就活本気度測定のAIが進化

AI就活本気度測定のAIが進化

新卒採用向けの人工知能(AI)が進化を続け、大企業の採用が広がってきた。他人のエントリーシート(ES)をコピペしたり、本命企業のために書いた志望動機を転載したりすると見抜かれる可能性もある。採用活動にAIが普及すれば、売り手市場とはいえ、学生はより真剣に向き合う必要がありそうだ。

■1万のエントリーシート読み込みを効率化

マイナビ(東京・千代田)と三菱総合研究所は18日、人材領域に特化したAIエンジン「HaRi(ハリ)」を開発し、新卒採用向けの新サービスを発表した。企業向けの新サービスではネット上にあるESの事例や過去のESのデータをAIが学習するなどして、他人を模倣しているESをあぶり出す。さらに本人が書いたESでも本当にその企業に行きたくて書いたのか、それとも本命企業向けのものを写したのか本気度を判断して、内定を出した場合に辞退する確率を出す「辞退者予測」機能も搭載する。50社程度の利用を見込む。

両社は学生向けのサービスも展開する。学生の勤務地などの希望、自らの専門性やスキルといった情報を、企業の過去の採用実績や募集要件と突き合わせ、おすすめの企業を提案する仕組み。志望企業や業種が明確になっていない学生に参考にしてもらう狙いだ。

両社は昨年10月、企業の過去の採用データをAIが学習し、ESから過去の採用者に近いかどうかを5つ星で評価するサービスを開始した。大手企業には通常、数千から1万を超えるESが届く。人海戦術による読み込みに手間がかかるうえ、読み手による評価のバラツキに頭を抱えていた。

両社のサービスは、大手のメーカーや商社、広告代理店など15社が実際に使ったという。ある企業で最終面接まで進んだ学生の割合を調べると、ESを人が読み込む従来選考に比べ、AIの判断を優先した選考の方が2倍だったという。別の企業は最終内定者の約9割がAIが星4つ以上の評価を出した学生だった。開発に関わった三菱総合研究所の山野高将主任研究員は「AIを活用すれば、企業は有望な人材により早くアプローチできる」と話す。

■採用基準を統一しやすく

実際、企業側のAI採用は広がっている。ソフトバンクは5月、日本IBMのAI型コンピューター「ワトソン」を利用した新卒採用を発表している。過去のESのデータをワトソンが読み込み、志望者のESが合格基準に達しているか確認する。人事担当者はAI活用で効率化できた時間を、志望者との面談などに使えるほか、統一基準でより公正な選考ができるようになるとみている。

全日本空輸(ANA)は2018年卒の事務職採用から、都内のベンチャー企業が開発したAIを活用する。人間が生まれつき持つ性格をAIが診断するアプリ「GROW(グロウ)」の利用を必須にした。面接に進む学生を選考する際に、学生の人柄を理解する補完材料として使う。

現状はESなどの選考作業にAIを使うケースが大半だが、面接そのものをAIが担うサービスも始まる。採用支援サービスを手掛けるベンチャー企業のタレントアンドアセスメント(東京・港)は6月28日、AIによる採用面接支援サービス「SHaiN(シャイン)」を発表した。

スマートフォンの専用アプリを使い、応募者が家で面接を受けることができるほか、ソフトバンクロボティクス(東京・港)の人型ロボット「ペッパー」でも動作する。距離や時間に関係なく面接ができ、応募者に対する公平性の確保などにつながるという。8月から申し込みの受け付けを始め、料金は面接1回当たり1万円前後を想定する。

採用AIの進化はまだ始まったばかりだ。AIにより採用担当側の恣意性が入りにくく「双方に納得性は高まる」との声があるが、企業の採用基準が大きく変わるわけではない。企業は自社に必要な人材を確実に採るためにAI活用に動く。学生側は小手先のスキルに頼ることなく、就職活動へのより誠実な姿勢が求められているのかもしれない。