「在宅」などで人手不足解消 育休中や休眠の人材を活用

総合「在宅」などで人手不足解消 育休中や休眠の人材を活用

さまざまな業界で人手不足が深刻化する中、育休中に在宅で勤務してもらったり、資格を持ちながら離職している「休眠美容師」を活用する動きなどが顕著になっている。家庭を中心にしながらも働きたいと考える女性と、離職を防ぎたい事業者の双方にメリットがある。(村島有紀)

自宅で、出産前に所属していた部署の仕事をしながら、育休からの復帰を目指す玉田雅子さん(左) =神奈川県内

自宅で、出産前に所属していた部署の仕事をしながら、育休からの復帰を目指す玉田雅子さん(左) =神奈川県内

◆業務委託の制度

東京都千代田区の三井住友海上火災保険の会社員、玉田雅子さん(29)は、平成27年6月に長女を出産した。産後休業や育児休業制度を利用後、長女(2)が1歳になったときに、復帰しようとしたが、自宅近くの神奈川県内の保育所が見つからず、育休を延長。今年4月入所で申し込んだ保育所もすべて落選し、待機児童になった。

会社の育休期間の上限に近づき、退社するしかないと思い詰めていたところ、会社から在宅で働く制度があると知らされた。同社の「MSクラウドソーシング」と呼ばれる制度だ。

6月からは1日平均2時間、育児に支障のない範囲で、育休前に所属していた部署の自動車保険関連マニュアルや営業推進資料の作成に携わる。

「出産後もずっと働き続けたいと思っていたが、職場を離れているとパソコンのスキルにも自信を無くしてきた。育休中も仕事に携わることで、以前の『仕事が好き』という気持ちを思い出した」と笑顔で話す。

同社では、昨年度から本格的な働き方改革に取り組み始めた。育休中の在宅勤務はその一つ。これまでに、希望する育児休業中の女性社員10人に自宅での業務を依頼した。人事部企画チームの荒木裕也課長は「保育所が決まらないという理由で、過去、数人の女性社員が辞めている。離職防止や、スムーズな育休からの復帰の観点からも有効な制度」と説明する。

◆パート中心の美容室

美容師資格を持ちながら離職している「休眠美容師」に職場に復帰してもらおうと、人手不足が慢性化している美容業界でも改革を軌道に乗せた会社がある。

美容室チェーンを展開するアルテサロンホールディングス(横浜市中区)は23年から、主にパートタイマーの美容師で運営する美容室チェーン「Choki Peta(チョキペタ)」を開始。1日3時間、週1日勤務も可、土日も休める-などの勤務条件で美容師を募集し、現在は首都圏24店舗に、全体の85%に当たる167人がパートタイムで働く。出産や育児で一時職場を離れていた女性美容師らが中心だ。

また、主婦の隙間時間を仕事に結びつけるサービスも人気だ。市場調査会社のソフトブレーン・フィールド(東京都港区)は、買い物で受け取るレシートを基に、購買理由を購入者に投稿してもらい、データ化する事業を開始。レシート画像をカテゴリーごとに登録、チェック、データ化する業務を約2千人の在宅ワーカーが担う。多くは、子育てや介護などで外で働くことが難しい主婦たちだ。

同社が2~3月にかけて実施した30~40代の主婦を中心とした会員向けの調査(974人回答、平均年齢46歳)では、パソコンやスマホなどIT端末・通信技術を活用して、時間や場所にとらわれずに働く「テレワーク」に77・5%が「興味あり」と回答している。

経営企画部の坂本由実子係長は「家庭に軸足を置きながら働きたいという人が多い。企業にとっても労働力不足の解消に役立つ」と話している。