紹介リクルート、人材紹介に人工知能活用 上場1年
16日に株式上場から1年を迎えたリクルートホールディングス(HD)が海外事業拡大を加速している。上場で得た資金を企業買収につぎ込み、目指すは2020年の人材サービス世界一だ。リクルートの国内での成長は個々の人材の強さがけん引役となってきた。育てるまでに時間がかかる人材に代わり、海外での成長エンジンは人工知能(AI)に託す。
「人材サービスで世界一になるためにAIを活用する」。峰岸真澄社長は日本経済新聞の取材にこう答えた。求職者にAIで最適な企業を提示することで就職率向上とコスト削減の両立を狙う。企業と人をつなぐサービスも主戦場はインターネットに移り、AI活用の成否が優勝劣敗の鍵になるとみるからだ。
人材紹介では担当者が求職者と企業の双方から希望条件などを聞き取って結びつけている。求職者には1回90分の面談を実施し、就職先が決まるまで電話やメールで面倒をみる。この業務の一部を置き換える。求職者の経歴や条件に照らし、担当者が培ってきたノウハウを習得させたAIが最適な企業を選び出す仕組みだ。まず1000人の従業員を抱えるアジアで導入し、成果を検証。海外展開の弾みにする。
リクルートは求人や販売促進といった分野で情報誌を発行するなどし、企業と人を結びつける事業で成長してきた。営業や企画の担当者の提案力を強みとし、ノウハウを共有する形で組織全体の力を底上げする仕組みはいまも変わらない。
しかし、ネットの普及で人と企業が直接つながるようになり、既存のサービスは足元が揺らいでいる。サービスの軸足がネットに移るなか、米グーグルなどIT(情報技術)大手が開発を競うAIは特に技術の進歩が著しく、「リクルートが取り組まない理由はない」(峰岸社長)。
4月にはAIに特化した自前の研究所を設置。新たに採用した4人の研究者は米国のマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大と連携し、リクルートが蓄積してきたノウハウや情報を注ぎ込んだAIの実用化に取り組んでいる。
サービスの質を磨くAIの可能性を探る一方、海外事業の拡大に向けたM&A(合併・買収)も積極化している。15年に仕掛けた海外M&Aに投じた資金は1000億円に迫る。人材派遣が中心だった対象業種も広げ、飲食店や美容室の予約サービスにも手をつけた。
飲食店予約などの販売促進支援サービスはこれまで海外に足場のなかった事業だ。新たに海外展開に乗り出したのは今後の市場拡大とともに「リクルートのノウハウを生かせる分野と判断した」(峰岸社長)からだ。美容室のネット予約比率は日本の10%に対し、欧州は1%未満。潜在需要は大きいとみる。
リクルートは販促支援でも30年の世界一を目標に掲げる。7000億円とされる上場で得た投資余力。手元にはまだ豊富な資金を持つ。峰岸社長は「世界で勝てる領域に投資する」と意欲をのぞかせる。