総合「社長の働き方改革」「上司の働き方改革」を! 長期休暇を取って〝仕事が回る仕組み〟を創る。
井上 新しい上司の在り方というか、動き方について考えていったときに、例えば、石田さんご自身がまさにそうなのですが、仕事ができるリーダーほど時間のゆとりがあると僕は感じています。石田さんは、それについて、ご自身でどう捉えていますか?
石田 僕は翌年の計画を毎年11月か12月に立てますが、そのときには、まず自分自身の休みから予定を入れていきます。実は、今年も10月に3週間出かけるんですが、そのときだけは研修も全部外して、講演も絶対に入れません。やっぱりプライベートがある程度充実しないと……。仕事だけだったら続かないんじゃないでしょうか。新しい発想も出ませんしね。ところで、これはまだうちの社員にも言ってないんですが、来年からは個人的に「社長の働き方改革」として、年に2ヵ月間の休みをまるまる取ろうと思っています。
井上 まるまる? それはすごいですね!
石田 もちろん、連続ではないですよ、1ヵ月と1ヵ月を分けて取ります。その1ヵ月間は、沖縄の離島にでも行って、会社とのやり取りはメールだけ。電話も全く出られないようにするつもりです。働き方改革は、社長から率先してやるぞ――みたいな感じです。また、「長期間、会社から離れる!」と自分自身が決めることで、自分がいなくても会社が回る仕組みをつくっていくことになりますよね。
社員レベルだと、まるまる1ヵ月間の休みは難しいかもしれませんが、例えば、社員に「あなたはがんばっているから特別に2週間休みをあげよう。その間は会社に連絡しなくていい。その代り、仕事のやり方をちゃんと部下に教えてあげてほしい」と言えば、彼らも喜んで教えるでしょう。技術の伝承とかも全部出すことになるし引き継ぎもできる。
井上 「社長の働き方改革」というのは素晴らしいですね!
石田 僕がなぜ休みを取ろうと思ったかというと、外国人の働き方を見たことがきっかけでした。日本に来る外国人が「1ヵ月間空手を習いに来た」とか、「北海道から九州までラーメンの食べ歩きをする」など楽しそうに話すのを聞いたんです。彼らはこれでどうやって生活できるのか? なんで俺がやっと仕事を終えてビールを飲んでいるというのに全然違うじゃないか! という話になって(笑)、だったら自分で一回やってみようとなったんですよ。自分も、これを始めたらライフスタイルが変わっていくんじゃないでしょうか。

井上 たしかに、時間の使い方が上手い人って、先に決めているんですよね。もうプライベートの予定を入れてしまっているから、その中で何とかしようというイメージを組み立てている。
石田 逆に言うと、社員たちも考えると思いますよね。「そんなに長期間社長がいなくなってその間、どうするんですか?」と。もちろん長期休暇をとれるような仕組みをつくったうえでやっていますが。
井上 一般社員の人でも一緒でしょうね。ダメ上司がいてあれこれ言ってくる場合はどうしようもないかもしれませんが、業務設計をちゃんと持ってやっている人は生産性が高い。
石田 日本はアメリカみたいにジョブ・ディスクリプションがはっきり出ないと思うんですが、ある程度、仕事の枠は決めてあげた方がいいと思います。日本の特性として、できる人間ばかりに仕事が集まってしまう傾向があるので、それだと仕事のできる人が疲弊してしまう。ある程度の枠をつくってあげて、その中で評価してあげる仕組みをつくってあげればいいと思う。会社全体の〝見える化〟は絶対に必要だと思います。
いずれにしても、絶対に僕自身はプライベートの時間が必要ですね。仕事だけだったらパンクしてしまう。どこかで「もういいや」と投げ出すことになると思う。僕だけではなく、たぶんこれからは、プライベートの時間をきちんと取る経営者が増えるんじゃないでしょうか。
井上 僕も、成り行きでやってるように見える経営者の方は、これからの時代は厳しそうな気がします。
石田 繰り返しますが、普通の人が普通に働いて成果を出す仕組みをちゃんとつくってあげること、具体的には、休みをちゃんと与えてあげるといった環境が大事だと思います。その方が長続きする。それは、自分で会社を経営していてつくづく思います。それで売上が下がっているかというと全くそんなことはなく、これでよかったんだと思える。社員たちも、その時間でなんかしようと思うんでしょうね。
井上 仕組み化については、ちょうど当社内でも今期のテーマとして改めて掲げているんですよね。僕はもともとリクルートの事業企画などやっていた関係もあり仕組化志向は強いほうだと思うのですが、30代前半~半ばに前々職でベンチャーをやっていたときに、小ぶりながらに急成長したこともあり「気合でやろうぜ」という感じでやっていた時期もありました。後から振り返ると、当時その結果、社員が倒れたり、相当生産性が下がっていたと思うんです。やっぱり、どこか勝負処でギアを入れるのは今後もアリだと思うんですが、それは長くは続かない。経験からするとせいぜい1ヵ月半くらいが限界です。当時、それを超えて1年2年となったときに、いつも朦朧としていた気がします。みんな疲れてカリカリしてるから、わけのわからないことで小競り合いが始まったりしますしね(苦笑)。
石田 続かないんですよね。期末追い込みの1週間や2週間はいいと思うんですが、1年中気合いを入れ続けると倒れてしまう。
井上 人間の構造上、続かないですよね。
石田 そこをうまく息抜きするというのが重要だと思いますね。バランスを取っていくという。
井上 さて、この対談では、仕事の標準化や、若手の動機付け条件をよく理解することの大切さなどを話してきました。部長、課長の方が仮にお読みになって自ら行動を起こそうと思われたときに、自分の手元だけで完結していることには限りがあるので、会社なり部門事業なりに波及させていく必要がありますよね。そこに気づかれたら、石田さんにご一報を(笑)。
石田 それか、『課長塾』に出ていただいて一回勉強していただくいいと思います。他社の状況を知るということも気づきが大きいと思うんですよね。いずれにしても、今は本当にマネジメントの過渡期ですね。会社間のギャップもあるし、世代間のギャップもある。それらが凄く広がっているなあと感じます。そこの部分を変えることができる会社が、将来残っていると思いますね。変えられなければ、たぶん消えていってしまうでしょう。
井上 貴重なお話をありがとうございました。

(構成・文/津田秀晴)