働くママの悩み「小4の壁」 居場所作りで解消へ

女性雇用働くママの悩み「小4の壁」 居場所作りで解消へ

働く母親が直面する「小4の壁」。子どもが小学4年生になると、学童保育など放課後の受け入れ場所が減り、預け先に困る状態を指す。高学年になるにつれ、家でインターネットやゲーム漬けになる子どもも増え、親の不安は募るばかり。こんな状況を打破しようと、高学年を対象にした放課後の居場所づくりが広がり始めた。

湘南学園小学校では放課後、高学年向けにロボット教室を開催した(神奈川県藤沢市)
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湘南学園小学校では放課後、高学年向けにロボット教室を開催した(神奈川県藤沢市)

■公立小11校に開設

「宿題、終わったよ」「何して遊ぶ?」。火曜日の午後4時。群馬県太田市立韮川小学校のランチルームでは、4年生の女子3人が肩を寄せ合い、遊びの相談をしていた。ここは太田市が4月に開いた「こどもプラッツ」。放課後、親が仕事で家にいない家庭の子どもを預かる施設だ。

いわゆる学童保育(放課後児童クラブ)と役割は同じ。ただ、学童保育に通うのは低学年の子どもが多いのに対し、こどもプラッツでは子どもの学年を、原則として小4~小6にした。高学年に特化した預かり施設は全国でも珍しい。

働く女性が増え、学童保育の不足が社会問題になっている。子どもが小学生になったとたんに放課後の預け先に困る「小1の壁」が知られるが、受け入れ施設が極端に減る小4の壁も、仕事と育児の両立を阻む。国が学童保育の対象年齢を「おおむね10歳未満」としてきたためだ。

太田市でも、対象を小3までに限る学童保育があり「高学年の受け入れが課題だった」(児童施設課)。このため、4月から市内に26ある公立小のうち11校でこどもプラッツを開いた。

安倍政権は働く女性を支援するため、学童保育など放課後に子どもを預かる施設を増やす方針。小4の壁の解消もテーマの一つで、2015年度開始の子ども・子育て支援新制度では、対象を小学生の全学年に拡大する。今後、太田市のように、高学年受け入れに工夫を凝らす動きが出てくる可能性もある。

ただ高学年を受け入れる施設が増えても、子ども自身が居場所として面白さを感じなければ、通わない恐れもある。10~12歳といえば、思春期を控え、親からの意見の押しつけを拒むようになる時期だからだ。

学研教育総合研究所(東京・品川)の「小学生白書Web版」(13年3月調査)によると、高学年になるにつれ、放課後に男子はゲームに費やす時間、女子はテレビを見る時間が増えていた。ネットの利用時間も長くなっており、自宅で留守番をさせることに不安を抱く親も少なくない。塾や習いごと漬けにしてしのぐ家庭もある。

そこで、預かり施設の場などで、高学年の子どもたちが興味を持ちそうな講座を開く動きも出てきた。

「きょうはロボットを作り、パソコンにつないで動かしてみよう」。神奈川県藤沢市の私立湘南学園小学校。放課後の教室に集まった4~6年生が、講師の指示に従いながらレゴブロックを使い、車型のロボットを夢中で組み立てていた。

「ロボットチャレンジ」と名付けたこの講座は、同校が、児童の放課後を充実させるため4月に始めた「アフタースクール」のプログラムの一つ。預かり機能に加え、サッカーや料理など様々な体験ができるメニューをそろえた。対象は小1から小6だが、このロボット講座は特に高学年向けとした。

運営するのはNPO法人「放課後NPOアフタースクール」(東京・港)。学童保育や小学校の余裕教室を使った放課後の学校開放の場で、専門知識を持つ人々を講師に招き、約300以上のプログラムを実施。05年に開始、延べ5万人以上の子どもが参加している。

代表理事の平岩国泰さんは、建築家やアスリートなどプロが見せる本物の技に触れ、目を輝かせる高学年の子どもを多く見てきた。「将来の夢と出合う子どももいる。放課後を好きなこと、うまくなりたいことを見つけるきっかけの時間にしてもらえたら」と話す。

■企業も後押し

放課後の居場所の質を高めようと、企業も後押しし始めている。住友生命保険は4月、「スミセイアフタースクールプロジェクト」と題し、学童保育など放課後の預かり施設の運営を支援する事業に乗り出した。放課後NPOアフタースクールと連携し、第一線で活躍する医師や料理人などを全国の学童保育などに派遣するのが事業の目玉だ。

3月に試験実施した心臓外科医の講義では、子どもたちが手術用の針と糸を使って模擬皮膚を縫い合わせる「手術体験」をした。「わたしも医者になりたい」といった感想が寄せられ、医者の仕事や命に対して興味津々だったという。

同社CSR推進室の副長、須之内たか美さんが保育園児を育てる働く母の視点で事業化を考えた。「高学年の子どもほど、放課後を過ごす時間の質が重要だ」と須之内さん。

国は学童保育の定員を30万人分増やす計画を、6月にまとめる成長戦略に盛り込む方針だ。量の拡充は喫緊の課題だが、ハコを用意して終わるのではなく、子どもの放課後をどう充実させるか、という質の議論も深めていく必要がある。