人材確保のカギは、「面接」と「育成」にある 「新規採用」の繰り返しは現場の疲弊を招く

総合人材確保のカギは、「面接」と「育成」にある 「新規採用」の繰り返しは現場の疲弊を招く

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

年が明けて、ひと段落すると、4月の入社を前に内定辞退したいと思っている、または、現状の職場を辞めたいという離職希望の相談が増えてきます。春からの新しい出発を想定して、「このままでよいのだろうか」「今、決断しなければ」という思いに駆られるのでしょう。

この種の悩みは、年間を通して寄せられる問題でもあり、このほかにも、派遣登録している方が、派遣先が決まって、来週から出勤というタイミングで「どうしても行く気がしない」、派遣先に出向いて1週間も経たずに「辞めたい」と訴えてくるケースも後を絶ちません。

「内製化」と「内省化」

人材不足に悩む現場では、由々しき事態であり、ただでさえも忙しい中、つねに、人材募集、採用、初期研修に労力を割かなければならないとなると、ますます就業環境は悪化します。するとさらに離職者が出てしまい、誰でもいいから採用してしまう状況に陥り、なかなかその悪循環から脱することができません。売り手市場になりつつある今、「良い人材の確保と定着」こそが企業の使命であり、職場環境を改善する最善策です。

相談者から聞かれる声は、「職場の人間関係や雰囲気になじめない」が圧倒的に多く、次に「この職場ではスキルアップができそうにない」と続きます。この問題を解決するのが、内製化と内省化です。

まずは、採用時点でのポイントです。採用を外注したり、代わり映えのしないやり方をしているとしたら、まずは、「内省化」をはかりましょう。文字が意味するとおり、自らの体験を自ら観察し振り返ることです。そのためには、「どんな人材が欲しいのか」を明確にすることが必要です。職種、職務、環境により、必要な人材は変わります。また、組織のカラーになじめるかも大きな問題です。

面接では、ハキハキと元気よく、自己PRができることなどが重視される傾向にありますが、声が大きくて自己主張が強いタイプばかり集まる集団になったら実際どうなのでしょう。もちろん、そういった素養が必要な業務もあるかとは思いますが……。

自社の求める人材を見極める

たとえば、細かい作業を丁寧にできる人材が欲しい場合のテストの例を挙げてみます。

【面接で行うテスト例】
異なるサイズの数枚の資料とステープラ(ホッチキス)を渡し、「留めて」とだけ指示し、どのように留めるかを見る。
【着目点】
紙のそろえ方、留める位置、留め方など手順を観察する。

たったこれだけのことでも、さまざまな角度からの観察ができるかと思います。ほかにも、メモの取り方、掲示物を張ってもらう、その場でエクセルの表を入力させる、煩雑なものを仕分けてもらうなど、方法と内容は、自社が求めるスキルに合わせて、いかようにもカスタマイズできます。

できる・できないではなく、様子や手順などからスキル・性格傾向を見ることが可能です。グループディスカッションを採用している企業も多いかと思いますが、本人が発言しているときの様子や発言内容ではなく、第三者が発言しているときの態度が重要だと考えます。

いかに立派な意見や積極性が見られても、ほかの人が話しているときの態度が他人事のようであったりするなら考えものです。

あらゆる企業で、コミュニケーションスキルを重視している傾向は強くなっています。それを自己PRのうまさ、発信力の強さととらえてしまっている現場も多くみられます。もちろん、自己理解は必要です。しかし、そもそもコミュニケーションとは、アピール能力ではなく、わかり合える力のことであり、相手あってのスキルです。

ほかの人が話しているときに、話し手のほうに向き、視線を合わせ、時にはうなずいたり、表情で応えることが必要不可欠です。さらには、発言の少ない人や発言のバランスを考え、「○○さんは、どうですか?」と声掛けができたり、単に、自分の考えを述べるだけでなく、前に話した人の内容を、受ける言動ができるかどうかも大きなポイントです。

きちんと相手と向き合える人は、スタンドプレーになる可能性は低く、上司や先輩のアドバイスを受け止めることができるでしょう。

面接の時点で自社の求める人材を見極めていく必要があります。よって、採用は、外注ではなく社員が、直接会って感じることができる「内製化」が大切なのです。

「人間関係」の教育は必須

次に大切なのは、人材育成です。採用してからの教育、既存社員の教育が継続的に必要です。職務における知識やスキルももちろん必要ですが、離職やメンタル不全の一番の理由は「人間関係」。よって、人間関係改善や構築のための教育は何よりも必須事項となりますが、実際は、ここを見落としがちです。

なぜなら、コミュニケーションは現場でのやり取りの中で育まれるという認識があるからです。しかし、多くの問題は、現場ですでに起こっています。コミュニケーション能力はなかなか数値化できず、すぐに結果が見えないので、後回しになりがちですが、そこに取り組んでいくことで、職場環境は改善され、最終的には、人材確保に最も有効な手段となります。

実際に私がかかわってきた企業も、「信頼される聞き方」「伝わる伝え方」そして「ストレスマネジメント」を全社員向けに行っていくと、メンタル不全者ゼロに達するところもあり、離職者軽減に大いに役立っています。

よく、外部研修に人事担当者のみを送り、持ち帰って自社で研修内容を伝達する方法を取っている組織も見られますが、本人の復習にはなっても、確実に内容を理解していないかぎり、それをさらに伝えていくことは不可能に近く、効果は限りなく薄いと言えます。また、管理者だけが知識を得ていても、スキルが高くても、意識レベルが違えば相手には伝わりません。

必要なのは、社員全員が同じように取り組むことです。たとえば、管理職だけがハラスメント研修を受けても、その知識が部下にないためにハラスメントでもなんでもないことで「ハラスメント」と訴えてくることがしばしばあるのです。ハラスメントではなく、単なるコミュニケーション不全と思われる相談のケースは、後を絶ちません。しかし、単なるコミュニケーション不全も数を重ねれば、上司からは「使えない部下」、部下からは「パワハラ上司」と認識され、本格的なハラスメントに移行していくことは否定できません。

組織は指示命令系統で動くので、「指導」や「指示・命令」は必要です。そしてお互いが共通の認識を得ることは最も大切なことです。階層により時間や回数などのボリュームは違っても、全社員が共通認識を得るためには、同じ内容の社内研修を行うことが重要なのです。