総合ミドルの中途採用拡大 30~40歳代即戦力に需要
30~40歳代を中心としたミドル層を中途採用する動きが国内企業で広がっている。事業のグローバル化や構造改革に乗り出す企業が増加し、高いマネジメント能力や技術を持つ即戦力の重要性が一段と高まっている。
三井化学は2016年度中に理系の人材を中心に50人を中途採用する方針で、前年度までの採用実績に比べて約2倍に増やす。50代の人材も初めて採用した。17年度には60人以上の中途採用を予定している。
同社は自動車やヘルスケアなど新規事業の拡大に力を入れており、異業種で経験を積んだ人材の重要性が高まっている。伸沢啓太採用チームリーダーは「社内のノウハウ不足を中途採用で補っている」と話す。
アシックスは13年から管理職の中途採用を本格化した。海外事業の急拡大で管理職を任せられる人材の育成が追いつかないことが背景にある。20年の東京五輪に向けて重点分野に位置づけるアパレル分野では16年に5人の部長職を採用するなど、中途入社の人材が全体の過半を占めるまでになった。
同社の売上高に占める海外比率は00年から上昇が続き、現在は7割に達する。様々な国籍の社員を管理し、海外の取引先とコミュニケーションを取れる社員を数多く確保するため社外に人材を求めた。「社内に新しい風をふき込んでほしい」(人財開発部採用チームの広上佳隆マネジャー)と企業文化への好影響も期待する。
日本電産は技術力の強化に向け、2年間で課長級以上約1000人を中途採用すると表明している。英系人材紹介のロバート・ウォルターズ・ジャパン(東京・渋谷)のデイビッド・スワン社長は「即戦力の経験者を社外に求める企業は増えている」と話す。
日本人材紹介事業協会(東京・港)がまとめた人材紹介大手3社の紹介実績によると、41歳以上の転職者数は16年度4~9月期に3108人。前年同期と比べ27.4%増加し、世代別に見ると25歳以下に次いで伸び率が高かった。
中途採用は応募者の専門知識のレベルを見極めたり雇用条件を交渉したりする必要があり、新卒とは異なる採用ノウハウが求められる。日本企業は外資系に比べて中途採用の体制が手薄だったが、ビズリーチ(東京・渋谷)の多田洋祐取締役は「ヘッドハンター経験者を採用し、中途採用の担当者に充てる日本企業も現れてきた」と話す。社内のエース級人材を中途採用の担当者に充てる企業も多いという。
転職サイトを運営するエン・ジャパンの石原良太マネージャーは「ミドル層に限れば、転職経験がないと中途採用で不利になるケースがある」と話す。転職が活発になるにつれ、複数の企業での経験が採用側へのアピール材料となってきた。企業が中途採用を重視する流れは、働き手の意識改革も促している。