思わず笑顔になる面接 グーグルの新卒採用 人事部プログラムリードの小山氏に聞く

総合思わず笑顔になる面接 グーグルの新卒採用 人事部プログラムリードの小山氏に聞く

人気ナンバーワンの転職先といわれるグーグル日本法人(東京・港)。中途採用のイメージが強いが、「積極的に新卒採用をしている」という。米シリコンバレーを代表するグーグルは世界中から多様な人材を集めているが、国内では、どのような新卒人材を求めているのか。グーグルの採用基準とは。人事部プログラムリードの小山弥生氏にたずねた。

4つの採用ポイント

――採用活動で大事にしている要素はなんでしょうか。

「フォーカスしているのは大きく分けて4つです。1つ目は、考える力や問題解決をする力。もう少しくだくと、広い視野でいろいろな角度から物事を捉えられる力や、新しい状況や環境でどうすればうまく仕事が進んでいくかの臨機応変さがあるか、スピード感をもって考える力があるかどうかがポイントになります」

「2つ目はリーダーシップ。役職やポジションの話ではなく、難しい課題に直面したときに、どうプロジェクトを進めていくか、チームと協力していくか、そこが試されます」

「3つ目は『グーグルらしさ』。私たちは『グーグリネス』と呼んでいるが、あいまいで不明瞭なその環境を楽しみつつ、解決方法を見つけられる自発性を重視しています。そのとき、失敗や間違いを恐れず前に進めること、これらをグーグリネスと呼んでいる。4つ目は、職務に関連したスキル、知識、経験。この4つを選考では見ています」

――これら4つの項目は、何を基準に判断するのですか。

 

グーグル人事部プログラムリードの小山弥生氏

 

「『ストラクチャード・インタビューイング』と呼ぶ方法を使っています。過去の経験に基づいて質問するパターンと、仮説に基づいて質問するパターンの2つがあります。たとえば、『○○を通して最も難しかった問題は何ですか。またそれをどうやって解決してきましたか』。そういった過去の経験に基づいて、その人の経験や考え方を見るのが前者。後者は仮説として『入社後にこんな問題に直面したら、あなたならどういう要素を踏まえて問題を解決しますか』と聞いてその人の経験や考え方を浮かび上がらせる。冒頭の4つの要素でいうと、この質問で、1つ目にあげた考える力や問題解決能力を見ています」

――経験をたずねる面接、どこの企業でも多い一般的な面接手法に見えますが、どんなことを質問するのですか。また、面接の時間はどれくらいですか。

「面接の時間は、最低でも40~50分程度。長引くケースも多いですね」

「受験者は『面接官が自分にどう答えてほしいのか』を一生懸命考えようとするが、深掘りするのは『あなたならどうしますか』という問いです。仕事での問題解決に正しい答えというものはない。だから、型にはまった正しそうな問題解決方法ではなく、『あなたならどうするか』と時には面接官とぶつかり合いながら議論する」

熱くなり、面接でホワイトボードに書き出す学生も

「そうすると受験者も面接官も熱くなって、『あれも伝えたい』『これも伝えたい』となる。我慢できずにボードに書き出す学生もいるほどです。そういうところを見たいわけです。(グーグルの面接は)その人の思考プロセスやマインドを深掘りできるような面接です。1次面接でも最終でも、面接官が違っていても、コアに見たいところは一貫しています」

――グーグルの面接、受けてみたいですね。

「楽しいと思いますよ。面接を受けた学生たちは、その場で合否がわかるわけではないのに、笑顔で出てくることが多い。否定されることなく自分の意見をとにかくぶつけて面接官とオープンに話しができたという、満足感があるからだと思います。実際、結果はどうあれ満足したという学生は多いですね。自分はこういう風に考える人間だったんだなど、発見する学生も多いようです」

ちょうネクタイの学生、意図は

――グーグルならではの採用試験というのはありますか。

「ユニークさでいうと、服装はリクルートスーツではなく、動きやすくて自分らしいもので来てもらい、面接でも自分らしい姿や考え方を見せてくださいと伝えている。それはグーグルが求める多様性ともひもづいています」

――行き過ぎた格好の学生などはいないのでしょうか。

「学生自身が伝えたいアピール方法だと思うので、問題ありません。以前、グーグルのロゴカラーのちょうネクタイやセーターできた学生がいましたが、『どうして選んだの』と聞けば、その人の個性や考え方が見える。どんなポイントでもそこから向き合ってみてみたいのです」

――グーグル独自の試験として、「エアポートテスト」というものがありますが。

 

 

「エアポートテストは、いわゆるくぐりぬけなければならないテストではなく、面接の際に面接官が用いる考え方のことです。2人で出張に行き、飛行機が欠航になり、24時間2人で空港に過ごせますか、と尋ねたときに、イエスかノーか、またそれはなぜなのかを深くたずねていきます。『グーグリネス』に関する問いともいえます」

――新卒は何人予定していますか。

「公表していませんが、『積極採用』します。ただし、新卒の募集としては一部、応募を締め切ったものもあります」

――筆記試験もありますか。

「筆記試験よりも、対面の時間を重視した選考プロセスとなっています。現段階の新卒採用では、性格診断テストや基礎学力を計るためのテスト等は実施していません。エンジニアの場合、コーディング(プログラムを書くこと)のクイズがあります」

「社員」ではなく「オーナー」の気持ちで

――学生はどんな対策をしたら入れるのでしょうか。

「確かに会社説明会などで『どうすれば受かりますか』とよく聞かれる。逆にそこに答えがあったらつまらないですよね。みんな違って、みんないいと思うから、人事の仕事は面白い。学生には『あえて答えがないのがいいんじゃないですか』と逆に問いたいですね」

――グーグルの人事のプロがオッと思う学生の共通項は何ですか。

「新卒、キャリア採用に限らず、魅力を感じる人に共通するのは、誠実、謙虚、素直だということですね。様々な状況や場面において自分にも他人にも常に、誠実で素直でいることは簡単ではない。これをつきつめている人に出会えると、採用担当としてうれしいですね」

「あとはオーナーシップをもって仕事できる人。グーグルでは『社員』でなく『オーナー』になってほしいと思っている。新卒でも10年目でも。自分がオーナーならどういう決断をして仕事をするか、面接で掘り下げると見えてくるので、本当に大事なポイントだと思います」