春季交渉、賃上げ・働き方両立探る 経営者アンケート、ベア「縮小」6割

総合春季交渉、賃上げ・働き方両立探る 経営者アンケート、ベア「縮小」6割

2017年の春季労使交渉は、労使が企業の持続的な成長には賃上げと働き方改革が両輪であるという認識を強くする節目となった。15日に主要企業が賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)や一時金を労働組合に回答した。好業績を背景に4年連続のベア実施となったが、日本経済新聞社が実施した緊急アンケートでは16年よりベアが縮小した企業は約6割にのぼった。人手不足への対応も迫られる労働市場の変化に春季労使交渉のあり方もかわってきた。

 

日本経済新聞社が主要企業を対象にアンケートを実施し、90社から回答を得た。

今春季労使交渉でベアが前年より「縮小」と回答した経営者は55.6%に上った。「横ばい」も13.3%あり、「拡大」は11.1%にとどまった。

上場企業の17年3月期の純利益は2年ぶりの過去最高を見込むが、足元では米トランプ政権の動向など先行きへの警戒感を強める経営者が多い。賃金を決める理由として「業績の先行きが不透明なため」との回答が21.3%あったほか、「景況感の改善が不透明なため」も14.6%あった。

賃上げの勢いは陰りを見せるが、長時間労働の是正や女性の活躍など働き方改革を通じて競争力を高めようとする企業の取り組みが目立った。

賃上げ以外の交渉内容についての回答では、法定労働時間外に従業員を働かせるために労使で結ぶ「36(サブロク)協定の見直し」が2割を占めたほか、所定労働時間の短縮も約7%あった。

トヨタ自動車はベアは16年より200円低い1300円としたが、子育て世帯の生活改善を重視。4月から子ども1人あたり月額2万円ずつ支給する家族手当の支給を前倒しで実施。組合員平均で月額1100円の上積みとなり、ベアを含めた賃金改善分は計2400円と前年を上回る。

野村ホールディングスは「ノー残業デー」や「在宅勤務」を回答。日本電産の永守重信会長兼社長は1千億円投じて自動化投資し「20年残業ゼロを目標にして残業が減っても年俸が減らない賃上げなども計画している」とコメントした。

一方、雇用者数の約4割を占める非正規労働者や、事業所数で9割強を占める中小零細企業の労働市場では、人手不足を背景に賃金が上昇傾向にある。

三大都市圏のパートタイム労働者の時給は昨年11月に初めて1千円を超えたとされる。厚生労働省の毎月勤労統計調査では1月にはパートの所定内給与の時給は前年同月比2.5%増となり、昨年から正社員の増加率を上回っている。

事業所内託児所の開設など働き方改革については資金力の劣る中小零細企業には難しい。日本の競争力を強化するには非正規労働者の待遇改善は格差是正とともに欠かせない。