総合非正規の賃上げは能力向上で
仕事が同じなら賃金も同じにする「同一労働同一賃金」をめぐり、正社員と非正規社員の待遇に差があっても問題ないとみなせる例などを示したガイドライン案を、政府が明らかにした。経験や能力、成果、貢献度などに応じて賃金に差をつけることは認められるとしたのは、妥当だろう。
非正規社員の賃金を上げるため政府は同一労働同一賃金の制度化をめざしているが、重要なのは非正規で働く人たちが仕事に必要な技能を高め、貢献度を上げられるようにすることである。職業訓練の充実など環境の整備に政府は力を注いでもらいたい。
ガイドラインは待遇の差が訴訟になったときに、裁判所が判断の参考にする可能性がある。
基本給については、職業経験や能力などに違いがあれば差が許容されるとした。賞与も会社の業績への貢献度に応じた支給を認めている。生産性に応じて対価を払うという、賃金決定の原則に沿った内容になったといえよう。
待遇の差の理由について従業員への説明を企業に義務づけることは見送られた。だが説明責任は当然ある。求められれば企業はきちんと対応すべきだ。
非正規で働く人は雇用されている人の4割近くを占め、パート社員の時間あたり賃金は正社員の約6割にとどまる。消費を伸ばすためにも非正規社員の賃金増が求められているのは確かだ。
企業が賃金を上げやすくなるよう、働く人の能力を高める職業訓練の意義は一段と増している。国や自治体が、たとえばバウチャー(利用券)方式で受講者が自由に講座を選べるようにすれば、訓練施設の間で競争が起き、サービスやIT(情報技術)などの分野の充実を期待できよう。
職種によって国が設けている能力評価の仕組みも、サービス分野などの対象職種を増やしたい。
企業もパート社員などへの教育訓練にもっと力を入れるべきだ。生産性向上が賃金上昇を後押しする流れを広げる必要がある。