女性・高齢者に働く機運 非労働力人口22年ぶり減

中途女性・高齢者に働く機運 非労働力人口22年ぶり減

職を持たず職探しもしていない「非労働力人口」が減少に転じた。バブル崩壊後、人口の高齢化で一貫して増え続けていたが、2013年は前年より0.7%少ない4506万人となり、1991年以来、22年ぶりにマイナスに転じた。「非労働力」だった女性や高齢者が「労働力」に加わっていけば、日本の潜在成長力を下支えする。稼ぎが増えることで消費や生産の好循環を生み、社会保険料や所得税を払う人が広がる期待もある。

 

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総務省の労働力調査によると、13年の非労働力人口の減少率は55年以来、58年ぶりの大きさとなった。緩やかな景気の回復を追い風に13年1月から前年を下回り始め、14年2月まで過去最長の14カ月連続マイナスとなっている。

一方、職に就いている人と職を探している人を合わせた「労働力人口」は13年に6577万人と0.34%増えた。プラスになるのは6年ぶり。15歳以上人口に占める労働力人口の比率も59.3%となり、97年以来16年ぶりに上昇に転じた。

目立つのは主婦が外で稼ぎ始める動きだ。労働力人口のうち、女性は1.4%増の2804万人と3年ぶりに過去最高を更新した。一方、専業主婦は13年に前年比4.3%減と、比較できる53年以来で最大の減少となった。求人が増え、横浜市が待機児童を一時ゼロにするなど、自治体や政府も女性の働きやすい環境づくりを急いでいる。

結婚や出産、育児で職を離れた女性の再就職を支援する動きも広がっている。ローソンは13年4月、育児休業から復職する女性社員を半年から1年配属する専門部署を立ち上げた。本格復帰に向けた「慣らし運転」のためだけでなく、「会社から一時離れた主婦の目線で、新商品やサービスを提案してもらう」(同社)狙いだ。

10代後半から30代前半で働かず、学校にも通っていない「ニート」の数も5%減の59万人と、3年ぶりに減った。飲食業や製造業で若者の求人が増えた。文化放送キャリアパートナーズの調べでは、既卒者を採用する企業も13年に29%と、3年前と比べて4倍に増えている。「人手不足のなかで企業が採用の対象を広げている」(同社)

働く高齢者も増えた。60歳以上の労働力人口は1250万人と1.2%増えた。定年後も働きたい従業員全員の再雇用を企業に義務付ける制度が、13年4月に始まった。サントリーホールディングスが同月から定年そのものを65歳に延長するなど、企業が制度改正を先取りする動きも広がる。

非労働力だった人が職を得て稼ぎ始めれば、所得税や年金・医療・介護の保険料を負担する側に回る。厚生労働省の09年の試算に基づいて単純計算すると、30年までに労働力人口を600万人増やした場合、公的年金の加入者が約1%増える。

現在の標準的な世帯のモデル支給額の約22万円を前提にすれば、支給額を約2000円、上乗せする効果がある。支給額を抑えれば、それだけ年金財政の改善に回せる計算だ。高齢者が働けば「健康を維持する効果もあり、医療費や介護費用を抑える効果もある」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)。

政府の経済財政諮問会議や産業競争力会議は専業主婦がいる世帯の所得税の負担を軽くする配偶者控除と、年金保険料の負担が減る第3号被保険者制度などの優遇見直しを議論している。非労働力人口が一段と減れば、経済の活性化や財政の改善につながりそうだ。