雇用、景気刺激なき改善 人手不足が成長阻む

総合雇用、景気刺激なき改善 人手不足が成長阻む

雇用指標が一段と改善した。厚生労働省が28日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べ0.01ポイント上昇し1.38倍となり、1991年8月以来25年1カ月ぶりの高水準となった。総務省発表の完全失業率(同)も3.0%と前月から0.1ポイント改善した。ただ雇用の改善は非正規が中心で、業種的な偏りもある。賃金の上昇は依然として緩やかで、消費改善への波及力は乏しく、物価の下落も続く。

有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。9月は3カ月ぶりに上昇した。パートタイム労働者(4カ月以上継続)の求人倍率は1.47倍と正社員の0.89倍を大きく上回っている。

正社員に比べて賃金水準が低い女性や高齢者のパートで人手を確保しようという企業が多い。一方、正社員は1倍に届いておらず、求人の方が少ない状態が続く。

業種別にみると、建設業が3.45倍、飲食などサービスが2.97倍だった。IT(情報技術)など「専門的・技術的職業」は1.95倍で、市場拡大が期待される次世代産業を担う人材も不足している。労働市場が硬直的なうえ、雇用のミスマッチもあり「企業が必要とする人材が採りにくい状況が続き、成長の制約となっている」(SMBC日興証券の丸山義正氏)との指摘が出ている。

失業率は2カ月ぶりに低下し、7月に記録した95年5月以来の水準に並んだ。働き始める女性が増えたことが改善につながった。9月の就業者数は男性が前年同月に比べ11万人増えたのに対し、女性は48万人増えた。パートやアルバイトの時給が1000円を超えるなど雇用改善の明るい面も出ている。しかし6割を占める正社員の賃金上昇は緩やかなため、消費への波及力は弱いままだ。

総務省の9月の家計調査によると、2人以上の世帯の1世帯あたり消費支出は26万7119円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.1%減だった。7カ月連続の減少となる。うるう年の影響を調整すると、1年1カ月連続の減少だ。

台風など悪天候や気温が高かった面に加え、根強い消費者の節約志向が影響した。品目別にみると、秋物衣料が不振だった被服および履物が13.6%減、外食は4.7%減だった。

消費の不振は物価が上がらない一因となっている。総務省の9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.5%下落し、99.6となった。前年同月を下回るのは7カ月連続だ。原油安で電気代が6.5%、ガソリンは9.2%それぞれ下がったほか、炊飯器など家庭用耐久財が6.8%下落した。

食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数は3年ぶりの横ばいだった。SMBCフレンド証券の岩下真理氏は「年金生活者などが必需品以外買わない傾向にあり、外食や衣料品などが値下げに動かざるを得ない」と指摘する。