総合「マネジャーには天性の才能が必要」はすべてウソ
「一生懸命、指導しているけど、部下にやる気がないし、成果が上がらない。でも、あのマネジャーは部下に信頼されて、成果まできっちり上げている。なぜだろう」。そんな経験をしたことはないだろうか。
そこには、やはり理由がある。部下に信頼され、成果もきちんと上げるマネジャーは、「部下から応援される技術」を持っているのだ。では、そればどんな技術なのか。そして、どうすれば身に付けることができるのか。マネジャーとして25年超にわたり国内外のさまざまなチームを率いてきた、元プルデンシャル米国本社シニア・バイス・プレジデントの八木昌実氏のマネジャー論をまとめた話題の新刊『マネジャーとして一番大切なこと』から、一部抜粋して紹介する。
マネジャーになるために、特別な才能はいらない
「一生懸命、指導しているけど、部下のやる気がない」
「いろんなトレーニングをするが、人が成長しない」
「マネジャーとして率先して頑張っているが、チームの成果が上がらない」
「なんだか、部下に信用されていない気がする」
日々、こうしたことに悩んでいるマネジャーは多いと思います。
現場で部下を指導するマネジャーは、上司からのプレッシャーだけでなく、部下の鋭い視線、お客さまからのご要望など、四方八方からのさまざまなプレッシャーにさらされ、それをかいくぐりながら仕事をしていかないといけません。
冒頭で挙げたこと以外にも、多くの悩みを抱えているのではないでしょうか。
ですが、そうした悩みはマネジャーのちょっとした意識の変化で解消することができます。たいていの人は、マネジメントで悩んだとき、マネジャー自身の変革ではなく、上司や部下、職場環境の変革を試みて、それによって現状を改善しようとします。
ですが、それでうまくいくことはまずありません。結局、マネジャー本人が変わらなければ、現実は何も変わらないのです。
そう断言できるのは、かつての私も同じ状況を経験し、そしてそれを克服することに成功したからです。
「どんな人でもマネジャーとして成功できる」と断言できる理由
ここで少し、私の話をさせてください。
私は1989年、まだ創業間もないプルデンシャル生命保険という会社に入社しました。大学を卒業後、7年勤めた食品会社を経ての転職でした。
プルデンシャル生命に入社後、広島支社でライフプランナーとしてのキャリアをスタートしました。すると、入社1年目で全国のライフプランナーの中で4位の成績を取ることができました。2年目には全国1位になりました。収入は前職からはまったく想像もつかなかったほどになり、ライフプランナーとして大きな成功を収めました。
そして、翌年、あっさりとライフプランナーから、営業所長と呼ばれるマネジャーに転じました。その後も、マネジャーとして実に多くの成果を収める機会に恵まれます。たとえば、こんなことをしました。
・初任地の広島で、営業所長として全国4位を獲得
・支社長として、新設の新宿支社を全国2位に育て上げる(1人当たり売上は全国1位)
・全国最下位クラスの仙台支社を、わずか10ヵ月で全国2位に立て直し
・メンバーの中から全国1位のライフプランナーが誕生
国内だけでなく、海外でも組織を成功に導いてきました。
撤退寸前だった韓国法人を1年で立て直したり、ブラジル現地法人の立ち上げをしたり、10ヵ国以上の拠点のトップマネジメントに携わってきました(四大大陸制覇!)。
在職中には、社長杯に連続7回、入賞しました。月間の手数料生産性のギネスを樹立したほか、会社のビジョンやミッションの策定、社員満足度の向上への取り組みなどにも挑みました。
その後、執行役員常務、執行役員専務、グループのジブラルタ生命保険の専務執行役員、AIGエジソン生命の代表取締役副社長、そしてプルデンシャル米国本社でシニア・バイス・プレジデントを歴任し、2017年に退任、独立しました。
独立後も、数名ですがチームを率い、世界レベルのアプリや宿泊施設の立ち上げに携わり、間もなく成果を上げようとしています。
ここまで聞くと、「とてもすごい人」「私には真似できそうもない」、そう思ってしまうかもしれません。
でも、私はいたって平凡な人間で、マネジャーになった頃は、むしろ失敗の連続。任されたチームは全国最下位に沈んでいました。
だから、断言できるのです。マネジャーとして必要なのは、才能や特別な能力ではない。一つの後天的な技術であり、それを身につけ、実践することができれば、どんな人でもマネジャーとして成功できる、と。
書籍『マネジャーとして一番大切なこと』で身に付く、マネジャーの必須能力とは?
マネジャーとして一番大切なことは何か?
それは、「応援される存在」になることです。
そもそもマネジャーは、1人で存在することはできません。チームのメンバーがいて初めてマネジャーになれる。もっといえば、チームのメンバーが承認してくれて初めてマネジャーになれます。
このとき、チームのメンバーから「応援される存在」になれるかどうかが、マネジャーとしての成功を大きく左右します。なぜなら、マネジャーの成功の鍵は、実はチームのメンバーが握っているからです。
勘違いしてはいけないのは、強いマネジャーになろうとしてしまうことです。リーダーといえば、強いリーダーシップでチームをぐいぐい引っ張らなければいけない、などと考えてしまいがちです。
私も、最初はそうでした。でも、それではマネジャーとして成功できなかったのです。
それより、部下がマネジャーを応援しようという意識を持ち、自らが勝手にやるべきことをやっているのが、理想の組織、強い組織なのです。
それを私自身、たくさんのマネジャーを研究する中で、また実体験の中で実感してきました。
私がプルデンシャル生命にいた約28年の間に、会社は飛躍的な成長を遂げました。プルデンシャル生命は、新規の保険契約では最下位から日本トップクラスになっています。
契約数だけではありません。ライフプランナーの生産性(1人当たり保険手数料)や平均年収でも群を抜いています。私は後にアメリカ本社で3年間、働くことになり、いろいろなデータを調べましたが、これらは世界の保険会社の中でもトップであると確信しました。プルデンシャル生命は、どの資料をとっても他の追随をまったく許さない、世界ナンバー1の保険会社になっているのです。
こうした輝かしい会社の実績に、私がマネジャーとしてやってきたことが少なからず寄与していると自負しています。
本書は、そうした経験をベースに、リーダーシップのあり方、組織づくりやマネジメント、採用の方法、組織の立て直しについてまとめています。
「応援されるマネジャー」へと変わり、強い組織を作るためのさまざまな考え方、コツをご紹介していきます。私自身は営業のマネジャーでしたが、営業チームを率いるリーダーのみならず、すべてのマネジャーに、きっとお役立ていただけると思います。
世の中には、特別なリーダーシップ能力を持っている人もいます。そういう人は、その能力を使って仕事を推し進めていけばいいのだと思います。しかし、そんな人は実のところ、ほとんどいません。おそらく多くの人は、普通の人です。
しかし、普通の人がきちんと基本通りにやれば、私は誰でも成功できると思っています。大事なことは、やるべきことをきちんとやり続けること。そして、周囲に応援されること。それが、成功を呼び寄せるのです。
読者の皆さんが、本書でお伝えした内容を実践し、人生を豊かにしてくれることを心から願っています。