総合退社から出社まで一定時間確保 インターバル制導入機運
従業員が退社してから翌日の出社まで一定時間を空ける制度を導入する企業が増えている。KDDIなどに次ぎ、三井住友信託銀行が昨年12月から導入したほか、ユニ・チャームやいなげやも今年から採用する。制度が義務化されている欧州に比べ、日本での取り組みは遅れている。長時間労働の是正が経営の重要課題になるなか、政府も同制度の普及を後押しする考えで、今後追随する企業が増えそうだ。
「勤務間インターバル制度」と呼ばれ、欧州連合(EU)は1990年代初頭から、加盟国に最低でも11時間の休息確保を義務づけている。一方で日本では法定労働時間に基づいて従業員の始業時刻を合わせるなど、画一的な働き方を求めてきたため、導入が遅れていた。厚生労働省によると勤務間インターバルを導入する企業は調査した約1700社のうちの2%にとどまっている。
ユニ・チャームは5日から、社員約1500人に対して、残業をしても翌朝の出勤時間を遅らせるなどして8時間以上休息するよう義務づけた。勤怠データを基に、休息が取れていない社員には個別に上司が業務改善を促す。同時に深夜勤務を減らすため、1月から午後10時以降の残業を原則禁じることも決めた。
大手スーパーのいなげやはパートを含めた約1万人の従業員を対象に、2017年中に10~12時間の休息を確保できるようにする。休息が確保できる勤務表しか作成できないようにシステムを変更する。人手不足のなかでの同制度の導入は人件費などがかさむ懸念はあるが「従業員の心身の健康を優先する」(いなげや)としている。
三井住友信託銀行は16年12月に、退社から出社まで9時間以上空ける対象を嘱託を含む約1万4千人の全行員に広げた。従来は海外とのやり取りで残業時間が多い部署などで先行実施していたが、全社規模に広げて働き方改革を推し進める。
6年前に同制度を採用した三菱重工業は「管理者を含め、できるだけ残業を減らすように社員の意識が変わってきた」という。
同制度は翌日の出勤時間を遅らせることができるため、残業を助長するとの指摘もある。ノー残業デーといった様々な制度と組み合わせた取り組みが欠かせない。ホンダは残業しても翌日は仕事が終わってから12時間以上空けて出勤する制度を導入している。有給休暇の取得も徹底することで、従業員1人あたりの総労働時間が全国水準を下回り続けるなど、労働時間の削減につなげている。
厚労省も制度導入に必要な労務管理用ソフトウエアの購入などにかかる費用の一部を助成する予定だ。社員の過重労働をいかに減らすかが問われるなか、働き方改革の一環としてインターバル制度を導入する動きは広がりそうだ。