IT人材争奪激しく 大卒採用、来春9.3%増 製造業がけん引

新卒IT人材争奪激しく 大卒採用、来春9.3%増 製造業がけん引

日本経済新聞社が21日まとめた2019年春入社の新卒採用計画調査(1次集計)で、主要企業の大卒採用は18年春の実績見込みに比べ9.3%増える見通しだ。採用意欲が旺盛な製造業が底上げし、全体のプラス幅は4年ぶりに上昇。理系の採用計画は13.8%増と高水準が続く。人工知能(AI)など先端分野を担うIT(情報技術)人材の争奪戦が激しさを増している。

大卒の採用計画は9年連続で増えた。製造業は9.1%増を見込み、プラス幅は昨年春調査(6.7%増)を2.4ポイント上回った。業種別では電機が13.0%増、機械が11.5%増と昨年春調査のプラス幅を上回る伸びとなった。自動車・部品も6.5%増と同水準を維持する。

製造業ではAIや、あらゆるものがネットにつながるIoTを活用した製品・サービス開発のため、IT人材の争奪が激しくなっている。

採用計画に対して内定者を確保できた割合を示す充足率について、理系は18年春で96.4%にとどまり、文系の100.1%を下回る。19年春入社でも理系採用の意欲は強く、「例年以上に競争が激しい」(電機大手)。

ソニーは自動運転用のセンサーや半導体、ソフトウエアの開発を強化するため、理系の学生を積極採用する。100人増の400人の採用を計画し、8割を理系が占める。理系の割合は18年春と同水準。18年春入社から配属先にこだわらないコースを設けており、多様な人材の獲得を目指す。

パナソニックは02年以来の規模となる700人の大卒採用を計画する。自動車用の部品事業などに重点配置する見込みだ。IoT向けの電子部品などの需要が増えている京セラグループは理系採用で約370人を計画し、18年春から116人増える。自動車・部品では、アイシン・エィ・ダブリュが理系を前年比84人増の230人にする。

経済産業省は国内のIT技術者が30年に約59万人不足すると試算する。「人材確保が最大の課題だ」。理系採用で47人増の370人を計画する日本電産グループの永守重信会長は指摘する。

業種を越えてIT人材の争奪が過熱し、高額の初任給を払う企業も増えている。ヤフーは30歳以下で新卒・既卒を問わず、就業経験がない入社希望者に初年度から年収650万円以上を提示する。一律の初任給を廃止し、実力に応じて初任給を上乗せする制度を導入するIT企業もある。

日本航空は全体の採用人数として100人増の約690人を計画し、地上職にはデータ分析などを手掛ける「数理・IT系」を新設した。外食大手のゼンショーグループは理系人材を積極採用し、店舗運営の生産性向上につなげたい考え。

文部科学、厚生労働両省によると、18年春卒業予定の大学生の就職内定率(2月1日時点)は91.2%と最高を更新し、学生の売り手市場は今後も続く見通し。

18年春の充足率は全体で96.8%と昨年調査から0.7ポイント上昇したが、運輸や建設など人手不足が深刻な業種で計画を大きく下回る企業が目立つ。非製造業では人手確保のため、19年春の採用計画が9.4%増える見通し。

福山通運グループは高卒なども合わせた総合計で2倍以上の500人を計画する。介護業界ではニチイグループが、総合計で前年比825人増の1496人を見込む。

新卒採用の面接選考は6月から本格化する。人材獲得競争が激しくなるなか、いち早く優秀な人材を囲い込もうとスケジュールを前倒しする企業の動きも強まりそうだ。