コールセンターを手伝うAIのシゴトぶりを見てみると

AIコールセンターを手伝うAIのシゴトぶりを見てみると

某社のコールセンター業務のAI(人工知能)活用事例について話を聞く機会がありました。

AIに奪われる職業の上位にランクインしているコールセンター業務ですが、詳細を聞いたことがなく、ネットで詳しい資料を見かけたこともなかったので、非常に参考になったのです。

コールセンターを手伝うAIのシゴトぶり

てっきり、既存のコールセンターシステムをAIに置き換えていると想像していたのですが、全く違っていました。

既存システムはそのままにAIの端末を追加する形で、コールセンターのオペレーター1人につき2台の端末を使っているとのこと。さらに、この2台の端末とシステムは連動していないそうです。

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今までどうしていたのかというと、洗練されたコールセンターシステムが導入されているとはいえ、マニュアルは紙で、それぞれのオペレーターさんの机の上にはバインダーが並べられていました。その厚さは50センチとかなりの分量。電話応対しながら、該当する回答が書かれたマニュアルを探していたのだそうです。紙で手を切ってしまったりしそうですし、熟練も必要でしょう。

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新しいシステムは、従来のシステムには全く手を加えず、マニュアル部分にAIを導入しています。

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仕組みと使われているテクノロジー

新しい仕組みは、簡単にいえば電話のやりとりの声を認識し、該当する可能性の高いマニュアルの記述場所候補を5カ所、自動的に選んでリスト表示してくれるというもの。かなりシンプルです。

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使われている技術は大きく3つに分けられているようです。

1つは「自然言語認識」。電話のやりとりを認識する技術です。Watsonくんの得意とするところのような気もしますが、日本ではまだ得意ではないのか、お客さんの声の認識率は60%にとどまっているそうです。そんな理由もあってなのか、コールセンターのオペレーターさんは、お客さんの言ったことを復唱することが多いですね。コンピュータに分かるように話すことを兼ねているのかもしれません。

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認識された内容をもとに、お客さんの要望に合う内容が掲載されていると思われるマニュアルの場所を選び出すのが「機械学習」。

そして、5つ表示される候補リストに載っていれば「合格」、なければ「不合格」と、そのつど「オペレーターさんがAIに入力」しているそうです。その学習によって正答率が上がっていくのです。

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肝心のお客さんへの回答をどうしているかというと、厚さ50センチのバインダーのマニュアルと同じ内容がPDFビュワーで表示されるので、それを見ながら“人間”が回答しています。

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導入効果は?

導入の結果、オペレーターさんたちの負荷が下がり、またモチベーションが上がっているということなので、一定の効果はあるようです。

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AIが“仕事を奪う”のは、まだまだ先のようですね。いきなり業務を代替するわけではなく、ステップを踏んで賢くなっているという印象でした。

とはいえ、「お客さんの言葉を100%近く理解できるようになり、その内容から必要な回答を(5つの候補ではなく)1つ選べるようになり、その回答をコンピュータ自身がお客さんに声で伝えられるようになる」――そんな日は、意外とあっという間に来そうな気がします。

そのためにも、現在のコールセンターでの活用を通じて、AIに教え込んでいる。今はそういう状況なのだと理解しました。