若手転職市場 活況のワケ 理想求める新卒と人手不足の企業 「まず将来の展望明確に」

総合若手転職市場 活況のワケ 理想求める新卒と人手不足の企業 「まず将来の展望明確に」

20代前半の転職市場が活況を呈している。浮かび上がるのは、やりたい仕事や理想のワークライフバランスを求め、就職直後から転職情報を集める若者と、人手不足や新卒採用難を背景に、未経験者の獲得に乗り出す企業の存在だ。若手転職市場の実情を探った。

社会人2年目でファンコミュニケーションズに転職した斎藤さん(東京都渋谷区)

社会人2年目でファンコミュニケーションズに転職した斎藤さん(東京都渋谷区)

プログレスに営業職として転職した五位渕さん(東京都新宿区)

プログレスに営業職として転職した五位渕さん(東京都新宿区)

「ずっとこの会社でいいのかな」。2015年に新卒でウェブ制作会社に就職した斎藤香奈さん(24)が悩み始めたのは、入社10カ月の頃だ。

 

激務、将来に不安

 

顧客を任され、サイト制作の営業からディレクション、コンサルティングまでを担当。「忙しかったがスキルアップしている感覚はあった」。しかし女性の先輩はハードワークを理由に次々と退職。不安を感じ、「1年頑張って転職しよう」と決めた。

ウェブの知識とマーケティングスキルを磨ける職を探し、16年夏、ネット広告のファンコミュニケーションズに転職。「成長できそうだと思った」

企業のウェブでの販促施策のコンサルティング営業を担当。提案が通ることにやりがいを感じる。転職前より残業も大幅に減った。

「やりたい仕事」を求めて転職する若者も多い。15年春に都内の不動産会社に入社し、賃貸物件の管理業務をしていた五位渕創大さん(24)は、営業職を目指し昨年5月に転職活動を始めた。

「未経験で不安だったが、挑戦するなら早いほうがいいと思った」。面接では若さとやる気をアピール。不動産のプログレス(東京・新宿)で住宅営業として活躍する。

企業の若手採用意欲は旺盛だ。日本人材紹介事業協会によると、大手を通じた25歳以下の転職者数(16年度下期)は前年同期比20%増。エン・ジャパンの転職サイト「エン転職」では、3年前は全体の5割程度だった「第二新卒歓迎」案件が約7割に達した。

「即戦力となる経験者の採用が厳しいため、未経験者でも可とする条件緩和が進んでいる」と中途求人メディア事業部の岩崎拓央事業部長。新卒者の採用難も、第二新卒人気を後押しする。

 

「逃避型」繰り返す

 

売り手市場のなか、若者の間で「転職のカジュアル化」が進んでいると話すのは、パーソルキャリア(東京・千代田)の転職サイト「DODA」の大浦征也編集長。「求人情報に常に触れているので関心が高まり、転職への心理的な障壁が弱まっている」

厚生労働省によると、13年大卒者の3年以内離職率は31.9%。早期転職は挑戦がしやすい一方、スキル形成が遅れる、キャリア展望を持ちづらくなるなどの懸念もある。

「仕事が合わない、上司とうまくいかないなど逃避型の転職は、次の職場でも同じ事になりかねない」と法政大学の宮城まり子教授。「転職するならまず、将来どういう人材になりたいかをしっかり考えて」と助言する。

新入社員の定着に力を入れる企業も増えている。伊藤ハムは新入社員に対するメンター制度を導入。悩みを打ち明けやすくし、上司とメンターで育成計画書を作成する。

積水ハウスは、技術職の新入社員にインターン、内定段階から2年目まで同じ人事担当者をつけて定着を促す。

将来を見通せないことが不安につながる。「今の仕事が今後どう役立つのか、どんな活躍の場があるかなど、キャリアの先を見せることが重要だ」と宮城教授は話す。