正社員と非正規の待遇差、許容できる基準を政府が例示へ

総合正社員と非正規の待遇差、許容できる基準を政府が例示へ

非正社員の待遇改善を図るための「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府が年内にまとめるガイドライン(指針)案を巡る議論が29日、本格的に始まった。指針案では、基本給や賞与、各種手当について、正社員と差をつけてよい例と悪い例を具体的に示す。待遇差が合理的かどうかの基準をはっきりさせることで、企業に非正社員の待遇改善を促す狙いがある。

この日開かれた働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)で、労使の代表や有識者が指針案の内容について話し合った。政府は年内に指針案をまとめた後、指針に実効性を持たせるために関連法を改正する方針。改正法の内容は年度内にまとめる予定だ。

指針案では、経験・能力、職務の内容、勤続年数などに応じて基本給の額が決まるケースを想定。そのうえで、たとえば「通算の勤続年数を評価して額を決める」のは差を付けてよい例、「有期雇用社員の直近の雇用契約期間だけを評価して額を決める」のは悪い例――などと示す方向だ。

ログイン前の続き賞与については、会社の業績に対する社員の貢献度に応じて払うケースを想定したうえで、差をつけてよい例と悪い例を示す方向だ。とくに「正社員にだけ賞与を支給し、有期社員やパート社員には賞与を支給しない」ケースは悪い例として示す見通しだ。

各種手当のうち、通勤手当や食事手当、精皆勤手当などは、雇用形態の違いにかかわらず同じ額を払うべきだと明記するとみられる。一つの企業で長く働く社員に支払うことが前提の退職金企業年金、住宅手当、家族手当などについては、よい例・悪い例をはっきり示さない方針だ。

安倍首相はこの日の会議で、「賃金はもちろんだが、福利厚生や教育など、処遇全般について目を向けていく必要もある」と発言。指針案では、健康診断や病気休職などに差をつけることは「悪い例」として示す方向だ。教育機会についても、同じ仕事を担う社員なら、その仕事の能力を高める教育・訓練の機会は雇用形態によらず同じにすることを「よい例」とする見通しだ。

政府は指針の効力を高めるため、待遇差をつける根拠を労働側に説明する企業の責任について何らかの記述を盛り込みたい考えだ。企業が労働側に説明を尽くすことで、労使双方が納得する「合理的な待遇差」だけが残る企業を増やすのが狙いだが、重い説明責任を負うことに企業側は難色を示しており、調整が続いている。