新卒企業が新卒採用に投じる「1人50万円」の中身 ナビ掲出料や説明会参加費用はいくらなのか
新卒採用にあたって企業側は、インターンシップや企業説明会、面接、選考、内定出し、そして内定者フォローといった活動を、年間を通じて行っている。人事担当者の労力と同時に費用についてもそれなりにかかっている。では、実際に企業はどの程度採用におカネを使っているのか、その実態について調べてみた。
企業の採用費について手がかりになる調査が存在する。マイナビが企業の採用担当者向けに毎年アンケートを実施し、発表している「マイナビ企業新卒内定状況調査」がそれだ。その中に採用費に関する調査結果があり、それによると2015年の2016年卒採用で1社当たり平均の採用費総額は556.0万円という数字になっている。
採用1人当たり約50万円のコスト
1年前の2015年卒生の入社予定者1人当たり採用費の平均は45.5万円。過去のデータを見ても、おおむね50万円前後で推移している。この数字に対してある人事担当者は「もう少し費用がかかる印象があるが、全体平均ならこの程度かもしれない」と語る。採用コンサルタントの谷出正直氏も「1人あたり採用費は50万~60万円程度が平均相場」と指摘する。

ただ当然、企業によって採用費のかけ方に差があり、1人当たり採用費が数十万円程度の企業もあれば、採用に積極的で100万~200万円かける企業もある。採用人数が多ければスケールメリットから1人当たり採用費は抑えることができる一方、「優秀な理系学生を数人だけほしい」といったように、少数でも優秀な人材を集めたい場合は1人当たりの単価もあがってくる。さらに求める人材層だけでなく、企業の知名度によっても「人が集めやすい」「集めにくい」というのもある。その額は企業の環境や採用戦略によっても異なる。
ただ、この平均採用費を逆算すれば、各社のおおよその規模感が見えてくる。20人規模で採用する企業であれば、20人×50万円で約1000万円、200人なら、200人×50万円で約1億円、というのが目安になるだろう。
ではその中身はどうなっているのか。マイナビが明示している採用費総額は、就職情報サイトや新聞などに出す広告費のほか、ホームページの作成費用、DM発送費、会社説明会や面接費用といった採用経費、さらには内定後の内定者に対する懇談会などの内定者フォローの費用も含めた総額としている。平均で見ると、そのうち半分以上が広告費に割かれており、15%程度が内定者フォローなど内定後の費用に充てられている。
採用費の半分以上が広告費!

「20~30人を採用する企業の場合、リクナビやマイナビといった就職ナビなどへの掲出費用として、200万~300万円ほど使う。さらに合同企業説明会へ出展料などの費用が加わる。ホームページや入社案内などの制作費に200万~300万円ほど。会社説明会の会場費や入社試験、適性診断のための費用、交通費などの選考費用を合わせれば、総額は1000万~1500万円程度になる」(情報系企業の人事担当者)
ホームページの制作費は企業によって費用のかけ方が異なっており、大手企業の中には1000万円単位で使うところもあるという。また、会社説明会や面接も社内で行うか、外部の会議室といった有料の会場を使うかで異なる。面接の際も受験した学生に対してどの程度交通費を支払うかによって差が出てくる。
テスト業者に委託する筆記試験やWebテスト、適性検査も、受験者数やテスト内容で金額は異なる。1人当たり1000~2000円のものから、5000円前後かかるものまである。さらにDM発送や電話連絡を外部に委託する企業もあり、そうしたアウトソーシング費用を採用費に計上する企業もある。
合同企業説明会やセミナーについては参考となる資料がある、リクルートキャリアのホームページには合同説明会やイベントへの参画料金が記載されている。たとえば、2017年3月1日に幕張メッセで行われる「就活開幕LIVE東京」の場合、標準ブース(約12平方メートル)の出展料は90万円。スペースの面積や出展する場所で金額も異なっており、倍規模の大型ブースで180万円、特大デモンストレーションブースだと600万円という金額になる。なおこの出展料は机やいすなどの基本備品が提供されるが、パネルなどブースの装飾費などは企業側の負担だ。
合同説明会は、開催日や場所によって集まる学生の数が異なるため、出展料にも差が出てくる。学生の動員力がある開催ほど金額も上がる。同社の参画料金表を見ると、3月1日に大阪で開催する合同説明会の標準ブースの出展料は60万円、新潟で開催する合同説明会の標準ブースの出展料は25万円となっている。時期も3月初旬の出展料が高く、後の日程になるほど価格が下がる傾向にある。
合同セミナーは動員数で出展料に違い
他の就活ナビ会社が主催する合同説明会についても同様で、スペースの広さや日程、動員できる学生の数によって価格も異なるという。
ただ、こうした合同説明会に関しては、「知名度のある企業に対してはある程度のディスカウントが行われる場合がある」と、複数の就職関係者が指摘する。ブランドランキングの上位企業など、人気のある企業が出展社として名を連ねれば、集客の目玉となるため、ある程度の”優遇策”がとられているのが実態だ。
各企業は最初に採用数などの計画を立てると同時に、採用予算も決めているケースが多い。その額は企業ごとの採用環境や採用戦略によって変わってくる。積極的に採用をしたい場合は採用費も大きく、イベント会場での露出やホームページの作り方も、より目立つ形になっているはずだ。そうした視点から企業側の採用意欲を探るのもひとつの手といえるだろう。