中途新卒採用だけではダメないくつかの理由
「10人内定を出したら9人まで内定辞退されてしまった」。こんな話を中小企業の方に聞きましたが、人材不足(日本人に限る)の昨今、珍しい話ではないそうです。
8月ともなれば、すでに内内定をもらっている学生たちが、最終決断を迫られる時期。「おわハラ」(就活終われハラスメント)が横行するのもこんな背景があるのです。人事の担当者は、きっとハラハラされていらっしゃるのではないでしょうか。
また、講演などで地方に行くたび、県庁の方からは「県内の中小企業が人材不足」という話を聞かされます。学生が来ない、みんな東京の大手に行ってしまう――。まあ、これも無理もない話です。学生は、中小企業はおろか、テレビでコマーシャルをやっていない企業の名前はほとんど知りませんから。
2060年には労働人口は今の半分になると言われています。「まあ、その頃まで採用担当はしていないよね……」とホッとする人もいるかもしれませんが、人材不足は、地方に行くほど顕在化しています。
制約はあるけど働ける…優秀な人材をつかむには
そこでひとつ提案があります。
10人内定出して9人まで辞退される……。それなら新卒採用にかけるコストが無駄なので、いっそ「新卒一括採用」をやめるという手はないのでしょうか? そのかわり浮いたお金で、社内のワーク・ライフ・バランスのシステムを構築します。
まず残業をやめてみる。それから、ITを使って情報共有できるグループウェアなどのシステムを取り入れ、スケジュールも含め、仕事の共有化を図る。長時間労働をやめ、時間と場所に縛られない仕事の仕組みを作るのです。
そして、「選べる勤務時間」を設定して、中途採用を募集します。
いやいや、夢物語ではありません。すでに大手はやっていますよ。アパレルメーカーの「4時間正社員」「6時間正社員」、それから、りそなホールディングスも「スマート社員」という新制度を始めました。残業なし正社員という枠を作り、それを「スマート社員」と呼ぶそうです。
そうなると、何が起きるのか? 子育て、介護などで事情があって長時間は働けない、でも優秀な“制約人材”がたくさんやってくるでしょう。
例えば小町にもこんなトピがありました。「『もったいない』と言われたけれど…」。40代、10年前に母親の介護のために前職をやめて実家に戻った女性です。母親の介護も一段落し、自由な時間ができたので、徒歩圏内の中小企業に再就職したそうです。
「パートで募集されていましたが、すぐに正社員として採用していただきました。仕事は簡単な内容ですが、母の介護のために勤務時間融通をしていただいたり、お給料も上げていただいたり、とてもよい処遇で働いています」
またトピ主さん、優秀なのでしょう。元の職場の取引先からも「今の状況はもったいない。(うちに)転職する気はありませんか?」と誘われているそうです。前職がよほどすごい仕事だったのかもしれませんね。
しかし、「そのような声をかけていただいても、母との生活を考えると、今の生活が理想的な気もします」と、トピ主さんは迷っています。こういった人たちが結構いるのです。事情があって一定時間以上は働けない。またその土地から離れられないという人たちが。
中小企業で全国転勤がなければ、「それがメリット」という人もいるのです。
子育てがある程度一段落した人だったら、もっといいですね。40代ならあと25年も会社人生がある。その中から経営幹部になる人材も出てくるでしょう。
30歳代からでも育てれば大丈夫!
最近の学生は優秀な人ほど「仕事もしたいけれど、早く結婚して早く産みたい」という人が多い。例えば25歳で産んで、2歳差で2人目、下の子が小学校に入るまで子育てをして8年としましょうか。そのときまだ33歳。キャリアという面では、そこから十分育成できますよ。
大学教育を否定するつもりは全くありませんが、学生時代の経験が、その後組織に入ったあとの活躍に直接関わるということは、かなりまれでしょう。つまりすごい学歴、素晴らしい新卒人材でなくても、育てれば大丈夫ということです。人材不足も解消し、さらに地方でも本気度が増してきた「女性活躍推進」もできる。一挙両得です。
毎年フレッシュな新卒が入ってきて、まっさらな状態から育てる……それってもう、昭和の夢物語かもしれません。