社員寮、じわり復権 福利充実で人材確保

総合社員寮、じわり復権 福利充実で人材確保

企業の社員寮を復活させる動きが出てきた。人手不足で採用が思うように進まないなか、福利厚生を充実させて優秀な人材を確保する狙い。社員寮で共同生活を営み様々な部門の社員と関係を築ける利点もある。

伊藤忠商事は2018年4月、横浜市に独身寮を新設する。現在は借り上げ寮を使っているが、借り上げ寮を統合して自社物件の寮として運営を始める。約360人が入居できるほか、120人が使える「シェアキッチン」付き食堂、サウナ付き大浴場も備える。食生活の指導も検討している。

様々な部門や年代の社員が入寮するため「寮で得たネットワークは将来大きな力となる」と期待する。希望者が入寮するが「入社したら、むしろ全員を入れたい」(西川大輔企画統括室長)。

コニカミノルタは社員寮を東京都日野市に今月20日開設する。250室あり入社7年目までの独身者が入寮する。目指したのは「シェアハウス」のような社員寮。各階に共有スペースやキッチンを設けた。トイレも共用で「個室内で生活が完結できないようにして、交流が活発になることを期待している」(同社)。採用が増えている外国人との関係構築や、寮のイベント運営などで企画力や指導力を養成する狙いもある。

消防車両国内最大手のモリタホールディングスは4月、兵庫県三田市に社員寮を新設する。従業員40人強が入居できる9階建ての寮を建てる。5月にごみ収集車など環境車両事業を手がける子会社の工場と本社を、大阪府八尾市から兵庫県三田市に移転する予定。「経験のある従業員を継続して雇用できるようにする」(同社)という。

バブル崩壊後、社員寮を抱える企業は資産圧縮をねらい、売却する動きが強まった。資産からどれだけ収益があがるかを厳密にみる流れも定着し社員寮の新設に積極的な企業は多くなかった。

労務研究所(東京・港)によると、調査対象の企業のうち16年に独身寮を保有しているのは15.5%。東日本大震災による景気低迷により保有率が一段と低下した12年を底に上昇してきた。みずほ証券の石沢卓志上級研究員は「リストラが一巡したうえ働き方改革が始まり、福利厚生の充実にカジをきる企業が目立ち始めた」と指摘する。

「安定収益が見込める用途として社員寮にする動きも出ている」(みずほ証券の石沢氏)。共立メンテナンスの16年4~11月の社員寮事業の売上高は前年同期比8%増えた。

同社が運営する「ドーミー蒲田」(東京・大田)には24社の社員が入居する。入居者が所属する企業の数は10年前と比べて2倍以上になった。金融機関の支店やIT、製造業など業種も幅広い。