育児・介護で退職した人の再就職支援「リターンシップ」

総合育児・介護で退職した人の再就職支援「リターンシップ」

米フォーチュン誌は1月11日付けの記事で、米国のIT企業7社が実施している通称「リターンシップ」と呼ばれるキャリア再開制度について報じた。育児や介護などを理由に退職した専門職人材を対象とした再就職支援を行っているという。(以下、抄訳)

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このリターンシップ・プログラムは、米非営利組織「パス・フォワード」が立ち上げたもので、子供の世話や親の介護を理由に退職した専門職人材に対して、16週間の臨時雇用を提供する試みである。参加企業は、Verisk Analytics、AppNexusを始めとする米国のIT企業7社。

パス・フォワードがこのリターンシップ・プログラムを実施するのは今回が2度目。昨年8月には6社がプログラムに参加して、内4社が合計で10人のリターニー(職場復帰者)を雇用した。これらの人々は今年2月下旬から3月初旬に試用期間を終える予定。

パス・フォワードのタミ・フォアマン理事長は、第1回プログラムでは20~30人の採用を意図していたと言い、10人という人数は「希望よりは少なかった」。問題のひとつは、企業側の求めるスキル水準が高すぎることで、エンジニアリング分野ではとりわけその傾向が強い。だがこれらの企業は、「長期休暇から復帰する人材の状況」に慣れる必要がある、とフォアマンは言う。

今回パス・フォワードと提携した新しい7つの企業は、エンジニアリング、マーケティング、プロフェッショナル・サービス、テクニカル・オペレーション、セールスなどの分野で、合計30人ほどの採用を見込んでいる。企業側はパス・フォワードに対して運営費用を支払い、その対価としてプログラム運営のトレーニングやサービスが受けられる。

リターンシップの募集職はパス・フォーワードのウェブサイトに掲載されるが、実際の人材募集や審査、給与の支払いなどは企業自身が行う。リターンシップの対象となる専門職人材は、5年以上の職務経験があり、育児や介護などで少なくとも2年間離職していることが条件となる。

再就職を望む女性たちが置かれる厳しい状況

パス・フォワードがリターンシップ・プログラムを創設した背景には、職場復帰を望む専門職人材――とりわけ女性たち――の置かれた厳しい状況がある。

米人材イノベーション・センターが2010年に発表した調査では、高技能を有する女性で自主的離職を経験したことがある人は31%で、その平均期間は2.7年に上った。さらに10人中9人の女性はキャリアの再開を望んでおり、その73%が職場復帰に成功したが、フルタイム雇用の主要職を見つけられたのは40%にとどまった。

また2014年にニューヨーク・タイムズ紙などが25~54歳の非就労者を対象にした調査では、61%の女性が「家庭の責任により働くことができない」と答えた一方で、男性の場合は37%にとどまった。さらにこれらの主婦の女性で、「前年に仕事探しをしていない」と答えた人の約4分の3は、もしフレックスタイム制や在宅勤務のオプションがあるならばキャリアを再開したいと答えた。

人材イノベーション・センターの研究所長を務めるローラ・シャービンはフォーチュン誌に対して、パス・フォワードが提供するようなリターンシップ・プログラムを成功に導くには、職場に復帰した人たちを脇役的な仕事に押しやるのではなく、これらの人材の経験を尊重するポジションを与えることが重要だと述べた。そうでなければ、「不当な仕打ちを与えることになる」と彼女は語った。