Facebookの企業向けSNS「Workplace」で社内コミュニケーションを活発化――働き方はどのように変わる?

総合Facebookの企業向けSNS「Workplace」で社内コミュニケーションを活発化――働き方はどのように変わる?

5月17日、Facebookはエンタープライズ向けSNS「Workplace by Facebook」(以下、Workplace)を国内で正式発表した。それに先立つ5月16日、クラウドテレフォニーサービスを提供するDialpad Japan、クラウドツール導入支援を行うSLASHと共に、最新クラウドサービスを生かした働き方に関するセミナーを開催した。

ご存じの通りFacebookは、全世界でのアクティブユーザー数が月間19億と、まさにコミュニケーションプラットフォームといっていいSNSで、月間6億人のアクティブユーザーを抱えるInstagramも擁している。

Workplaceは、いわば“ビジネス版Facebook”だ。2015年に「Facebook at Work」という名称でβ提供を開始し、2016年10月に名称を現在のものに変更した。

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Facebook本体とInstagram、Messenger、WhatsAppの月間アクティブユーザー数

慣れ親しんだUIで社内コミュニケーションが活発化

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Facebook パートナーシップ&アライアンス担当 アンソニー・ラッセル氏

Facebook パートナーシップ&アライアンスを担当しているアンソニー・ラッセル(Anthony Russell)氏は「スマートフォンなどのモバイル端末では、多くの人がコミュニケーションツール関連のアプリを使っている。中でもFacebookは、全世界で毎月19億人がアクティブに利用中だ。Facebook社内でも、2万人の社員たちが社内でのコミュニケーションツールとして使ってきた」とこれまでの経緯を説明。

「基本的なUIを含めて見た目が普通の(コンシューマー向け)Facebookと変わらないことから、弊社に限らず、どの企業においても戸惑うことなく使い始められ、社内での円滑なコミュニケーションに役立つはずだ。実際、社内SNSツールの一般的な利用率は20%だが、Workplaceの場合は平均70%以上の社員がアクティブに利用している」と述べた。

このように、多くのユーザーがWorkplace上でアクティブにコミュニケーションを取る理由として、慣れ親しんだUIのためトレーニングが不要で、モバイルファーストで開発されているため場所を選ばずにアクセスできることなどを説明。個人アカウントとも切り分けられているので、ビジネス利用でも安全であることを強調した。

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Workplaceは親しみやすく、モバイルファーストで、ビジネスの中心となり得、アカウントが切り分けられているためセキュリティ面でも安心とアピール

Workplaceを実際に利用する場合、ユーザーはまずチーム、プロジェクトなどといったグループに参加する。投稿は、自分のタイムラインではなくグループ宛てに行う形だ。投稿できるコンテンツは通常のFacebookで利用できるテキストや写真、保存済み動画やライブ動画などに加え、アンケートなどはよりリッチなものが用意されている。

PCでは画面中央にグループのタイムライン、左カラム下部に自分が参加しているグループリスト、右カラムには現在トレンドとなっているトピックが表示される。コンシューマー向けFacebookで提供されているような翻訳機能も用意。Work Chat機能では、Facebook Messengerのように、テキストだけでなく音声やビデオ通話を複数人で行うことができる。また、管理者が許可すれば、「マルチカンパニーグループ」により社外の人ともコミュニケーションを取ったり情報共有したりすることも可能だ。

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コンシューマー向けFacebookとの違いをあまり感じさせないUIを採用する

WorkplaceではOneDriveやDropbox、box、Google Driveといったメジャーなクラウドストレージサービスと連携するほか、G Suite、zendesk、Salesforce、SharePointなど既存の社内システムとの連携も可能だ

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APIが用意されており、さまざまな既存のクラウドサービスやIDサービスと連携する

コンシューマー向けのFacebookとWorkplaceとの主な違いは、次のようなものになる。

  • プライベートサブドメイン割り当て
  • 全データは企業が所有
  • シングルサインオンを提供
  • 国際認証SOC2(Service Organization Control 2)を取得
  • アナリティクス機能を装備
  • コンシューマー向けアカウントのフレンドの写真やゲーム、Facebook広告の非表示
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WorkplaceではFacebook(個人アカウント)のゲームや広告、友だちの写真などが表示されない

なお、気になる利用料金だが、課金はアカウントごとではなく、月間アクティブユーザーごとに行われる。アクティブユーザーが1000人まででは1人あたり3ドル、1001〜1万人までは1人あたり2ドル、1万1人以上では1人あたり1ドルとなっている(すべて米ドル。セミナー開催時は日本円未定とのこと)。

初期費用は無料で、社内の既存システムやグループウェアとの連携機能、シングルサインオンなどを省いた無料版も用意する。なお、2017年9月末まで機能無制限のプレミアム版を無料で利用できるキャンペーンも実施中だ(ただし、7月1日以降の申し込みは90日間の無料期間後に有料となる)。

オフィスにしばられず、働きたい場所で働く

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Facebook 執行役員 新規事業開拓 兼 パートナーシップ事業部 横山直人氏

Facebookの横山直人 執行役員は、コミュニケーションの大きな潮流として「デバイス、コンテンツ、つながりが変化してきている」と述べ、「直接会ってコミュニケーションを取るだけでなく、オンラインで、しかもモバイル端末で行うようになってきており、グループでやり取りすることで透明性も増してきている。Facebookは社会的にインパクトがあると思えるものに対して開発を集中させ、できるだけ早く作っていくよう努める文化がある。そこで、プライベートで価値の高まっているコミュニケーションプラットフォームFacebookを、ビジネスの場にも持ち込めるよう開発に踏み切り、このように正式にリリースすることができた」と説明した。

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Facebookがコアバリューとしている5つの要素

これまで、実際に社内でFacebookを基盤としたコミュニケーションツールを利用してきた横山氏は、「メーリングリストなどで会社代表から送られてきたメールに対して、一般社員が返信したり意見を述べたりするのはハードルが高い。でも、Facebookと同じような見た目のWorkplaceであれば、リアクションを起こすことは容易で、入社(転職した)当初から意見を言いやすかったし、組織全体がオープンだという印象を受けた」と語った。

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横山氏が身をもって体験したという働き方の変化

ツールだけでなく文化の醸成も欠かせない

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Dialpad Japan マーケティング担当 櫻井澄子氏

セミナーでは、クラウドテレフォニーサービスを提供するDialpad Japan マーケティング担当の櫻井澄子氏も「使い慣れたUIであれば、利用するのに頭を悩ませる事もなく、トレーニングも不要だし、いちいち考え込まずに済むため生産性は上がる」とWorkplaceの意義に触れつつ、自社サービスについても「Dialpadの場合、シンプルなUIを採用しており通常の電話のように使える。電話番号が割り振られているため社内/社外関係なく誰とでもコミュニケーションが取れる。また、会社用の電話番号にかかってきた電話をPCでもモバイル端末でも受け取れるので働く場所を選ばない。通話の内容を、留守電も含め音声とテキストの形で保存しており、社内のナレッジとして蓄積できること、G SuiteやOffice 365、Salesforceといった既存のツールと連携して使えるといった点でも、ビジネスコミュニケーションツールに必要なものがそろっているので、新しい働き方を促進するのに役立つ」とアピールした。

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Dialpad Japan セールスエンジニア & カスタマーサクセスヴァイスプレジデント 泉篤彦氏

製品デモのために登壇したDialpad Japan セールスエンジニア & カスタマーサクセスヴァイスプレジデントの泉篤彦氏は「相手がどのような状況なのか、通話中なのか、スケジュールが入っていて忙しいのか、対応可能なのかがひと目で分かるため、それぞれが好きな場所で仕事ができる。そのため、Dialpad Japanオフィスでは火曜日と木曜日は出社しなくても良い日となっており、サポートチームも今日(5月16日は火曜日である)は好きな場所で仕事をしている」と自社の例を引き合いに出した。

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SLASH 代表取締役 松林大輔氏

セミナーの共同主催者SLASH 代表取締役 松林大輔氏は、このような働き方改革で大切なこととして「社内における文化の醸成が、スマートワーク実現における柱として重要。クラウドツールや社内制度が整っていても、“オフラインでの会議をやるからその場にいろ”“やっぱりメールがいいよな”では、いつまでたっても実現できない」と解説。

松林氏は「スマートワークが浸透すれば、イノベーションが促進されるだけでなく、大きなオフィスも不要になるためコスト削減もかなう。ワークライフバランス改善に取り組んでいる企業と、そうでない企業では生産性に倍の差が出てくる。実際、最新コミュニケーションツールを導入することによって、ミーティングの時間を減らして自分の作業に集中する時間を増やせ、長時間労働を改善できた企業もある」と実例を交えて説明。ワークスタイルの変革が、社員にとっても企業にとってもメリットの多いものであることから、早急に取り組むことの重要性を強調した。

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スマートワークの実現における三本柱