中途介護職:低い賃金で疲弊 相次ぐ離職「仕事夢ない」
過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職。政府も手は打ってきたものの、依然、他業種との格差は埋まらない。人材確保には、賃金アップか外国人の活用か−−。ここへきて国の姿勢も揺れている。

介護職員など職種別の賃金
常夜灯がぼんやり照らす廊下を、おむつやタオル、ごみ箱を積んだ台車が行き来する。11日深夜。東京都葛飾区の特別養護老人ホーム(特養)「葛飾やすらぎの郷」に勤めて3年目、生活援助員の宮崎梓さん(22)の夜は長い。
1フロアには約40人が入居する。大半は80〜90歳代で7割は認知症だ。同僚と2人、一晩で4回は巡回し、おむつを替え、トイレを介助し、体位を変える。消灯後も徘徊(はいかい)する人はいるし、繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。
ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけ。「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」。そう気遣う女性入居者に、宮崎さんは「気にしなくていいんですよ」とほほ笑んだ。
月4〜5回の夜勤日は、午後5時前から翌朝10時前までの勤務。しかし、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ、朝食にありつけたのは昼近くになっていた。
◇平均を9万円下回る
正規職で介護福祉士の資格を持つ宮崎さんの月給は、手取りで約18万円。15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じる。とはいえ、介護労働者の賃金は他業種に比べて低い。全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。
長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17.0%(2011〜12年)で、全産業平均(14.8%)を上回る。求職者1人に働き口がいくつあるかを示す2月の有効求人倍率は2.19倍。全産業平均(1.05倍)の2倍だ。