実は真面目? 現代的な「働かないおじさん」5つのパターン

総合実は真面目? 現代的な「働かないおじさん」5つのパターン

「窓際族」として座れる「窓際」は消滅している

「働かないおじさん」と似たニュアンスで、昔は「窓際族」という言葉がありました。決して好意的な表現ではありませんが、少なくとも以前の企業には「部下なしの閑職でも、そのままの肩書で雇用し続ける」余裕と体力があった裏返しかもしれません。

「窓際族」をそのままにする余裕と体力がある企業は減少している(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

最近では、ミドルシニアの処遇に関しても、「降格・降給の厳格化」「管理職からの役職定年・ポストオフ」、職務内容を明確に定義した「ジョブ型」などの人事制度を適用する企業も増えています。

ジョブ型の場合、それぞれの専門性や強みを生かせる業務に特化できるので、経験豊富なミドルシニアが最前線で活躍できる可能性も十分考えられます。

一方で、余人を持って替え難い専門性や卓越したマネジメント能力を保有していない社員にとっては、「社内での居場所を、自分で勝ち取らないと生き残れない」というシビアさも含んでいます。

また、一時期問題になった「追い出し部屋」のように、社員から業務を取り上げる仕打ちは配転命令権の濫用(らんよう)やパワーハラスメントに該当し法律違反となります。

厚生労働省はパワーハラスメントを6類型に定義付けをしていますが、その中に「人間関係からの切り離し」「過小な要求」があります。窓際や追い出し部屋に追いやって仕事をさせないのは、この「切り離し」「過小な要求」となり、倫理的にも法律的にも許されない可能性が高いです。

これからの時代、企業側は「窓際に置いておくことは難しい」、本人側は「のんびり窓際で定年を待つのは難しい」という現状を理解し、双方が真剣に解決策を模索することが必要だと考えています。

現代における「働かないおじさん」5つのタイプ

近年、企業から相談を受けることが多いミドルシニア社員のタイプを5つ紹介します。

タイプ1:Windows 2000型 (報酬と成果のギャップ)

「窓際で年収2000万円をもらっている人」「働き方のバージョンが20年前」というネット用語です。

実際に年収2000万円の窓際族は見たことがありませんが、報酬や職位と比較して期待未満の成果が続いてしまっているミドルシニア社員に関する相談は多いです。

人間的には良い人で言われたことを真面目に取り組んでいるが、仕事に対する創意工夫や自主的な学習が足りず、単に与えられた業務をこなしている人が環境変化に適応できず当てはまることが多いです。

タイプ2:燃え尽き型 (意欲のギャップ)

周囲から見て、やる気がない・低いと感じられる状態です。特に、役職定年や定年再雇用などで役割や処遇が変化した場合に起こりやすいです。

「肩書や給与が下がったので、その分だけ働く」という意図的な場合もあれば、「第一線ではなくなったので、あまり目立つと後輩や若手の邪魔をしてしまう」という遠慮から、意欲が下がって見える場合もあります。

現代における「働かないおじさん」5つのタイプ(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

タイプ3:勘違い型 (期待のギャップ)

やる気はあるが、経営方針や周囲の期待とピントが合っていない状態です。プレイヤーとしては優秀だったのに、管理職になって仕事を人に任せたりチームで成果を出したりできず、自分の力で解決しようとして部下の動きを止めてしまう人などが、このタイプに分類されます。

タイプ4:元エース型 (時代とのギャップ)

以前はエース社員として活躍していたものの、考え方や意見が次第に最新の環境や手法と合わなくなり、そのことに本人が気付けない状態です。

会社やチームが新しいことを始めようとすると、過去の経験から否定的な意見を出して会議を白けさせたり新しいやり方に反発したりする人もいます。

本人も上司も自分の成功体験に自信があるほど、コミュニケーションが感情的になったり対立的になったりする場合があります。

タイプ5:はしご外され型 (ポジションのギャップ)

最近増えているのが、「今までやってきた仕事自体が、本人の能力と関係なく、急になくなってしまう」ケースです。

例えば「事業譲渡/業務の海外移転/商品や事業の中止/店舗閉鎖/ノンコア業務の外部委託」など、会社が生き残るための事業構造改革の中で、物理的にポジションや仕事がなくなり、新しいポジションや役割での適用が求められるケースがコロナ禍以降は急増しています。

同じ業務に長く従事してきたベテラン社員ほど、急激な変化への対応に苦労しがちです。

「働かない」ではなく「働けない」ことが問題

上記の社員たちは、決して悪意を持って「働かない」わけではありません。

勤労意欲がないわけでもなく、本人としては、真面目にコツコツやっているし、今までそれなりに頑張って働いてきた、成功してきたという自負を持ち合わせている人も多いでしょう。

ただ、周囲の期待に対して十分な成果が出せなくなってしまっているため、「あの人は働いていない」という評価になってしまっているのです。つまり、「働かない」のではなく何らかのギャップにより「うまく働けない」のです。

本人に悪意があるわけではない分、企業側も対応に苦慮することが多いようです。その原因は、本人ではなく、上司・会社・人事・同僚など周囲の関わり方にある場合もあります。

もちろん、会社の期待に応えられていないのは、ミドルシニアに限った話ではなく、若手社員にも起こり得る現象です。

しかし、ミドルシニアの場合、若手より報酬が高く、より責任や影響力のあるポジションに就いているケースが多いため、「働かない」場合の企業の損失が(若手よりも)ずっと大きくなります。これが「働かないおじさん問題」が表面化してきた理由と考えられます。

本人と上司が1on1などで真摯に「どんなギャップが生じているのか」について話し合い、「部下が悪い」「上司が悪い」と属人化することなく、「ギャップ」自体を問題として捉え直すことが、「働かないおじさん問題」を解決する起点になります。

その際は、上司は年上部下に対して、真摯に耳を傾ける「傾聴」と、必要なことは耳が痛いような内容でも伝える「フィードバック」が重要になります。