ゆとり世代の転職 特徴的な2タイプと不安の正体 「ここではないどこかへ系」「意識高い系」それぞれの特徴

総合ゆとり世代の転職 特徴的な2タイプと不安の正体 「ここではないどこかへ系」「意識高い系」それぞれの特徴

ゆとり世代の社会学者・福島創太さんは、ゆとり世代に転職が増えている要因の一つとして、キャリアに対する不安がある、と指摘します。一体、ゆとり世代はどんな不安を抱えているのでしょうか。アラサー世代とも重なるゆとり世代(※1)のキャリア観について考察した「ゆとり世代はなぜ転職を繰り返すのか? ―キャリア思考と自己責任の罠」の著者であり、自身も29歳のゆとり世代である福島創太さんと、ゆとり世代を転職に駆り立てる不安の正体について考えます。

(※1)ゆとり世代の明確の定義はないが、このコラムでは福島氏の著書に倣い、1987年生まれ~2004年生まれの世代(2017年時点で13歳~30歳)をイメージしている。

 

変わらない日常が続くことへの不安

ゆとり世代の社会学者・福島創太さんによると、ゆとり世代の転職は幾つかのタイプに分けられるといいます。中でも、特徴的なのが2タイプ。一つは、これといって「やりたいこと」があるわけでもなく、また明確なキャリアビジョンもなく、仕事にそれほど重きを置いていないように見えて、柔軟に転職を重ねていく人たち。

確固たる希望を実現するために転職をするのではなく、そのときに不満に思っていることから逃れるため、あるいはそのときの瞬間的な希望のために転職をする層を、福島さんは「ここではないどこかへ系」と命名しています。

「ここではないどこかへ系」の特徴

仕事内容がつまらない、上司が嫌い、なんとなく毎日がマンネリ化している、などの不満を抱え、「このままの状態がずっと続いていくと思うと不安」といった理由で転職活動に踏み出すのが、「ここではないどこかへ系」です。

「ここじゃない気がするんだよね」と転職する人たち (C) PIXTA

「『ここではないどこかへ系』は、『転職したい』と思ってから実行に移すまでの期間が長く、なかなか行動に移さない、というのが特徴です。というのも、この層は、趣味や交友関係、家庭などを重視していて、キャリアや仕事の重要度がそれほど高くないことが多いんです。

『転職したい』と言っていたとしても『職場も同僚も変わらないけど、彼氏ができたから、転職はもう少し後でいいかな』など、解消したい不安が、仕事だけではなく、プライベートも含めたトータルでの満足度の高低に関わっていることが少なくありません」

しかし、いざ転職活動を始めると、案外スムーズに転職できてしまうのが今の転職市場。

「スマホを見ても、電車内の広告を見ても、ちまたに転職情報はあふれています。勇気を出して転職エージェントに行くと熱心に相談に乗ってもらえ、高望みしなければ転職先も見つかります。良くも悪くも転職はライトになっています。一度転職すると、ころころと何度も転職をくり返す人もいます」

「意識高い系」の裏に隠れている不安

もう一つのタイプが、「私は常に成長できる環境に身を置いて、キャリアアップをしていきたいんです」という、積極的な「意識高い系」です。このタイプの中にも不安を抱えている人がいると福島さんは指摘します。

「私が書籍執筆のためにインタビューした方の中には、転職するしないに関係なく、定期的に転職エージェントに会いに行っている、職務経歴書を頻繁に更新して常に転職の準備をしている、という人がいました。

自分の市場価値や社会からどう見られているかを確認したい、というのがその理由なのですが、ベースには『この会社にいつまでいるか分からないから、自分の人材としての価値を知って安心したい』という気持ちがあります。

一度転職をすると、自分が所属している会社での自分の評価が、必ずしも他の会社での評価と同等ではないということが分かります。例えば、今の会社での評価はAでも、より条件のいい別の会社に行ったら評価はBとなってしまうことがある。そうなると、この会社でやってきた仕事や身に付けたスキルは間違ってなかったか、このまま今の会社にいて大丈夫なのかと、転職市場での評価や今の会社での過ごし方さえも不安になってきてしまうのです」

中には、より早く、よりスペックの高いキャリア形成を、と焦るあまり、転職を繰り返すようになってしまう人もいるようです。

子どもが生まれたらフリーランスが理想

「意識高い系」の中には、キャリアアップ、収入アップを目指すタイプの人だけではなく、「やりたいこと」を仕事にして自己実現をしたい、というタイプの人もいます。

「これは調査ではなく、僕の周囲にいるアラサー世代の女性の傾向として体感することですが、『やりたいこと』を仕事にして、いつかは子育てと両立できるフリーランスになりたい、というゆとり世代女性が増えてきているように思います。

『やりたいこと』の中身は、社会貢献、ソーシャルグッドに関わる活動であったり、趣味に関する活動であったりします。『やりがい』と『子育てとの両立』を重視して、多くは稼げないものの、家計の足しになる程度に稼ぎながら『やりたいこと』を重視する、という考え方です」

「いつかフリーランスになりたいよね」という女性が増えています (C) PIXTA

福島さんは、そこにも、ゆとり世代ならではの不安があるのではないか、と指摘します。

「女性活躍推進」の動きにより、最近は共働き育児が一般的となりつつあり、企業の両立支援制度も、まだまだ全然不十分だと思いますが少しずつ充実してきています。しかし、保育園不足はなかなか改善されず、長時間労働の企業体質もすぐに変わりそうになく、「両立不安(子育てと仕事の両立に対する不安)」は依然として解消されません。そうした中、今、働き方の選択肢の一つとして注目を浴びているのが、フリーランスという働き方です。

「両立不安も解消され、やりがいある仕事ができて時間的な余裕もありそう、となんとなくすべての要望がかないそうで『良さそう』と思われているのがフリーランスなのではないでしょうか。

しかし、フリーランスには会社員のような福利厚生も社会保障もありませんし、収入も不安定。しかし、そうした現実的な話を教えてくれるところはないため、負の部分に目を向けづらく、キラキラしたイメージだけで語られているのは危険な気もしています」

福島さんは、こうした「不安」に駆られてなんとなく転職を繰り返したり、安易にフリーランスを目指そうとしたりするゆとり世代に対して、「その選択のメリットだけではなく、デメリット、リスクについても考えて冷静に判断してほしい」と訴えます。

では、若いうちに転職を繰り返すことによるリスクとは何でしょうか。次回は、ゆとり世代が転職の際に意識するべきポイントについて福島さんと考えていきます。