IT人材不足解消の切り札「外国人エンジニア採用」という選択

総合IT人材不足解消の切り札「外国人エンジニア採用」という選択

ITエンジニアの不足は既に顕在化している。2016年に経済産業省がみずほ情報総研に委託して実施した調査によると、人口減少に伴い国内のIT人材の供給もここ数年ほぼ横ばいの92万人前後で推移しており、2019年からは入職者が退職者を下回って減少に転じる見込みだ。

一方でIT人材の平均年齢は2030年まで上昇し、将来的にはIT産業全体の高齢化という問題もはらんでいる。同調査で人材不足数をみると、2015年の時点で既にその数は17万人に達しており、今後も毎年2~3万人のペースで増え続ける。2030年には必要とされるIT人材数の約144万人に対して約59万人が不足するという。

ただし、この推計値は、市場の伸びを毎年1.5~2.5%として算出したもので、ITニーズの増加などでより高い2~4%の成長になると仮定した場合には、2030年には必要人材数の約165万人に対して人材不足は約79万人に達する。同年における人材供給力は85万人台まで減少する見込みなので、必要とされるIT人材数の4割から半数近くが足りないという、極めて深刻な人材不足が予測されているのだ。

この問題に対処するため、シニア層や女性の活用なども促進されるべきではあるが、根本的な原因は国内人口の減少であり、それだけでこの問題を解消するのは難しい。そこで注目されているのが、アジアを中心とした海外のITエンジニアの活用だ。

有能なIT人材の供給元としてのアジア諸国

日本のIT市場は拡大する一方、労働人口は減少の一途をたどっている。ITエンジニア不足は切実な問題だ。そこで注目されているのが、アジアを中心とした海外からのエンジニア採用だ。

2030年には約59万人の需給ギャップが生じるという予測も《クリックで拡大》

厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、情報通信業に従事している外国人数は2013年には約2万8000人だったが2016年には約4万4000人となり、直近の3年間で50%以上の伸びを示している。

中国やベトナムをはじめとするアジア諸国では、オフショア開発で日本企業と現地企業の橋渡しの役割を果たすブリッジSEを養成する企業環境が整備されており、近年では日本企業への就職を想定して自らエンジニアを養成する企業や、IT教育や日本語教育を提供する大学も増えている。

日本でも積極的に優秀な外国人材の獲得に乗り出す企業が増えており、人材派遣会社がアジア各国でエンジニアの大量採用を行う動きも加速している。

アジア諸国がITエンジニアの供給元として注目されているのは、IT業界に優秀な人材が集まる産業構造も影響している。経済産業省が実施した「IT人材に関する各国比較調査」によると、日本ではIT業界と他業界との年収差が小さい上、IT業界には「仕事がきつい、残業が多い」といったマイナスイメージがあり人材が集まりにくい傾向がある。

これに対しアジア諸国では、IT業界の年収が全産業のそれと比べて、タイやベトナムの場合は約4倍、中国で約7倍、インドやインドネシアでは約9倍も高い。加えて、日本人と比べて転職に対する抵抗感が低く、自己スキルアップへの意欲が高いことも、優秀な人材が集中する一因になっている。

もっとも、IT業界の人材不足は日本固有の問題ではなく、アジア諸国に人材を求める動きは世界中に広がっている。外国人にとってより働きやすい環境を整備するなど、日本に来て働いてもらうための努力は不可欠であり、そのためのノウハウも必要だ。

外国人エンジニアの「スキル」をどう見極めるべきか

外国人エンジニアの採用を、単に人材難を乗り切るための緊急避難的な措置と考えるべきではない。外国人登用には、社内の活性化や海外取引の拡大、外国人向けサービスの拡張といった新たな市場形成に貢献する可能性もあり、企業にとってより多くのメリットがあるといえる。

一方で、言語の壁や生活習慣の違い、在留資格や就労資格など、日本人だけの職場では顧慮する必要がなかった新たな負担も増えることは否めない。

これらは主に総務や労務の担当者の仕事だが、CIOや現場を預かるITマネジャーにとっても新たな悩みのタネが生じる。日本語を母国語としないエンジニアのITスキルレベルをどうやって把握したらいいか、ということだ。

スキルレベルをエンジニア自身の自己申告に頼っていては、正確なスキルを測るのは難しい。これは日本人エンジニアについても同じことがいえるが、外国人の場合は言葉のニュアンスもあって現実とのギャップはより大きくなる。

社内評価用にアセスメントツールを持つ企業もあるが、多くの場合、日本語版しか用意されておらず内容も頻繁に更新できていない。多言語に対応し、さらに日進月歩で進歩するIT業界の最新技術に合わせてツールを更新していくには費用も手間もかかる。

海外のベンダー資格なら最新情報への対応も万全だが、コストの高さがネックになってエンジニア全員を受験させられない上、個々の受験者のスキルを詳細に把握することも難しい。

共通指標でのエンジニアのスキルを「見える化」

ITエンジニアのグローバル化の波がわが国にも急速に押し寄せる中、エンジニアのレベルを言葉の壁を超えて一律で評価でき、最新のIT動向にも直ちに対応し、しかもコストパフォーマンスに優れた解決策が求められている。その代表的なものが、日本サード・パーティが提供するGAIT(ゲイト:Global Assessment of Information Technology)だ。

2012年10月にサービス開始したGAITは、ITエンジニアのスキルを客観的な指標で可視化するアセスメントツールだ。クラウド時代のエンジニアにはフルスタックの知識が求められる。GAITでは、データベース、OS、アプリケーション、セキュリティ、ネットワーク、ストレージ、仮想化という7分野、22カテゴリーの問題を日本語、英語、中国語で提供する。また、最新技術動向を反映するために設問は常時アップデートされている。

GAITの診断結果はスコアとレーダーチャートによって定量的に可視化されるので、個々のエンジニアがどういう分野を得意とし、どういう分野を苦手にしているか、スキルバランスを直感的に把握することもできる。

GAITのスコアレポート

GAITは、合否を判定する資格試験ではなく、エンジニアの「今」の最新ITスキルを可視化するアセスメントツールだ。個人でも受験できるが、主に企業や学校など団体での利用が一般的だ。インターネット経由のオンライン受験と試験会場での受験のどちらかを選べるようになっており、前者であれば24時間いつでも利用できる。

人と企業のさらなる成長のために

GAITを企業で導入するメリットとしては、次のようなことが挙げられる。

  1. 客観的、定量的な採用基準
  2. 人材配置(適材適所、プロジェクトアサイン)
  3. 育成計画の指標
  4. 明確な指標での評価
  5. モチベーション/学習意欲の維持向上

外国人エンジニア採用という観点から特に重要なのは1の客観的、定量的な採用基準だろう。

まず、エンジニアのスキルレベルを客観的な視点で把握できる。しかも、自前でアセスメントツールを開発する手間を省け、アセスメントを効率的かつ継続的に実施できる。統一された指標は人事評価の公平性、透明性を高め、エンジニアのモチベーション向上にもつながる。

また、個々のエンジニアの得意分野に応じて適材適所の人員配置をすれば、新規事業の立ち上げや既存プロジェクトの立て直しなどを円滑に実現でき、業務効率の向上につなげることができる。エンジニアは、自分の苦手分野が明確になることで、さらなるキャリアアップのためにはどこを強化すればいいのか、学習の方向性を定めることができる。

定期的にスキルアセスメントを実施することで、エンジニアに自律的なスキルアップを促し、企業全体の知識レベルを底上げして人材価値も高められる。IT分野全般に及ぶ広範囲な知識を習得できるので、企業もエンジニア自身も気づいていなかった、未知の適性を発見することもできるだろう。

GAITは海外でも急速に採用が進んでおり、特にアジアでは多くの企業やIT系大学で活用されている。インドでは、既に1万2000人以上が受験をしている(2017年6月時点)。アジアを中心に海外のIT人材を活用していこうという流れは今後も加速するだろう。いかにレベルの高い海外IT人材を発掘し、適材適所に配置していけるかが、日本企業の競争力を測るバロメーターとなる。GAITは、IT企業とエンジニアの競争力を高める強力なツールとして、今後ますます存在感を高めていくだろう。