SNSで「転職」活動、やっていいこと悪いこと

総合SNSで「転職」活動、やっていいこと悪いこと

SNSで「退職しました」
公開転職活動が普及

SNSで「退職しました」「求職しています」と報告する人を見かけるのは今や珍しいことではありません。しかも、報告に対していろいろな人が反応し、中には有名な企業が「当社にご興味はありませんか」「当社を受けてみませんか」といったオファーのリプライをすることもあります。もちろん職種やその人が持っているスキルによって反応はさまざまですが、こうした現象を当たり前に目にするようになりました。

これは、いわばSNSを使った公開転職活動といえます。私たち人材紹介会社の出番が減ってしまうのは残念ですが(笑)、転職活動の一つのよい方法だと思います。

採用する側から見ても、SNSは有効な手段になっています。

ある著名なコンサルタントは、アシスタントが辞めることになり、SNSで急きょ募集をかけたところ50人もの応募があったそうです。当社でも最近、社員のSNSアカウントからスタッフ募集の情報を発信したところ、求めている人材が応募してくれて採用に至りました。来てほしい人がすぐに見つけられるというのは、とても魅力的な手段です。

在職中の「転職希望」発言はご法度
企業の人事は当然チェックしている

ただ、転職の意向を発信する際には注意が必要です。

まだ退職していないのに実名や本人が特定できる形で「求職しています」「何かよい仕事はないですか」と発信を行うことはご法度です。これは、いま勤務している会社に対して失礼ですし、職場に悪い影響を与えかねません。

しかし、ひとつだけやってもいいと思う行動があります。それは、現在の職場と関係がない、自分が属するクローズドなコミュニティで「1年後くらいに転職を考えています。よい話があったらお声がけください」と発信することです。

SNSは人物像を知るために常に見られている、ということも忘れてはなりません。ヘッドハンターやキャリアコンサルタントは、その人のSNSをチェックしています。企業の人事もそうです。

ですから、自社の悪口を書き込むのはご法度です。「この人を採用したらうちも悪口を書かれるのではないか」と採用担当者が考えるのは当然ですし、そもそも悪口は読んだ人の気分を悪くします。

会社や仕事に直接関係しない書き込みに関しても、暴力的な内容や乱暴な口調で書かれていれば採用は見送ろうという判断に傾くでしょう。そこまではひどくなくても、書き込み内容に違和感があればマイナスに作用します。

また書き込みと、面接でリアルにお会いした本人との間に大きなギャップがあれば、それだけが理由で落とされることはありませんが、そのズレはいったい何だろうとチェックされることになるでしょう。

SNSを活用しようと考えるなら、普段の在り方が大事になってきますし、過去にやらかしたことはそう簡単に隠せないと認識しておくべきです。

弱いつながりが効果を発揮
会社一本でやっていてはダメ

ほかにも、SNSのオープンな特性には用心が要ります。

たとえば、声を掛けてきたアカウントが本当にその企業の採用に関係しているのか、その企業は転職先として信頼がおけるのかなどが見えにくいことです。質の悪い情報が混ざってくる可能性があります。さらに、人材紹介のプロによるマッチングがなさていないことも忘れてはなりません。世の中から見ていい会社からオファーされたとしても、必ずしも自分と相性がいいとは限らないのです。

やはり一番効率のよい転職の仕方は、自分のことをよく知っているか、まあまあ知っている人が、同じ様によく知っているか、まあまあ知っている会社や人とマッチングしてくれる方法です(それを有料でやっているのが人材紹介会社です)。

これを裏付けるのが、アメリカの社会学者のマーク・グラノヴェッターの研究です。研究によって、転職で成功した人は「ウィークタイズ(弱い紐)」を持っている人が多いことが分かっています。ウィークタイズとは、たまにしか会わないがお互いに信頼を持っているような人間関係のことです。

つまり、ゆるくつながっている知人からもたらされる情報や紹介の中から、よい転職の機会が見つかることが多いというわけです。なお、ウィークタイズの対義語が「ストロングタイズ(強い絆)」で、こちらはいつも緊密につながっている人間関係を指します。

この理論に基づけば、ゆるくつながっている人間関係が多いFacebook等のSNSは、転職活動のツールとして有効活用できる可能性があると言えます。勤務している会社以外のコミュニティに参加したりして、自分のウィークタイズを豊かにしていく営みがSNSでの転職を成功させるポイントになります。

転職活動はチャンスとの出合いの旅でもあります。ウィークタイズから生まれるチャンスとの出合いの確率が一定だとすれば、分母は大きいほうがいいでしょう。

別の言い方をすると、もはや「会社一本でやっていてはダメ」ということです。これは転職に限ったことではありません。キャリアコンサルタントではなく経営者としての立場から見ても、本当にそう痛感しています。