AI日立、IoTで働き方改革へ米社と提携 職場をAI解析・助言
日立製作所は米不動産サービス最大手のジョーンズラングラサール(JLL)と、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業で提携する。各種センサーでオフィスの利用状況や人の動きを細かく調べ、人工知能(AI)解析を加えて職場づくりを顧客企業に助言する。働き方改革を進める日本などアジア各国で事業を共同展開する。IoTの活用の場が製造業などから広がる。
日立の東原敏昭社長とJLLのクリスチャン・ウルブリック最高経営責任者(CEO)が近く面会し、正式契約を結ぶ。両社はまず、シンガポールで事業の実証試験に取り組む。日本などでも試験サービスを順次立ち上げ、2017年度前半にも事業を本格展開する。
日立のIoTサービス基盤「ルマーダ」を活用する。顧客企業のオフィス内にある机や椅子、扉などに小型センサーを取り付ける。感知した熱や振動データから、各社員がどれぐらい机に向かっていたか、いつどのように会議室を利用したかなどの情報を集める。
収集データはルマーダ内のAIで解析し、作業が滞る場所や時間帯、無駄な空間の有無といった問題点をあぶり出す。JLLの専門コンサルタントが解析結果をもとに、設備のレイアウト変更や最適な作業手順を助言。仕事効率の向上に役立ててもらう。社内での無駄な移動や会議も減らせるため、長時間勤務の是正にもつながる。
社員の満足度向上も後押しする。体の揺れ具合から装着者の喜怒哀楽を測定できる名札型首掛け式センサーを使う。いつ誰と会話したか、どこにいたかといった情報と組み合わせ、部署間の交流が活発になる座席配置やストレスを感じないオフィス環境を提案する。データは匿名化し、プライバシー保護を徹底する。
IoTを不動産分野に応用するのは珍しい。従来は調査員が現場を回り、離席率や会議室の利用状況を調べるなど手間がかかっていた。設備の稼働状況をリアルタイムで把握できるため、省エネや故障の予兆診断も可能になる。顧客企業は不動産管理費を最大2~3割減らせるという。
JLLは世界80カ国で不動産管理や運営受託を手がけ、従業員は7万人。アジア展開に力を入れており、同地域に強い日立と組む利点は大きいと判断した。日立はJLLが管理・保有する物件への関連機器やサービスの導入拡大が期待できる。提携をテコに20年度に関連事業で1000億円の受注獲得を目指す。