ザッカーバーグ氏の影響? 新興トップに育休広がる

総合ザッカーバーグ氏の影響? 新興トップに育休広がる

新興企業の経営トップが育児休業を取得する動きが広がっている。フリーマーケットアプリ運営のメルカリ(東京・港)、スマートフォン(スマホ)ゲーム開発のモバイルファクトリーの社長が10月から2カ月の育休を取得する。新興企業では規模の拡大に伴い、結婚や出産時期を迎える20代後半から30代の社員が増えている。男性社員の育休取得率は日本では低い。トップ自ら率先して取得する「イクボス」になることで社員が育児に参加しやすい環境を整える。

10月中旬から2カ月の育休を取得するメルカリの小泉社長

10月中旬から2カ月の育休を取得するメルカリの小泉社長

10月から2カ月の育休を取得するモバイルファクトリーの宮嶌社長

10月から2カ月の育休を取得するモバイルファクトリーの宮嶌社長

■メルカリ社長は2カ月育休

「2人目の出産に際し、1人目の際の大変さを目の当たりにした。長女がまだ2歳になったばかりなので微力ながら協力したいと考えました」。メルカリの小泉文明社長は10月中旬から2カ月の育休取得を決めた理由をこう語る。休暇中の業務については執行役員やマネージャーに権限移譲しつつ、オンラインで業務に支障がないようにする。「権限委譲の良い機会。メンバーにはより責任感をもって意思決定をしていく」という。

メルカリは男性社員が育休を取得した際に産後8週間の給与100%を支給する人事制度を2016年2月に導入。これまでに26人の男性社員が同制度を利用して育休を取得した。今回は小泉社長のほか、子会社ソウゾウの松本龍祐社長も取得する。「社長が率先して育休を取ることで他の社員も取りやすくなる」と社内からは歓迎の声は上がっているという。

「企業成長を一番に考え、ひたすら仕事に集中してきたが、今回は家族に集中する2カ月間にしたい」。モバファクの宮嶌裕二社長は第3子の娘が誕生することに伴い育休を取得する。同社は社員の平均年齢が32歳と年々上昇しており、子どもが生まれる社員が増えている。16年の男性社員の育休取得率は66.7%で、厚生労働省の調査(3.16%)を大きく上回る。

「取締役2人に権限委譲しており、トップがいなくても会社は回る」(同社広報)。宮嶌社長は会社の近くに自宅があり、育休期間中に開かれる取締役会には参加する予定という。

■投資家からは厳しい声も

シニア人材を派遣するサイエスト(東京・港)の李嘉章代表取締役は16年8~9月に育休を取った。13年の創業で設立から日が浅い。育休制度は設けていたが、27人いる従業員で実際に取得した人はいなかった。トップが育休取得の第1号となることで「育休取得率を上げたい」(同社)。普段から業務内容は社内チャットで情報共有を図っており、育休中も完全に休むというわけではなく、リモートで作業することもあったという。

IT(情報技術)業界の育休取得では、サイボウズの青野慶久社長の事例が有名だ。海外では米フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が15年に2カ月の育休を取得し話題になり、メルカリなど日本の新興企業経営者にも影響を与えた。一方で、トップの育休を発表した2日以降、モバファクの株価は小幅に下落した。投資家からは「育休を取る時間があれば業績を上げてほしい」と批判的な意見も寄せられているという。イクボスが社会全体に浸透するには少し時間がかかるかもしれない。