女性雇用高給って本当?看護師の平均年収と給与の実態
クイックが運営する看護師専用コミュニティサイト「看護roo!(カンゴルー)」が、一般に「高給」のイメージが強い看護師の年収について最新データ(平成29年賃金構造基本統計調査)を基に分析、実態をまとめた。
■分析結果の概要
看護師は医療職としての社会的意義の高さに加えて、「年収・給料が高い」「需要が安定していて就職・転職に強い」「AI(人工知能)時代にもなくならない仕事」というイメージが定着している人気の職業の一つだ。しかしその一方で、現場の看護師からは「命を預かる責任の重さや、厳しい労働環境に対価が見合っていない」との声が根強くあるのも実情となっている。
そこで平成29年賃金構造基本統計調査(厚生労働省、2018年2月28日公表)の結果から、「看護師」に焦点を絞って分析。女性労働者の中では、看護師は高い平均年収を得ているものの、男性を含む全体の平均年収をやや下回っており、「看護師=高給」の世間のイメージとはズレがあることが浮き彫りになった。
■分析結果のポイント
1.看護師の平均年収は478万2700円。全体平均より低いが女性平均は大きく上回る

看護師の平均年収(※1)は478万2700円。労働者全体の平均年収は491万1500円、女性全体は377万8200円。高給のイメージとは裏腹に、看護師の年収はむしろ全体平均よりやや下回る結果となっている。
ただし女性の平均年収からみると、看護師の年収は100万円ほど上回る。9割以上を女性が占める看護師は、「女性の中では高給」という側面が高収入のイメージを形成していることがうかがえた。
※1.平均年収は所得税や社会保険料などを控除する前の額で、超過労働給与(時間外勤務手当、深夜勤務手当等)や通勤手当、家族手当等を含む
2.新社会人世代では、看護師は高収入な職業

年齢別に分析すると、いわゆる新社会人世代に相当する「20-24歳」では、労働者全体は314.9万円、女性全体は297.0万円と300万円前後なのに対して、看護師(※2)は389万円だった。
女性一般と同様に看護師も、その後の賃金上昇カーブは緩やかに推移するため、35-39歳で労働者全体と逆転する(看護師:480.4万円、労働者全体495.1万円)。しかし「20代~30代前半の平均年収が相対的に高い」という点も、看護師のイメージに大きく影響しているといえるだろう。
※2.女性看護師のみ集計
3.看護師の年収の伸びは鈍く

2013年から2017年にかけての平均年収の推移を見ると、労働者全体では約22万円、女性全体では約24万円の伸びがあったのに対して、看護師の平均年収はこの5年間で約6万円のアップにとどまった。
2009年のリーマン・ショック後に続いた不況下では、全体の平均年収が大きく落ち込んだが、その間、看護師の平均年収はほぼ横ばいを維持してきた。良くも悪くも、「景気の動向に左右されにくい」という特徴が明確にあらわれている。
4.女性職種別ランキング、看護師は18位

女性の平均年収について職種別(※3)に比較すると、看護師は18位だった。
※3.平成29年賃金構造基本統計調査内129職種を比較し、サンプル数が10未満の職種は除外
団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、医療ニーズはますます増えていく。看護師はその大事な担い手だが、医療の現場では依然として人手不足が叫ばれ、過重労働が慢性化しているのが現状だ。医療費の削減が続く中においても、看護師が条件面でも魅力的な職業であるよう、待遇・労働環境の改善が期待される。
■データ出典、用語について
・平均年収等データは厚生労働省・賃金構造基本統計調査より引用、算出。所得税や社会保険料などを控除する前の額で、超過労働給与(時間外勤務手当、深夜勤務手当等)や通勤手当、家族手当等を含む。
・平均年収=「きまって支給する現金給与額」×12+「賞与その他特別給与額」。
・生涯年収=「20~24歳の平均年収」×3+「25~64歳の平均年収」×5。
