣事業の見直しを盛り込む。派遣業界の適正化の観点から経団連なども要望している。だが、健全な業者まで排除しないように、資産基準の引き下げなど許可制の基準緩和が今後の課題になる。
今回の派遣法見直しでは企業が人を代えれば派遣労働者をずっと受け入れられる仕組みへの転換なども盛り込む。
