日本人の給与が安いのはなぜ?

総合日本人の給与が安いのはなぜ?

少し前の日経に「役員給与、アジア勢が上 中国4000万円・日本2700万円 人材獲得で競り負けも」とありました。記事の冒頭には「中国やシンガポールでは部長の給料は平均2300万〜2400万円、日本は2千万円に届かず、取締役はベトナムにも抜かれる」とあります。日経のこの記事に限らず、海外では全般的に役職者の給与は日本の水準とは雲泥のレベルに上がってきているのが現状です。


なぜそういう状態がおきているのか、ですが、記事の中でコンサルタントの意見として「『海外は役割の大きさに応じ惜しみなく給与を配分する』と指摘する。日本は同じ部長職なら主力部門から間接部門まで給与水準をそろえる傾向があるが『海外は稼ぐ花形事業の責任者により多く払う』」とあります。

このコンサルタント氏の指摘は教科書的には正しいのですが、その一歩先を考えてみたいと思います。

私が25年海外で仕事をしていて感じる理由は「適材の不足」に尽きます。

先日、元取引先の当地の大手ゼネコンの社長と立ち話していたところ、「現場数が多すぎて監督(所長)があと10人は欲しい。大手は一定の給与額の設定があり、それ以上出せないのだが、中小の建設会社がルール違反でとんでもない金額で技術者を抜いていく」と嘆いていました。

これが何を意味するかと言えば人材の需要と供給で一定の能力、資格を持った人材が極端に不足しているため、給与が青天井で上がっていく状況が如実に映し出されています。では、それら上昇した人件費はどうやって吸収しているかと言えばエンドプライスを引き上げるのであり、最終消費者が「高い!」と文句を言いながらもちゃんと売れていくというのが実態であります。

では日本はどうなのか、と言えば一定水準の人材はまだまだ集まりやすいということなのだろうと思います。

一つには教育水準が押しなべて高く、大学卒業者も多くいます。就職すれば会社は高額の費用をかけて様々な教育、訓練を施します。つまりどんな人材でも一定水準を保っているのです。80年代にマクドナルド出身者を探せ、という飲食業界の声があったと記憶しています。同社が施したOJTや各種訓練の汎用性が極めて高く、飲食業界では同社を辞めて転職する人たちの奪い合いがあったのです。

また、日本の人事政策は30歳過ぎまではいろいろな部門を回らせ、ゼネラリストとしての基礎を作り、そこから専門性を高めていくというローテーションを行っています。つまり、課長や部長職になれる基礎力を持った人材を分け隔てなく作り上げてきたとも言えます。

そうするとどうなるか、と言えば部長候補が複数いて、選べるほど人材がいるのです。しかも社内選抜が主流ですから外部招へいに伴うスカウト代や上乗せ料はありません。外資系の場合でも募集すればまぁ、集まります。(使えるかどうかは別です。)ここが給与設定額が上がらない最大の理由だと思います。

では、比較的高額でオファーされる外資の幹部職はどうなのか、といえば「切り捨て御免」ですから何年残れるか、という話で、逆に外資がどうしても抱えたいという人材は給与水準はとてつもなく高いはずです。役員クラスなら年収4-5千万円は普通でしょう。私の知っているある方は成績連動型で月収が5000万円だった方もいます。たまに社長より高い給与をとる社員がいる会社があります。多くはその世界では誰でも知っている超一流の技量を持った方でむしろ「よくそんな人材、確保できたね」という怨嗟の声すら上がることすらあるのです。

言い換えれば海外には人材がそうふんだんにいないから幹部職の給与が高い一方で日本は同じ仕事をできる人間が多いから需要と供給の関係で低廉になっているともいえるのではないでしょうか?問題は日系企業が海外展開する際にその道のプロを海外で雇う場合、とんでもない人件費で予算と合わないということがしばしば生じていることが海外人事政策の最大のネックとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。