串カツ田中の成長の鍵は、「良い会社作り」が根底にある人材採用

総合串カツ田中の成長の鍵は、「良い会社作り」が根底にある人材採用

「大阪伝統の味 串カツ田中」を展開する株式会社串カツ田中ホールディングス。

2008年10月、東京都世田谷区に「串カツ田中」1号店をオープン。「一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献する。」を企業理念とし、全国に直営店・FC店合わせて170店舗を展開。30年後の1000店舗達成という目標に向けて採用人数を増加させるに伴い、「採用コストの高騰」「離職率の上昇」といった課題に直面したそうです。

今回、Refcomeを活用した紹介による社員採用や、その根底にある「良い会社」作りについて、貫啓二社長にインタビューしました。

―串カツ田中でのアルバイトからの社員登用や、友人・知人紹介による入社の取り組みについて教えてください。

最近、紹介で社員になったという流れが多くなってきています。

例えば、「いいやつだから呼びました」って言って友達を紹介してくれた社員がいたんですよ。

紹介された側の子と話してみると、「友達がいつも楽しそうにしていて、いろんなイベントとかもあって楽しそうな会社だと思ったので、アルバイトとして入ってみました。働いてみたら、めっちゃおもろいです。」って言って、その後社員になってくれてね。そういう流れをよく聞くようになりました。

他にも、ふらっと寄った店舗で「いい動きしてたね」ってアルバイトの子に声をかけたら、「実は来月から社員になります」って言ってくれたり。最近そういう話をぱらぱら聞くので、それがめちゃくちゃうれしいです。

好きな友達を呼んできて、一緒に仕事で切磋琢磨できるって良いですよね。

―社員登用の取り組みで大事にされていることを教えてください。

アルバイトさんに社員になってもらおうとしたら、良いチーム作りをしっかりやることになりますね。会社や仲間の愚痴を言わず、プラス思考なことだけを発信することが重要です。

―串カツ田中は「良いチーム作り」「良い会社」作りに長い間注力されてきたと伺いました。

その通りです。串カツ田中は10年間「良い会社作り」に勝負を張ってきました。

飲食業界はブラックという印象が強くて、そんなに人気のある業界ではないです。

例えば新卒採用だと、有名大企業から決まって、中小・ベンチャー企業と選ばれていく。飲食は、最後この会社しか行くところがなかったということもあるんですよね。そういう感じで入社しても、サービス業だし、ミスマッチが多いんですよ。だから、「選ばれる会社」になっていくために、「良い会社」をしっかり作っていくことを大事にしてきました。

まずは、会社のことを知っているアルバイトさんや社員に「うちの会社良いな!」と思ってもらわないといけないと思っています。どの会社も採用の時は良いことばかりアピールするけど、それで採用できてもだまし討ちみたいなものなので。

特に去年くらいから本当に力を入れてきていて、お金の振り先もだいぶ変えました。

これまで人材エージェントなどを活用した採用でコストがかさんでいたんですが、リファラル採用で浮いた採用費を全部社員のみんなに還元しようという方針にしています。

根底に「良い会社作り」があって、それが結果的にリファラル採用の成功につながる。そしてリファラル採用が採用のミスマッチを防止し、会社の成長につながっていっています。

―最初に「良い会社作り」に注目したきっかけは何だったのでしょうか?

私自身、10年くらいの間365日休まず店舗で働いていました。そして事業がうまくいき出して拡大していくとなった時、自分が店長をやっていても伸びないので人を採用しようと思ったんです。

でも流行っている店舗とはいえ、募集を出してもまったく人がこないんですよ。きても、色々な会社を受けまくって落ちまくった人だけ。全然うまくいかなかったんです。

そんな中で、どうしたら自分達が求める人材が来てくれるのかを考えた時に、やっぱり中長期の成長戦略と、正しい会社作りをしていこうと思いました。休みがちゃんと取れるとかね。

幸いにも店舗の運営マニュアルの整備も進んでいて、アルバイトさんだけでもある程度店舗を回せるようになっていたから、週休二日制にしても大丈夫でした。

飲食業界ってブラックなところが多くて、休みがなくて疲れて辞めるって人が多いんですよ。だから、飲食好きだけど疲れて辞めるって人に選ばれる会社になればいいんだなって考えたんです。そうやって、「良い会社」を作るというゴールにたどり着きました。

―「良い会社作り」でこだわっていることはありますか?

去年よりは今年、今年よりは来年という風に後退せずに良くしていくということです。僕らの理念でもあります。

週休二日制をやったけど、年間休日が少なくなったとか、上場したら労働時間が伸びたとか、慰安旅行の行き先のレベルが下がったとか、運動会や田中総会のスケールが小さくなったとか。そういう後退は何一つしていません。

休みもこの10年間ずっと増え続けているし、労働時間はどんどん短縮し続けています。いろんな労働条件をどんどん整えていってるという感じですね。私たちは、飲食業界の中だけで「すごい!」と言われることを目標にはしてないです。一流企業に追いつきたいという思いで取り組んでいます。

―「良い会社作り」を根底にした採用をしてみて、どう思われましたか?

やればやるほど、会社と社員は本当に対等な関係だなって思いますね。

会社って、人を面接して選んでいるようだけど、結局は選ばれる立場でもあるわけで、お互いフィフティ・フィフティなわけじゃないですか。

会社を成長させるためには良い人材にきてもらわないといけないし、良い人材にきてもらうには愛される会社にならないといけない。ここだったら安心して働いて、かつ成長欲求も満たされる場所だと思ってもらえれば、優秀な人材がきてくれます。そうじゃないと結局会社は成長できずに終わっていくんです。

そのためには、やっぱり「良い会社」にしてなんぼだと思いますね。

―会社と社員が対等という考え方は、経営にどう影響していますか?

フィフティ・フィフティの関係性の中で、お互いに約束事をしていくという感じですかね。

全社員会議では、約束事を出すことが多いです。

「こうやってほしいから、先にこれをやります。」というお願いをすることもあれば、「会社はこれを提示します。みんなはこれ約束できますか?できるんであれば挙手をお願いします」といって採決を取ることもあります。それでみんながやりたいと言ってくれれば会社としてチャレンジするんです。

社員登用や紹介採用の取り組みでも、「リファラル採用をみんなで盛り上げて、離職率を下げたら、浮いた採用費をみんなに還元します。やりたいですか?やりたくないですか?」と問いかけたら、やりたいと言ってくれたんです。その還元は、3か月に1回のボーナスという形で先に出し始めました。

―先払いだったんですか!

「できたらあげるよ」というのはずるいなと思っていて。

市場に対して数字のコミットもしているので、うまくいかなかったら大変なことになるんですけどね。それについてもみんなに共有して「一緒に会社を成長させていく」というスタンスで臨みました。

―どういう人に串カツ田中にきてほしいと思ってらっしゃいますか?

串カツ田中を好きになる努力をしてくれる人。そして楽しむセンスを磨こうとする人。そういう人であればどんな人でもいいと思っています。

性格はどんな人でもいいんです。僕と同じような性格の人ばっかり集まったら、ガバナンスぐちゃぐちゃになっちゃうでしょ(笑)。全員独立志向で、意志を強く出す人ばかりいても困るじゃないですか。

それに、得意分野は分かれていていいと思っています。

例えば僕は本を読むのが最近苦手だから、本を勧められた時は管理部の人に読んでもらって、分かるように説明してもらってるんです(笑)。企業ってそういう得意分野が違う人たちが集まって成り立っていくものだと思います。

―そこで重要になるのが串カツ田中を好きになる努力ができるかどうかなんですね。

そうなんです。うまくいっている人は、「串カツ田中愛」が深まっている人ですね。

実績がある人でも、田中の理念が腹落ちしていない場合は、自分のプライドや今までの経験に囚われてしまって結果を出せません。

逆になんのノウハウがなくても、「田中愛」がある人が勉強しながらやっていく方がうまくいきますね。

「田中愛」と、「楽しもうとする」「関わった人みんなを楽しませる」という気持ちがある人は、成長していっていると思います。

―串カツ田中を好きになるかどうかが、仕事の成果にもつながっているんですね。

そう。だから「この会社を好きになろう」「この会社を成長させよう」って思ってきてもらいたいです。「なんかこの会社良さそうだな」って思って来られても困るんですよ。企業なんて人によって一瞬で変わっていくから。

稲盛和夫さんもよく言うじゃないですか。「好きな仕事に就けるやつは少ないけど、就いた仕事を好きになることは誰でもできる」って。まさにそうだと思いますね。

好きになればより深く追求していくけど、嫌いになりだしたら追求もやめていくし、仲間と関わることも嫌いになってしまう。だから、「仕事をうまくやる努力をしろ」って言う前に、「仕事を好きになって楽しむ努力をがんばってくれ」ってスタッフには言ってます。

串カツ田中のことを好きになろうとしたら、仲間のことを好きにならないといけないから、まずは仲間のことを好きになる努力をしてもらうといいなと思いますね。そうしたら、自分の居場所ができて、仕事もうまくいきます。

―仕事で成果を出そうとしたら、まず仲間とのつながりを作ることが大事なんですね。

会社は仲間づくりをするシーンをたくさん用意しています。運動会とか、総会とか。

総会だって、準備する側になったらもっと仲間ができますよね。KTA(串カツ田中アカデミー)でもそうです。最初はひとりぼっちだったとしても、毎回会うとだんだん他の店舗の人と仲良くなっていきます。誕生日会も隔月でやっていますよ。

そういう場を通して、誰かのおもしろい部分が発見されたりするんですよね。発見されて認められると自信にもなっていくし、どんどんそのおもしろいキャラが加速していったりしますね。

―仲間とのつながりを通して変わっていくんですね。

「仕事ってなんですか?」って聞かれたら、僕は「社会と繋がる場所」だと思っています。

もし月々生活できるお金をもらえるけど、家から一歩も出ちゃいけないという状況になったら、まあまあ地獄でしょ(笑)。

仕事は必要なんですよ。しかも単調な仕事じゃなくて、自分の成長を感じられる仕事、社会とつながっている感覚のある仕事が楽しいと思うんです。

そして、会社に来て社会とつながるってどういうことかというと、認められる仲間がいるということだと考えています。仲間づくりの場所であってほしいですね。

うちの会社でも、仲間が多ければ多い人ほどすごくがんばって成果を出しているし、すごく楽しそうです。

私は「一人でも多くの笑顔が生まれる会社」という企業理念に絶対従うって決めているので、「田中愛」を深めよう、楽しむセンス、仲間を楽しませるセンスを伸ばそうとしてくれる人が増えたらうれしいですね。

貴重なお話をどうもありがとうございました!