総合世界最下位!日本人の「仕事満足度」はなぜ低いのか
残業ゼロでも趣味ゼロ
「働き方革命」待ったなしの日本!

外国人が驚く“日本人の不思議ちゃん行為”の1つに、「友人同士の飲みの場で、会社名とポジションで自己紹介する」というのがあるのをご存じだろうか。
外国人のなかで友人同士の飲み会は、完全にプライベートな飲み会。ファーストネームだけで自己紹介し、どこの会社で何の仕事をしているなんて絶対に語らない。そんな場に、ご丁寧に名刺まで出してダメ押ししてしまう“強者”もいたと外国人の友人から聞いたときは、こっちまで赤面してしまった。
しかし、その“強者”の気持ちもわからなくはない。日本人にとって「仕事はライフワーク」であり、名刺の肩書は「自己表現のすべて」である日本人が実に多いからだ。
このことを裏付けるように、こんな記事が話題になった。
<月末の金曜に退社時間を早めるよう企業に呼びかける「プレミアムフライデー」が、2月24日から初めて実施されることになった。しかし、皮肉なことに、退社時間が早まっても、「何をしていいのか分からない」と困惑する「趣味ゼロ」な人間が多いようだ>(引用:読売オンライン「『残業ゼロ』でも『趣味ゼロ』という大問題」)
仕事ばかりに人生を捧げてしまった結果が「趣味ゼロ」。仕事だけが人生の痕跡・自己の証明になっていると、「働き方革命」が進んで長時間労働是正や残業ゼロによる定時帰宅を実現させても、空いた時間を活かすことはできないであろう。
そこで筆者は考えた。「日本人の仕事がライフワーク」になっていることこそが、日本の労働問題の喫緊の課題となっているのではないかと。
日本の「仕事満足度」は
世界35ヵ国中最下位?
日本は「仕事の満足度・やりがいが世界一低い国」とも言われている。
・世界仕事満足度調査では世界35ヵ国中最下位。(世界最大求人サイトIndeed社調べ)
・世界最大のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービスLinkedinの調査(2014年)においても、日本の正社員は世界26ヵ国で一番「やりがいを感じていない」という結果(withnews)に。
“仕事がライフワーク”として、人生を仕事に捧げているにもかかわらず、満足度・やりがいが世界一低いとは、何と物悲しいことか。

それに比べて、アメリカやシンガポールで一緒に働いてきた外国人たちは、いつも職場で楽しそうにしている。海外の職場は、のどかな雰囲気が漂っているので、あまり働いているように見えないが、実はハイスピード&ハイパフォーマンスなのだ。
たとえば、筆者と同じチームで働く外国人たちは、毎週のように海外出張しながら、アジアだけでなく欧米諸国ともビジネスを行う。担当する国の時差の関係で、24時間仕事の対応に追われている者さえいるのだ。自宅や移動中でも日本人より働くので、結果として長時間働く者は多い。
そんな環境で働く外国人たちだが、日本の職場で常に漂う“疲弊感”がない。
では、なぜこのような違いが生まれているのだろうか。以下3つの論点からこの違いを分析していきたい。
(1)日本人にとって仕事は「ライフワーク」。では、外国人にとっては?
(2)なぜ日本には会議や稟議、根回しなど無駄な仕事が多いのに、外国人の職場にはないのか?
(3)信頼関係を築けた外国人が、あっさり転職。理由は何か?
「疲弊感が漂い、やる気もバリューも低い日本の職場」と「のほほんとした雰囲気の中で、ハイスピード&ハイパフォーマンスな外国の職場」。この両者にはどんな違いがあるのか。
リーゼント的日本の「働き方革命」3つの提言
(1)日本人にとって、仕事は「ライフワーク」。外国人にとっては?

外国人にとって最も大切なのは「人生を楽しむこと」。仕事は「人生を楽しむという第一プライオリティを支える手段」なので、仕事も大切ではあるけれど、あくまでプライベートを犠牲にし続けることはしない。
どんなにワーカホリック(仕事中毒)な外国人でも、日本人より多くの時間を、プライベートや家族のための時間として確保する。とりあえず家族と一緒に夕食を楽しみ、その後残った仕事を家でこなすのだ。金曜日の晩に電話会議がないのも普通で、特に筆者の部署では金曜日は基本、自宅勤務となっている。
ちなみに、日本では金曜の晩に飲み会が多いが、海外では「金曜日の飲み会はタブー」だ。シングルの外国人ならいざ知らず、家族持ちの外国人たちは金曜の晩から週末にかけては“家族と過ごす大切な時間”である。いつも以上に足早に帰宅していく。筆者もその素晴らしいシステムにならい、週末は子どもの塾に付き添ったり、一緒に遊ぶ日と決めている。
【リーゼント的日本の「働き方革命」への提言(1)】
「働き方革命」についての話題で、何かと残業時間ばかりがクローズアップされ過ぎているように思う。しかし、個々人のライフサイクルや生活に応じた、フレキシブルな働き方である「いつでもどこでも働き、成果を出せる仕組み」の醸成を促進させなければ、「残業ゼロ」を実現することは難しいだろう。オープンオフィスやテレワークの話題はよく見聞きするようになったが、いまだに「在宅勤務」の注目度が低いことに、筆者は正直不満だ。
(2)なぜ日本には会議や稟議、根回しなど無駄な仕事が多いのに、外国人の職場にはないのか?
先日、求人・転職エージェント最大手、エン・ジャパン株式会社の調査にて、日本で働く64%のミドルが自社の労働生産性の低さを感じているとの結果(参考記事:ハフィントンポスト「64%のミドルが自社の労働生産性の低さを感じている。その原因は?(調査結果)」が報告された。
“仕事がライフワーク”として、人生を仕事に捧げているにもかかわらず、日本は仕事の満足度・やりがいが世界一低く、それに加えて「生産性」まで低いとは……。物悲しさを通り越して、情けなくなってくる。
グローバル企業では、無駄な業務がなくなるよう、結構な頻度で業務改善を行い、効率化を図っている。もし、上司が無駄な仕事を「昔からある仕事だから」と何の改善もせず残していたら、バカ上司として部署全体から突き上げられ、職場を追われることだろう。
ちなみに、筆者がシンガポールのデロイトコンサルティングで働いていた頃、グローバル企業の日本進出を支援した際、色々な業務改善を垣間見てきた。そのとき効果のあった「ムダ業務改善策」を紹介しよう。それは「事業部・部署内での仕事の担当者替え」だ。大規模な業務改善ではなくとも、部署内の同じような仕事をしている人の担当を交換するだけでも良い。
「現状の仕事をマニュアル化できる」「新しい担当者がマニュアル化された仕事の粗を発見し、改善する」といった方法で、無駄な部分がかなり発見され、効率化できたのだ。
また、経営の神様、ピーター・ドラッカー博士も次のように語っている。
「仕事には時間を無駄にするものがたくさんある。誰もが同じ事情を抱えている。成果にはなにも寄与しない仕事に時間を取られ、膨大な時間が、ほとんど、あるいはまったく役に立たないことに費やされる」「よくマネジメントされた組織は日常はむしろ退屈な組織である」(『経営者の条件』より)
要約すると、日々の仕事は膨大なムダな仕事に溢れている。もし組織が適切にマネジメントされたならば、すでに起きた問題は再び起こらないように再発防止や対応策がテンプレート化されたり、業務が標準化・自動化されルーティン化され、退屈に感じるくらいに時間のゆとりが生まれるだろうと説いているわけだ。
【リーゼント的日本の「働き方革命」への提言(2)】
普段の仕事は効率的に感じられても、ムダに溢れている。「ムダありき」の前提で、経営者や管理職はムダを洗い出し、改善する仕組みを組み込んで行かねばならない。組織の「事業部・部署内での仕事の担当者替え」、業務の標準化、自動化を定期的に行い、組織で働く人々がやりがいを感じる「生産性革命」を実施すべきである。
(3) 信頼関係を築けた外国人が、あっさり転職。理由は何か?
職場の雰囲気がとてもよく、「今このチームは最高のチームだ」と思っていたら、突然メンバーが次々離職したという経験はないだろうか。筆者の職場でも、つい先日起こってしまったのだ。仲の良いチームメンバーが転職し、さらには、たびたび記事のネタとして登場していた最大限に尊敬する大ボスまで辞めてしまったのだ。雰囲気がとても良いチームだったので、心底驚いた。
しかしこのことも、外国人の仕事観に鑑みると理解できる。外国人たちは「目指している方向へキャリアアップしていると感じている間は働く」という仕事観を持っている。言い換えると、会社との関係が良くても、同じような仕事ばかりして、これ以上のキャリアアップはないと感じれば、転職してしまうということだ。
仕事が自身のキャリアアップに繋がるかどうか、就職の際に仕事の内容と規模を明確に提示されるので、ポジションに就く前に確認することができる。だから、もしチームのボスが突然、「とにかくやれ」「つべこべ言うな」と、問答無用で仕事を割り振るようなことがあれば、外国人たちは必ず反発する。日本人のように、言われるままに滅私奉公的に働くことは決してないのだ。
特に海外のグローバル企業では、異なる意見を尊重し、議論が好まれることもあり、「なぜ、この仕事をする必要があるのか」「別のやり方のほうが良いと思うが、なぜ指示される方法でしか対応できないのか」と、容赦なく下剋上的な質問や異なる意見が飛び交う。その際、ケンカ腰な口調ではいけない。穏やかに、でもストレートに、ついでに敬意を込めながら交渉すべきだ。
交渉と言えば、筆者はデロイトコンサルティング時代、外国人の専門コンサルタントの知恵を借りるための交渉で、苦労しまくったことがある。
グローバル総合コンサルティング会社であったため、経営戦略、業務改善、人事・組織改革、ITなど、とにかくお客様のビジネス改善に関わることすべてに対応しなければならないなか、どうしても各領域の専門の外国人コンサルタントのサポートが必要であった。
しかし、外国人は先述したように、自分のキャリアアップに繋がる仕事しかしない。しかも1年強も売上ゼロの営業コンサルであった筆者のお願いなど、本気でサポートしてくれる人はごくわずかであった(連載第23回「1年超の「売り上げゼロ男」から脱出!人生を逆転させた最強コミュニケーション術」参照)。
そこで筆者は、彼らの協力を得るために次のような策を講じた。
たとえば、「プロジェクトの成功のために、どうしても必要な資料なのだ。あなたのような素晴らしいプロにぜひ協力してほしい」と相手を持ち上げてみたり、「日本企業は最初、小さく始めるが、いったん始めると長期にわたり必ず投資しサポートする」「アジアNo.1の経済大国日本は、これから東南アジア進出が加速する。今、このプロジェクトを成功させることができるのは、将来素晴らしい財産となるはずだ」などと、ひたすらに相手のモチベーションを上げさせるように、最大限にゴマをすった。
そして、ひとたびプロジェクトが進んでも、筆者が前面に出るのではなく、コンサルタントたちに責任を与える。主体性をもって働き、密かに誘導するものの、彼らのお陰で成功しているように十二分の配慮をした。
一方、日系企業の多くで、本社が失敗を恐れるあまり、あれこれ口を出し過ぎてしまったがために、外国人プロフェッショナルたちのモチベーションが下がってしまい、事業がうまく立ち上がらなかったというケースも見てきた。
このことは日本人にも当てはまる。アジアに駐在している日本人が、アジアでは制限はあるものの、大きな権限を与えられていたにもかかわらず、日本に帰国し権限がなくなると、モチベーションがなくなったという話を、筆者は何度も耳にしている。
【リーゼント的日本の「働き方革命」への提言(3)】
仕事とは、海外では「人生を楽しむという第一プライオリティを支える手段」であると同時に、「自己実現の手段」でもある。常に理想の自分に近づく成長を与えるものでなくてはならない。
グローバルでは経験が浅くても、能力の高い人には大きな自己裁量権を与える。日本においても、従業員を信じて、実力がある社員ややる気がある社員には、責任を与えて仕事をどんどん任せるべき。目標達成のために多く働く必要があると思えば、人は主体的に働くものだ。
とはいえ、長時間労働で貴重な人材が疲弊し、潰れたら元も子もない。経営者や管理職には、部下の健康状態や精神状態に対して十分な配慮を期待したい。部下の成長を生きがいとし、部下のハートに火をつける管理職評価や人材育成の仕組みを築くべきだ。
日本よ、「働き方革命」で
満足度の高い国へと変われ
いかがだろうか。2017年はまだまだ始まったばかり。トランプ米新大統領就任で新しい世界への不安と期待が入り混じる今こそ、日本が「働き方革命」で世界の中でも仕事のやりがいと満足度の高い国へと急変革し、繁栄のイノベーションを実現させ、日本だけでなくアジア、世界の国々を幸せにするリーダー国として発展していくことを、心から切望する。