2018年も転職市場は活況。「安定した転職先」を見分けるには?

中途2018年も転職市場は活況。「安定した転職先」を見分けるには?

経営コンサルタントの中沢光昭です。これまでコンサルティング会社や投資会社に在籍時も含め、30社以上の破綻会社や業績低迷企業の再建・変革に携わってきました。私自身、転職を5回以上していたり、自分自身が中規模企業の経営者をしていたこともあったり、現在は事業承継問題を抱えた小規模事業者を複数社譲り受けています。

そうした経験を通じて業態も規模もさまざまな会社や、働く人たちを見てきました。その経験から今回は、現在のタイミングでの転職についてのお話をさせていただきます。

2018年も好況は続く。だが転職市場は…

2018年は引き続き、景気の実感があろうがなかろうが株価や連動する相場モノは上がっていくのでしょう。その流れを受けて、法人個人問わず資産を持つ者と持たない者の格差は今後も広がっていきます。ただし、経済も含めて歴史は繰り返すものです。具体的に何がきっかけか予測はつきませんが、どこかでトレンドが変わるときがやってきます。

そのときに起こるショックは、持つ者にも持たない者にも均等にやってきます。むしろそこまでの貯蓄を考えると、持たない者への影響のほうが大きいでしょう。メディアで金融業界の識者や関係者が「景気が良い」「政権安定によって国が成長する」と言い続ける(そして、潤沢な広告費を使って露出を高めている)のは、自分たちが持っている金融資産がこの数年で何倍にもなったからということが影響しています。

実際に「企業業績が反映されて、株価はこれからも堅調だ」と言っていた人が、数日後に「日銀によるETF買いが終わった時の暴落リスクは警戒しましょう」という話もたまに交えたりしており、メディアに出ることは正しいと思うことを伝えるよりも自分のブランド(話の信ぴょう性)を高めようとすることに位置づけているように伺えます。

なぜ金融関係者は本音を語らないのか?

金融資産で儲けた人たちは、その儲かったカネをモノやサービスへの消費に回すよりも、さらに追加で金融商品を買ったりしますので、いわゆるトリクルダウンは理想的な配分では起こりません。筆者の友人である大企業の会社員は(社内では出世街道とかではなく、ごく普通の評価の30代)はこの1年で1000万円以上金融資産が増えましたが、特別な消費はせいぜい50万円くらい使って旅行に行ったりちょっと高いレストランに行ったくらいです。

残りの950万円は100万円ビットコインをダメもとで買ったり、イベント(事件)で瞬間的に下がった会社の株(例えば東芝や神戸製鋼や大成建設)を買ったりと、金融資産が膨れるのを楽しむこと自体に使っています。つまり富める者は富み、そうでない人は特需的な恩恵を得らる機会すら得にくいです。

ショックがいつやってくるのか、どれほど急なものなのかはわかりませんが、さまざまな理由で転職を考えている人にとって、今は売り手市場ですので、良いタイミングなのかもしれません。そして、価値観は人それぞれですが、次を選ぶときには大なり小なり、安定性を考慮に入れて選ぶべきと言えましょう。

外食、小売業界には「勝ち組」「負け組」がいる

では、詳しい財務分析をするのは別として、安定した企業にはどんなところを見れば出会えるのでしょうか。まず企業をBtoCとBtoBに分けて考えていきましょう。

例えば、BtoCの外食産業や小売産業は、常に誰かが勝って誰かが負けています。一時期の建設、不動産、電機(家電系)、金融や総合商社のように、業界全体が総崩れとはなかなかなりません……。新興企業でもキラ星のように現れてスターダムにのし上がったと思えば、あっという間にダウントレンドになったりもします。大企業であっても勝っている時期もあれば負けている時期もあります。

それでも、負けているときにも耐えられる力がある点で大きい会社が有利でしょう。移り行く消費者の嗜好を捉え続けるためには組織が大きいと動きが遅くなるというマイナス要素もあれば、人材や情報が集まってくるメリットもあります。

中小企業の場合でも人間の気持ちの良さや楽しさを盛り上げたり、または都合の悪さを取り除くモノやサービスを生み出して勢いのあるところも常時あります。しかしやはり、いつ新しい技術で追い抜かれたり、消費者に飽きられたりしたときに体力の点で不安があります。

ただし、人間の根源的な欲求として、自分の予想通りにヒト・ユーザーや消費者が動いて結果が出る実感が得られることは、とても面白いことです。ただ、安定性を求める人は今のタイミングでは目を向けることは得策ではないでしょう。それは宿命みたいなもので、人生に何を求めるのかというところにつながっていきます。

安定した企業はどこで見分けるべき?

製造業など主だったBtoBのビジネスにおいては、勝つメカニズムはさまざまです。優位な技術があることが理由である場合もあれば、限られた権利や資源を持っていたり、先行投資によって他の追随を許さなかったり、特許を取っていたり、強固な取引関係を有していたりと、さまざまな形の既得権を持っていることがキーとなったりしています。

ただその実態については外から見ていてもなかなかわかりません。そこで判断材料とできるのはシンプルに、社歴の長さです。20年以上経っていれば、バブル崩壊とリーマンショックを乗り越えてきたということですので、「何か」があるはずです。さらに、社員のレベルが低いと感じられたらなお、安定感のある強い会社だと言えましょう。人材のレベルが低くても存続して行けている場合には、何か仕組みや既得権で勝利している理由があるからです。

そして社会構造や既得権の壁が当面、大きくは変わらないために、業界で2番手、3番手の会社は、1番手を目指すという意気込みが変わったとしても、なかなか結果は変わらないことが多いでしょう。

「社歴」が長くても要注意な会社も!

気を付けたいのは、社歴が長くてもいわゆるワンマン創業社長が20~30年引っ張ってきたような会社です。存続を支えてきた「何か」が創業者と共になくなってしまう可能性が大いにあるからです。特にコネを活かした特殊な取引関係や、匠の技で支えてきたような会社は要注意です。

そうした創業社長は魅力的な人物であることも多々あるため、何かの縁で出会ったときに話していると「この人の元で頑張ってみようかな」とも思ったりします。しかしそこは、5~10年後にどうなっているかを想像して他の選択肢を考えることが、あくまでも安定性を求めるのであれば得策になります。「後継者は俺の息子がしっかりしてるから大丈夫」と言われても、2代目が創業者を超える力を発揮する確率は、発揮しない確率の方が高いことを冷静に考えたほうが良いでしょう。

ただし概して、安定した会社においてはそんなに毎日の刺激や成長実感を求めてはいけません。そうしたものがほしければ、それこそ働き方改革ではないですが、趣味も含めて色々と手を拡げてみることをお勧めします。

転職を考える人が抑えておくべき点

今回の内容について「そんなの今までと変わらないではないか」と思われる読者も多いかと思います。まさに、社会の大元である政府の運営について、現行とは変わらない体制を支持する票を集めたのが2017年の衆議院選挙でした。

ここで異なる結果が出ていたら形式的にはルール、実態的には既得権の持続性が変わる部分が社会の各所で起こっていたのかもしれません。それが起こらなかったため、安定的なものはより安定し、そうでないものはそうでない状態が続くというのが2018年からの当面の傾向だということです。

もちろん段違いの革新的な技術を生み出した会社があれば安定性も革新性も得られるとは思いますが、生み出した人以外でその目利きができる人はごく稀です。転職を考える人は、それを踏まえたうえで考えましょう。