部下の育児両立どう支援 人材獲得へ変革の契機 金沢イクボス企業同盟 玉田善明発起人代表

総合部下の育児両立どう支援 人材獲得へ変革の契機 金沢イクボス企業同盟 玉田善明発起人代表

金沢市内の企業70社以上が2月、「金沢イクボス企業同盟」を立ち上げた。互いに情報交換をしながら、仕事と育児・介護などを両立する部下を支援する「イクボス」を育成する。同盟の発起人代表を務める玉田善明氏(玉田工業社長)に狙いや取り組みを聞いた。

――同盟を発足させた背景は。

「かつてのバブル経済の時代、中小企業に(就職する)人がまったく来ない時期が続いた。少子高齢化が進む今も、同じような状況になりつつある。会社としてワークライフバランスをしっかり実現するという表明をしないと、もはや企業に人は来ない。黙っていては、そういう意思がないとみられる。積極的にアピールする必要がある」

「同盟を結成する際に感じたが、イクボスの概念は経営者の間で十分に浸透していない。同盟に参加してイクボス育成の意思を表明することは、自らが変わるきっかけにもなる」

――具体的にどう取り組みますか。

「業種も企業規模も異なるので、一律のルールを決めるわけではない。金沢市の協力も得ながら、企業ごとの取り組みや進捗を定期的に報告し合い、取り入れられる部分を参考にする。そうした取り組みを高校や大学にも宣伝したい」

――玉田工業での取り組み状況は。

「業務の見直しを進めている。営業は外から帰ってきて見積もりや書類を作成することが多く、残業が当たり前だった。だが、日中にメールや電話をして社内で手が空いている別の人に代行させればいい。業務を分析した上で人が足りなければ必要なだけ雇う。深夜割り増しの残業代を払うより、そちらの方が利益面でも理にかなっている」

「部課長といった管理職への教育にも取り組んでいる。例えば部下が出先から営業所に戻る時刻が遅くなる場合は、上司が部下を自宅に帰らせて仕事をさせないなど、働き方をコントロールするようにしている」

――一方で政府の「働き方改革」の流れに異論をお持ちです。

「今後働き手が減るなかで、企業が変えるべき部分があるのは事実だし、世の中が変化したことも認識している。だが、企業規模も業種もおかまいなしに一律に枠組みを決めて一気に改革を進めるという動きはおかしいのではないか。あまりにハードランディング過ぎる。業種や規模、実態も勘案して5~10年かけて取り組むべきテーマだ」

「日本企業のうち中小企業が占める割合は99%を超える。だが、今回の働き方改革の流れは、中小の実態やそこで働く日本人というものをちゃんと踏まえたものになっているのか非常に疑問だ。今後は人材や資金に余裕がある大手企業にさらに人が殺到し、中小にはますます人が来なくなるのではないか」

――日本の労働生産性は低いとされています。

「効率化や集中は必要だが、いろんな人がいるように、人それぞれの働き方があっていい。同僚と夜まで食事をしながら話をして、それから仕事に取りかかる人もいる。効率よく8時間で仕事を終わらせる人がいるからといって、同じやり方を他の人にまで強制するのは難しいのではないか」

 

たまだ・よしあき 1971年(昭46年)金沢工大工卒。74年玉田製作所(現玉田工業)入社。91年社長に就任。2017年、金沢イクボス企業同盟発起人代表。69歳。