大変化時代は「先着順」という採用も有効だ 経営者の”好み”で採用する会社は負ける

総合大変化時代は「先着順」という採用も有効だ 経営者の”好み”で採用する会社は負ける

「ダイバーシティ経営」をご存知でしょうか。ダイバーシティ経営とは、多様な人材の能力を最大限発揮させて、企業のパフォーマンスにつなげる経営のこと。要は、男女を問わず、さまざまな人材を含め、世界競争に打ち勝つ企業体質をつくろうということです。今の時代、これは当然のことだと思います。

技術進歩のスピードが速くなっている

急速なITの進化で、技術進歩のスピードが今までとはケタ違いに変わってきました。数カ月前の話題であるAmazon EchoやAmazon Goなども、はるか昔といった感じがしてきます。無人走行車の進化もすさまじいものがあります。オランダでは先日、ドイツのダイムラーがオランダのアムステルダムで自動運転バスの実証走行を披露しました。すでに、乗用車やトラックでも世界の自動車メーカーがしのぎを削って開発を進めていますから、遠からず無人自動車が公道を走り回るようになるでしょう。

また、顔認証は実際に、サッカー観戦のときの入場券と購入者が同じかどうか一瞬のうちにチェックするようになっています。まもなく、ホテルのドアキーもなくなり顔認証だけになるかもしれません。また、ドローンの進歩は、さらに驚くべきものがあり、災害、事故、農業などあらゆる分野で使用されるようになってきました。毎日のように、ビックリするような異次元技術が紹介されます。明日も、きっと信じられないような製品、システムが日本中を駆け巡るでしょう。

そういえば、昨今話題の中学生の棋士、藤井聡太4段。昔は先輩棋士の紙に書かれた棋譜を収集し、いちいちそれらの棋譜を見ながら参考にして研究し練習し、九段、名人を目指しました。棋譜を集めるにしても、一枚一枚めくりながらです。それには相当の時間を要したはずです。しかし、藤井少年をはじめ今の若い棋士たちは、今までのデータを蓄積して駆使された最善手を映し出すパソコンを相手に研究練習をしている。時間的にも技術的にも圧倒的に先輩棋士をしのいでいます。

もちろん、それぞれにはAI、IoT、ビッグデータなどの技術が駆使されています。当然、これから産業構造も激変し、短いサイクルでのイノベーションが起こるでしょう。まさしく、これからは超高速、超複雑な時代になっていく。「明日がわからない時代」になっていくと思います。

そういう時代になってくると、いかなる「突然の変化」にも対応できるような準備を怠らないことが、経営者の役割です。ある日、目が覚めると周囲の風景が変わっている。突然、今の本業は、時代遅れとなり、社会から不要とされるかもしれない。あるいは、自社自体も不要になるかもしれない。そういう覚悟と準備をしておかなければならないでしょう。

とりわけ、いま始まった第4次産業革命。BARIS革命(ビッグデータ、AI、ロボット、IoT、シェアリングエコノミー、それぞれの頭文字)は、能力的にも性格的にも、いままでとはまったく異質な人材を準備しておく必要があると思います。

「どうもおとなしいからダメだ」「暗い性格だからダメだ」「なにを考えているのかわからないからダメ」などという基準で面接試験をしていては必要な人材を見逃すことになるかもしれません。これからは、変人や奇人をあえて採用するほうがいいかもしれません。

変人、奇人と思われるような人材がカギを握る

案外そのような人が、瞬時に変化する時代に、大いに役に立つかもしれません。IT企業でも、場合によっては「ITの知識がない人材(IT企業においては変人)」も受け入れておいたほうがいいかもしれない。異質の、異次元の商品を開発商品化して、それが市場に受け入れられるかどうか、評価させるのに、役に立つかもしれないからです。

そもそも、お客のほとんどが、ITに関する深い知識はありません。そういうお客に異質の新商品を販売するとなれば、売る前にIT知識のない人材にその新商品を使わせて意見を求めることは、一つの方法でしょう。

このように個性をもった人がたくさんいる会社は「強い」といえます。周囲の状況が変われば、それまでは光っていなかった人材が、極めて重要な人材となるかもしれないのです。急激な時代の変化とはそういうものです。

これからは、多種多様な人材を「今の基準」で考えてはいけません。「未知の遭遇」に備え、あえて変人、奇人の若者を集めたほうが、企業の将来にとってプラスになるのではないかと思います。

もちろん、「人間性」ということは当然の前提にはなりますが、それも最小限にとどめておく。そのような百花繚乱、多種多様、変人奇人の集団を、これからの企業は目指すべきではないかと思います。それが「超高速・超複雑な時代」「突然に変化する時代」「明日の風景がまったく予測できない時代」の人材採用の前提です。

今の自分の好みで採用してはいけない

今の基準で人材を判断しないこと、自分の好みや価値基準で人材をそろえないことが重要です。極端に言えば、むしろ、よほどの異常者でなければ、自分と異なった、自分好みではない人材を、あえて採用するべきかもしれません。

これからの時代は、さまざまな奇人変人を採用し、いざというときの人材としてプールできる企業が強い企業の条件になるかもしれません。また今、抱えている人材も、今、役に立たないから不要とするのではなく、いつか役に立つかもしれない人材として見ていくべきでしょう。経営者は、長期的な観点から、いつ、いかなる事態でも対応できるようにするべきでしょう。

会社を、青一色の集団、赤一色の集団にしていては、超高速・超複雑な時代に生き残っていくことは不可能です。いかなる変化にも即応できる経営、状況が一変しても直ちに即応できる人材の準備。その心掛けがなければこれからの経営者とは失格なのです。そういう観点からすれば、ある程度の人間性があれば、「先着順採用」をしてもいいのではないか。さまざまな人材を普段からプールしている会社が、これからの時代、生き残っていくだろうと思います。