成果主義と年功序列、給与はどちらが高いか

総合成果主義と年功序列、給与はどちらが高いか

能力・成果主義と年功序列。IT人材にとって、どちらの人事評価制度の給与水準が高いのだろうか――。この実態を把握するのに役立つ調査結果を、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が2017年8月21日に公表した。

経産省とIPAが実施した調査は、「IT関連産業の給与等に関する実態調査」。IT関連企業368社とIT関連企業に勤務する個人5000人の回答を基に、IT関連企業の給与や人事評価制度の状況を分析したものである。

経産省はまず企業に対し、給与水準に対する「年功」の影響度を尋ね、「非常に大きい」または「大きい」と回答した企業を「年功型」、「小さい」と回答した企業を「中間型」、「まったくない」と回答した企業を「能力・成果重視型」と分類。その上で、これら三つのタイプごとに25歳、35歳、45歳、55歳時点の年収水準を比較している。

結果はどうか。能力・成果重視型と年功型の年収水準の推移を見てみよう。

図●人事評価制度の傾向別の年収水準
(出所:経済産業省と情報処理推進機構の調査結果を基に作成)
[画像のクリックで拡大表示]

標準水準の年収で見た場合、能力・成果重視型と年功型の年収に大きな差はなかった。それよりも目を引くのは、年収の最高水準と最低水準の数値である。

まず年収の最高水準を見ると、能力・成果重視型のIT企業に勤める25歳と35歳の年収は、年功型よりも高い。25歳時点の最高水準は498万3000円と、年功型の400万8000円よりも97万5000円高い。同様に、35歳時点の最高水準は708万6000円で、年功型の587万5000円と比べて121万1000円多かった。

25歳時点と35歳時点では、能力・成果重視型のIT企業で高い評価を受けると、年功型よりも高い報酬を得られることが分かる。

一方、年収の最低水準を見ると、35歳時点まで能力・成果重視型と年功型で変わりはない。25歳時点の能力・成果重視型の最低水準は323万3000円。年功型は329万7000円で、ほぼ同じだ。35歳時点の能力・成果重視型の最低水準は406万7000円であるのに対し、年功型は412万5000円で大きな差はない。

生涯年収の差はどれくらい?

40代以降はどうか。年収の最高水準では、能力・成果重視型と年功型の差が縮まる。最低水準については年功型のほうが上回っている。

45歳時点の最高水準を見ると、能力・成果重視型(754万2000円)と年功型(753万2000円)はほぼ同じ。55歳時点では、能力・成果重視型(835万7000円)と年功型(807万4000円)の差は約30万円。35歳時点での差(約120万円)と比べると、縮まっていることが分かる。

一方、最低水準の年収は、能力・成果重視型が45歳時点で454万2000円、年功型は504万円。能力・成果重視型のほうが年功型よりも、約50万円低い。55歳時点ではさらに差が広がり、能力・成果重視型が502万4000円、年功型は587万円。年功型のほうが、能力・成果重視型よりも80万円以上高くなっている。

ここまでは世代別の傾向を見た。では、一貫して能力・成果重視型に所属する場合と、年功型に所属する場合の生涯年収ではどちらが多いのか。経産省とIPAの調査では、25~55歳までの約30年間の生涯年収も算出している。

まず、標準水準の年収が続いた場合の生涯年収は、能力・成果重視型が1億6294万円、年功型が1億6252万円だ。その差は約30年で42万円である。

生涯年収が最も多いのは、能力・成果重視型の最高水準のケースだ。最高水準の年収を維持した場合、2億1298万円となる。年功型で最高水準を続けた場合は1億9448万円。その差は、約30年間で1850万円である。一方、最低水準の収入が25~55歳まで続いた場合、能力・成果重視型は1億2737万円。これは、年功型の1億3748万円よりも1011万円低い値である。

「IT関連企業が優秀なIT人材にきちんと報いるためには、能力・成果重視型の給与をもう少し高い水準に引き上げるべきではないか」。経産省の宇留賀敬一商務情報政策局ITイノベーション課課長補佐は、調査結果についてこう指摘する。